寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

23.不動産投資ができないマインドを分析してみた

このコラムを書いている時点では、比較的不動産投資の融資に積極的だったと言われている、西武信用金庫に金融庁の検査や指導が入っています。
最初は、反社会的勢力への融資が問題になっていたのですが、その後耐用年数を超えた期間に対して融資をしたことや、審査の資料が改ざんされているのを職員さんが見過ごしたことなどにも波及したため、これからの不動産融資はさらに厳しくなっていくような感じがします。

逆に、融資が付いて物件を買うことができる投資家さんは、今や非常に有利な状況にあります。数年前に「価格が高くて買い時ではない」と言っていたような人たちにとっては、今がまさに「買い時」なのでしょう。
しかし今でも、なんだかんだと理由を付けて物件購入を先送りにしているような人はたくさんいます。結局やらないのです。

ぼくは、不動産投資なんてやりたい人だけがやればいいと思っている立場の人間ではありますが、たくさんの「結局やらない人」と接することで、「やらない人のマインド」というのが分かってきましたので、今日はその話をしたいと思います。

アドラー心理学から考えてみる。

マインドについて考える上では、数年前に話題になったこの本を参考にしてみました。

「嫌われる勇気」 は、アドラー心理学を、優しく会話形式で説明した本です。
アドラー心理学について詳しく説明することはコラムでは差し控えますが、ポイントとなる特徴的な考え方は以下の2点です。

①全ての行動は自身が意図する目的があるという「目的論」
②全ての悩みは「対人関係」が元になっている

2つとも最初は意味が分かりませんが、具体的な事例を知ると「なるほどな」と思いますし、不動産投資に踏み出せない人たちの心理状態もつかめるように思います。

理由のほとんどは「後付け」である

まず、①の目的論について。目的論に対抗する考え方は「原因論」です。

例えば過去にいじめられたことをきっかけに引きこもりになってしまった人がいるとします。
原因論でいうと「いじめがトラウマになって外に出られなくなってしまった」という考え方をするのですが、目的論では「外に出たくないという目的があるので、昔いじめられたという原因を作っている」と考えます。

外に出たくない本当の理由は「外出してイヤな思いをしたくない」からかもしれないし、単に面倒くさいのかもしれません。
そういう自分の中の弱さとか怠惰な性格のような、自分で認めたくないものを認めなくて済むように、「過去の出来事に結びつけて、もっともらしい理由付けをしている」というのが、アドラー心理学「目的論」の考え方です。

これを不動産投資に置き換えてみると、

●環境的な理由
「価格が高騰している」「これから価格が下がる」「融資が厳しい」「奥さんが反対している」

●物件ごとの理由
「エリアが人口減少地域である」「利回りが不足している」「大規修繕リスクが高い」

このような理由は、本当に不動産を買いたい人にとっては妥当なものですが、もしかすると「不動産を買いたくない」という目的が先にあって、買わない理由を後付けで探しているのかもしれないのです。

読者の方は「は?意味が分からん」と思うかもしれませんが、

・「価格が500万円高いので買えない」と言って断っていた人が、500万円価格が下がったのに別の理由を付けて購入しなかった。
・「奥さんが保証人になることに反対しているから」と言っていた人に、資産管理法人を作って配偶者の保証人義務を回避する手法を教えても、別の理由で結局買わなかった。

というような事例を、ぼくは数多く見ています。
これはまさに「最初から買わないことを決めていて、理由は後付けしている」というアドラー心理学の目的論を立証する事例ではないかと思います。

「不動産を買わない」という目的を持つ理由はいろいろ考えられますが、おそらくは「借金が怖い」「運営に失敗するかもしれないという恐怖心」が一番多く、あとは「面倒くさい」「そんなことより遊びたい」といった怠け心といったところでしょうか。

買わないのに活動している理由

ここで出てくるのが「不動産を買わないと(自覚はないにせよ)決めているのに、なぜ不動産投資の活動をするのか」という疑問です。
普通の人は、登山をする気がないのに山の麓まで出かけていったりしませんし、泳ぐ気がないのに水着を買ったりもしません。

しかし、この奇妙な行動が先に述べた「②全ての悩みは対人関係が元になっている」と関係があるのではないかと思うのです。
ここでいう「対人関係」とは、特定の人と折り合いが悪いという狭義の意味ではなく、「他人と比べた劣等感」のようなものまで含まれる広い意味で使われています。自分以外の人が存在するから悩みも存在する・・という考え方です。

不動産を買おうと思って行動している人(実際には買う気がない人も含む)も、

・本を出している投資家のように、自分も成功したい
・家族や大事な人を、もっと安心させてあげたい
・同僚や知人よりも経済的に豊かな人生を送りたい
・お金を持って、イヤなあいつを見返してやりたい

というような、他者に向けての何らかの思いがあります。
だから、その「(他者にとって)こうありたいという自分の姿」に向けて動いているという、満足感とか安心感のようなものを得られるのは心地良いのだと思います。

そして、「本当は不動産を買わないと決めている」ものの、本人はそれを自覚している訳ではないので、「絶対に買わないのに、買う手前の行動まではきちんとする」という、無意味な行動を続けてしまうという人がたくさん生まれるという訳です。

幸い、不動産は「物件を買う」こと以外ではほとんどお金を使わない上に、構造的にいろんな人から構ってもらえる業界なので、「頑張っている“気がする”行動」が、比較的やりやすい環境であることも、上記のような「買う手前までの行動はしている人たち」が増える要因かと思われます。

やる・やらないの判断は自分の心の中で

不動産を買って家賃収入や資産を増やしたいのなら、そのための行動を邪魔する自分の中の恐怖心や怠惰な気持ちに打ち勝たなくてはなりません。
外的な要因を言い訳にしていると気持ち的に楽かもしれませんが、自分の弱さを認めて克服しなければ成果は得られないでしょう。

それと同時に、不動産投資をしなければいけないという気持ちが他人に強く影響されたものだと思うなら、「自分にとって本当に不動産投資は必要なのか?」と自問してみてください。
今の生活や環境に満足できていて、家賃収入なんかなくても特に困らないのであれば、それはそれでとても幸せなことなのだと思います。
架空の満足感や安心感を得るためだけに、無意味な畳水練に時間を費やすのは本当にもったいないことです。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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