寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

18.事業者らしい金融機関との付き合い方

コラムをお読みの皆様、あけましておめでとうございます。
昨年は規模拡大の要となる銀行融資の環境が激変したことにより、多くの不動産投資家にとって非常に厳しい1年になりました。

数年前なら自己資金を1円も出すことなく購入できたような物件が、審査の土台にも乗らなくなったという事例も増えています。日経新聞が昨年11月に行った調査の結果では、「不動産融資に積極的だ」と回答した地方銀行はゼロだったそうです。
(詳しくはこちら

そんな中でもとりわけ厳しい状況だと思われるのが「サラリーマン」で「収益不動産購入の実績がない」人たちだと思われます。
そこで2019年最初のコラムは、このような方が継続的に融資を受けられるようになるための方法についてお話ししてみたいと思います。

■「アパートローン」は特殊な融資

以前のコラムにも書きましたが、本来お金を借りるということは非常に難しいことです。
年利10%を超えるような消費者金融でさえ、数十万円のお金を貸すためにそれなりの審査をします。収益不動産数千万円のお金を、1~2%程度の金利で20年や30年に渡って貸す訳ですから、金融機関が慎重になるのも当然ですよね。

少し前までは、安定した給与収入で不動産の担保不足を補い、審査を簡便化したサラリーマン向けのアパートローンの取り扱いをしていた金融機関がいくつかありました。しかし、こういった「定型ローン」は事業資金の融資としては極めて特殊な制度です。
金融機関は本来、借り手の事業内容や資産背景、信用状況などをしっかり調査した上で「どのくらいまで貸しても大丈夫か」を判断し、その上で個別の案件の審査をします。

良い物件を見つけて持ち込むことも大切ですが、金融機関との関係を強めて「貸しても良い取引先」として認められていることが前提です。
サラリーマン投資家さん向けの定型ローンが縮小していく中、事業者として金融機関と付き合っていくことが、今後も安定して融資を受ける「遠回りのようで本当は近道」になるでしょう。

■どんな用事で担当者と会うのか?

事業者として金融機関と付き合うためには、案件(購入したい不動産)を持ち込む前から何度も担当者と話をして、「融資できる先」として認識してもらう必要があります。
何か頼まれごとをされる場合でも、日頃から付き合いがある人と初対面の人とでは、その頼まれごとを受けるかどうかが違ってくるのと同じですね。

ぼくも最初のうちは「案件もないのに、銀行の人と何を話すのだろう」なんて思いましたが、「お金を貸したい先になろう」という目的を持つと、いろいろ話をすることはあるものです。
自社の場合だと、金融機関の方と会う目的はだいたい以下の4つに分かれます。

1.進行中の案件がある場合に、その打合せや進捗確認など。

最初の案件を持ち込む前に関係作りをしなければならないのですが、やはり審査中の案件がある時期は頻繁にやりとりがあります。
買付が通ったら電話で連絡のうえ、メールかFAXで基本的な資料を送り、「審査テーブルに乗る」ということであれば、銀行の担当者が追加の資料を取りに来られます。その際に、「融資期間、金額、金利」についての最低条件をこちらから提示することが多いです。

そして契約の日程が決まれば報告し、契約が終われば捺印済みの契約書と重説のコピーを送り、決済日や担当する司法書士さんについても連絡し・・ということで、ひとつの案件で何度も連絡をします。
金融機関側も進捗状況をしっかり把握していることも大切です。自分の案件が後回しになったり、決済期日に間に合わないようなことがないよう、稟議書がどこにあるのか(担当者が作成中か、支店長席か、本店か)を確認するようにします。

2.事業の報告(期末、半期、月例など)

金融機関は、この人(会社)に貸しても大丈夫かどうか、きちんと返済してくれるかどうかを常に気にしています。従って、こちらの状況を事細かに報告しておくことは、金融機関から求められている水準以上に行うことをお勧めします。

報告というのは、要するに決算内容とか試算表(決算の中途報告)と、不動産投資家の場合は保有物件の増減などについてです。ぼくの場合は区分マンションを多く保有しているために売買が割と頻繁にありますから、保有物件をまとめた表を毎月更新して取引金融機関にお渡ししています。

3.金融機関からの頼まれごとがある場合

営業担当は預金や融資の金額目標以外にも、様々な数値目標を抱えています。
投資信託や保険の販売であったり、クレジットカードの加入件数であったり、ネットバンキングシステムの導入であったり、とにかくいろいろです。
金融機関とのやりとりが頻繁になってくると、そういう頼まれごとをされる機会が増えてきますが、基本的には協力的な姿勢を見せておいた方が良いと思います。

営業マンも人間ですから、個人的に取引先の好き嫌いがあるはずです。自分の目標達成に貢献してくれた先とそうでない先では、融資案件を通すための熱意が違って当然です。また、銀行によっては融資や預金以外の「深耕状況」がデータ化されていて、融資審査の際にも参考にされているようです。
こうした協力は、いわばより良い融資条件を「買っている」ようなものですから、費用対効果を考えても良い出費と言えます。

4.年末年始、新任・退任、上司帯同などの「ご挨拶系」

関係ができてくると、営業担当が自社を「担当先」として認識するようになり、いろんな場面で「ご挨拶」に来るようになります。
この「ご挨拶」を対面でされているようであれば、「次の融資案件も前向きに取り組みますよ」という状態であると思って良いでしょう。適当に済まさず、貴重な情報交換の場として活用してください。

■他人任せでは借りられない時代

サラリーマンとしてご本業を別に持たれている方の場合、「平日の日中に銀行と会えないけど、どうしたらいいのさ」という疑問を持たれるかもしれません。
もちろん、理想は「平日の9時から5時の間」に「自社の事務所」で金融機関の方と会えるような仕組みを作るべきです。

それができないのなら、例えば「数ヶ月に1度、有給を取って銀行訪問日にする」「5時きっかりに退社して、あらかじめアポイントを取っておいた支店を訪問する(9割以上の銀行員は毎日残業をしています)」など、やれる範囲で事業者らしい付き合いをしていくべきでしょう。
「こちらも残業だ」「アポをとっても急な仕事が入って訪問できるかどうか分からない」など「できない言い訳」をするのは簡単ですが、数ヶ月に一度の支店訪問もままならないような人に銀行がお金を貸したいかどうかを考えて、投資家らしい行動をとってほしいものです。

「融資は不動産会社がつけてくれるもの。こちらは資料を出しさえすれば良い」という考え方から脱却しない限り、これからの規模拡大は難しいかもしれません。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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