寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

22.管理運営・・・軽視されすぎ説。

新しい元号「令和」が始まりました。
元号の変化が直接不動産投資に与える影響は大きくありませんが、これから建築されるアパートやマンションは「令和元年築」ということになります。先月まで以上に、「昭和築」が古く感じるようになりますね。

さて、このコラムでも何度か言及していますが、不動産投資は購入することそのものよりも、「しっかり賃貸経営をする」ことの方が何倍も重要です。
しかしながら、ここ数年で不動産投資に参入された(予備軍を含む)方における、賃貸経営の軽視ぶりや消極的な姿勢は、かなり目に余るものがあります。

今日は、なぜこのような状況になってしまったのかという考察と、賃貸経営の基本についてお話ししてみたいと思います。

興味が持たれなくなった4つの理由

良い物件を購入しても、高い入居率をキープしなければ収益が上げられないのはもちろん、次の融資を受けたいという場合に金融機関からの評価も下がります。売却する際にも、売値が下がってしまう可能性が高いです。

それにも関わらず、重要性について認識が低い投資家さんが増えたのはなぜか。
ぼくは以下の4つの理由によるものではないかと思います。

1.メガ大家ブーム

短期間で数億から10億円以上の物件購入ができたという事例が脚光を浴びることにより、規模の拡大に偏重して興味・注目が集まるようになりました。
規模を増やしても、運営が安定していなければあっという間に経営破綻に陥ってしまいますが、長期的な成否について確定する前の「買えた&家賃が増えた」という話のみにスポットが当たりがちです。

2.無料のセミナーが増えすぎた

不動産投資のポータルサイトでセミナー情報を検索しても、出てくるのは不動産会社主催の無料セミナーばかりです。
不動産会社もいろいろありますが、セミナー集客をしているのは「不動産を売っている」会社ばかりですので、当然テーマは「良い不動産の買い方」とか「融資を受ける方法」のような購入系に偏ってしまいます。
賃貸管理の会社が「入居者に選ばれる設備とサービス」のようなテーマでセミナーをしても売上につながりませんので、無料で開催するようなことは稀です。

そして無料セミナーが増えすぎたせいで、「お金を払ってセミナーを受講するという風潮ではなくなる」→「管理運営系のセミナーがなくなる」という結果になりました。

3.サブリース付きの売り物件が増えた

金融機関が物件のポテンシャルや借主の経営力について重要視せず、その代わりに「現在の入居率」によって融資額や条件を大きく変えるような審査をする(していた)ため、物件を仲介・販売する不動産会社が一定期間のサブリースを付けるケースが増えました。
 
このような「売り手によるサブリース」が恒久的なものではなく、売上からのキャッシュバックに過ぎないことも周知されつつありますが、「しばらくは満室だ」という甘えや油断が、賃貸経営への興味や危機意識を薄れさせているのは間違いありません。

4.空室や大家の破綻問題が目立つようになった

地主やサラリーマン大家さんが賃貸経営に失敗し、破産や大きな経済的ダメージを負ったという事例も、メディアに採り上げられることが増えました。

こういうネガティブな話を知って「よし、では自分はしっかり運営について勉強して、失敗しない不動産投資をしよう」と思う方が多ければ良いのですが、大半は不動産投資に過度なリスクを感じて参入をやめてしまうか、または「絶対に失敗しない物件」を求めるようになるかのどちらかの行動をとります。

運営スキルがないと物件も買えない

4番目に挙げた理由で、「絶対失敗しない物件を買おう」と思うのは自由ですが、それは往々にして「何もしなくても入居が決まり続ける物件を買おう」という思考につながってしまいます。

立地抜群の築浅デザイナーズマンションなどであれば、短期的にはそういう状況にもなるかもしれませんが、ほとんどの場合で利回りが低すぎ、自己資金の乏しい初心者の方に購入することはできません。
買いたいものは資金的に買えず、買えるものは怖くて買えず・・ということで、自分のマインドを変えずに膠着状態が続くと、結局はいつまで経っても買えないまま終わるか、リスクを他人に転嫁できそうなサブリース物件に目が行ったりする訳です。

運転技術が高いと、スピードが早かったり車体が大きかったりする「難しめの自動車」にも乗れるようになりますよね。賃貸経営もそれと同じで、知識が豊富でスキルが高いほど購入できる不動産物件の幅は広がります。
買うことばかりしか興味が持てない人は、運転免許もとらない状態で「乗れるクルマがない」と言っているようなものですから、結果を出せないのも当然というものです。

管理運営の基本とは?

ぼくが不動産投資を始めた10数年前の時代は、今以上に融資が厳しくて、普通のサラリーマンに融資をしてくれる金融機関もほとんどありませんでした。

そこで、日本政策金融公庫(当時は国民生活金融公庫)を使って小ぶりの中古アパートを購入し、立地面やスペックで劣っている分を運営力でカバーすべく、いろんなことを勉強したものです。お金を払ってセミナーにも出ました。書籍もたくさん買いました。
「近頃の若いもんは・・」みたいな話はしたくないですが(笑)、まさにそんなことを言いたくなるような状況です。

管理運営については、たくさん書籍も出ています。最近は購入系の本ばかり売れるので少なくなっていますが、古い時代に出版されたものでも大丈夫です。まずはそういった書籍を何冊も読んで勉強してみることをお勧めします。

また、拙著「フツーのサラリーマンですが、不動産投資で儲ける方法を教えて下さい
でも、管理運営の基本エッセンスについて詳しく解説されています。
手前味噌ですが、これほど明確に「入居が決まる仕組み」を解説できている書籍はないのではないかと思いますので、ぜひ読んでみてください。

要するに、よほどの過疎地でない限り「家賃以上の価値を提供できれば入居は決まる」ということ、その価値を上げるためには何をすればいいのかという考え方と基本的な手法を知っていれば、管理運営面で大きな失敗をすることはありません。
あとは、しっかり募集をしてもらうために、賃貸管理会社や仲介会社さんのことを知り、効果的なコミュニケーションをしていけば空室が続くことはないでしょう。

不動産投資の購入面では、市況や融資情勢、相場などに左右される側面が強く、時代ごとに上手くいくための方法は少しずつ違ってくるものですが、幸いなことに管理運営面のノウハウはそういった外的要因に左右されることはありません。

景気が良かろうと悪かろうと、汚い部屋がきれいな部屋に勝つことはありません。円相場に関わらず、インターネットが使える部屋は使えない部屋より人気があります。
株価が上がろうと下がろうと、自民党の政権が続いて続かなくても、「○○荘」「○○アパート」のような名前の物件は不人気なのです。

しっかり勉強して、強い大家さんになりましょう。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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