寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

24.金融機関へのファーストアプローチ

2019年も折り返しを過ぎました。
やはり、去年の段階から予想された通り融資が厳しくなっていますが、地主、事業者、サラリーマン大家さんといった「投資家カテゴリー」の中ではサラリーマン大家さん向けの融資が最も悪い影響を受けているようです。

「これからは事業者として、地道に実績を積んでいくしかないな」と思っているサラリーマンの方も少なくありませんが、物件を複数保有しているような人でも「金融機関を自分で開拓したことがない」というケースは多いようです。

不動産会社が融資を付けてくれた時代

スルガ銀行の融資姿勢が問題になるまでは、サラリーマン向けの融資は物件を仲介・販売する不動産会社が金融機関の選定をしたり、審査資料の持ち込みなどを行うことが普通でした。
今でも、それが当たり前だと思っている人はたくさんいます。

不動産会社による融資付けは、それなりに合理的な一面もあります。
未経験のサラリーマンが金融機関を訪問して融資の申込をするよりも、知識や経験に勝る不動産会社のほうが話も早いですし、金融機関に優良な顧客を紹介し続けることで信頼関係を築いている不動産会社もたくさんありました。

また、積算と利回り・借主属性でほとんどの審査が完了するようなアパートローンの場合、借主の経験や人物像などはほとんど評価の対象にならなかったので、不動産会社が資料を持ち込んで審査の依頼をしても問題なかったのです。
買主が最初に銀行を訪問するのは、審査が通ったあとの金消契約・・ということも珍しくありませんでした。

しかし、今はこのような定型ローンの取り扱いについては各金融機関ともかなり消極的になっていますし、審査資料の偽造問題(審査に有利なようにエビデンスを改ざんする行為は、主に不動産会社主導になって行われていた)なども相まって、不動産会社からの案件持ち込みを禁止するような金融機関が増えました。
これからの不動産投資は、初心者の方であっても自分で金融機関を開拓していくことが必須になっていくと思われます。

考えてみると世の中のほとんどの事業において、「資金の調達」というのは経営者自身が行うべき非常に大切な仕事のひとつです。
事業の立ち上げ当初に「誰かが代わりにお金を借りてきてくれる」なんていうことが、そもそもおかしなことであったと考えるべきですね。

アプローチで心がけておきたいポイント

それでは、金融機関に対して最初のアプローチをする際に心がけておきたいことについて説明します。

1.できれば購入したい物件が見つかる「前に」訪問する

物件資料を持ち込んで、担保や収益性の評価をしてもらうことが金融機関の審査だと思われているかもしれませんが、購入物件と同じくらい「借りる人や会社の評価」が大切になってくるのが事業性融資の特徴です。
法人の決算書や持ち物件の収支状況などを確認し、スコアリング(金融機関が顧客に対して信用力の格付けを行い、今後の取引の基準を作ること)ができるまでには数週間程度の時間が掛かります。先に済ませておくと、購入したい物件が見つかったときに審査時間を短縮することができます。

2.営業担当の人と話す

銀行に電話などでコンタクトを取るときに、融資の話が目的なのでつい「融資担当の方をお願いします」などと伝えてしまいがちですが、「融資担当」や「融資課長」は、営業担当から上がってきた稟議書や資料を精査して、融資の可否判断をするのが仕事です。
自分の会社の担当として色々と頑張ってもらうのは、「渉外係」と呼ばれる営業担当の行員(職員)さんですので、そういう方と話をするようにしましょう。

3.紹介は正しい形で。飛び込みでも大丈夫。

不動産投資の書籍などには「金融機関には、既に取引している人の紹介をもらって訪問する」というようなノウハウが書かれていることもあります。
ただ、「○○銀行からお金借りているから、ぼくの名前出してもいいよ」程度の紹介であれば、飛び込みとまったく変わりません。紹介をもらえるなら、自分の目の前で担当の方に電話をしてもらうくらいのクオリティを求めたいところです。

ぼくは現在、9つの金融機関と融資の取引がありますが、紹介をもらって訪問したところはひとつもありません。正しいアプローチをすれば、飛び込みでも大丈夫です。

最初のアプローチで話すべき項目

金融機関訪問の初期段階で確認しておくことは

・自分(自社)が、融資取引の対象になるかどうか
・収益不動産に対しての、金融機関のおおよその方向性や基準
・どのようなステップが好まれるか

の3つです。

金融機関によっては、収益不動産への融資を「地主のみ」「既存の取引先のみ」などに限定しているところもあります。そういった金融機関を訪問して長い時間を使っても成果は得られません。
電話の段階で「確実にダメだ」ということが分かれば、ムダな労力と時間を減らせます。

また、金融機関によって融資対象エリアが違うのはもちろん、審査基準も積算を重視するところや逆にまったく見ないところ、耐用年数についての考え方なども様々です。
こういったところも、電話や初訪の段階で確認しておくことをお勧めします。

それから、金融機関によっては数百万円くらいの小口の融資(修繕費用など)から取引を始めたり、保証協会付の融資で様子を見るようなところもあります。こういったところまで配慮のできた質問をすると、金融機関から「分かっている人」というイメージを持ってもらえると思います。

「尋問」ではなく「会話」をする

また、ヒアリングの際に心がけることとしては「尋問やインタビューみたいにならない」ということです。
質問の前振りがなく、また相手からの回答に対してリアクションがないと、尋問やインタビューのようになってしまい、警戒心を持たれたり不快な思いをさせてしまう可能性が高まります。

○「融資エリアはどこですか?」
●「一応、当行の支店があるエリアということになります」
○「融資期間は?」

こういうのが尋問っぽい(下手な)質問です。
ちゃんと前後に言葉を挟みましょう。

○「自宅が横浜なので、神奈川県近郊での購入を考えているのですが、その辺りは融資エリアに入りますでしょうか?」
●「なるほど、当行は神奈川一円に支店がありますし、東京の西側と静岡の東側もカバーできていますので、大丈夫だと思います」
○「都内も対象エリアなのですね。西側というと山手線あたりまで・・という感じですか?西東京が東京の西側という意味でしょうか」
●「神奈川に近い東京ということなので、大田区や新宿・渋谷・世田谷・目黒などが対象です」

こんな感じの「会話」として成立していると、こちらの質問にも細かく具体的に答えてもらえるようになります。

ここまで、金融機関へのアプローチについて説明をしてきましたが、基本となるのは「事業主であるという自覚を持つ」「相手の立場や考え方に配慮する」といった姿勢です。
ちょっとした言葉の言い回しにこだわるのではなく、銀行や信金にとっての良いビジネスパートナーになりたいという思いが伝われば、きっと良い結果をもたらすことでしょう。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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