寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

25.老後2千万円問題と不動産投資

読者さんなどからの質問をテーマにする「誌上チャレンジ面談編」も、今回で25回目になりました。今回は質問ではなく、少し前に話題になったニュースをテーマにしたいと思います。
※コラムで採り上げて欲しい質問がありましたら、こちらの問い合わせフォームからどうぞ。個人名などは伏せた上で、回答をさせていただきます。
投資家けーちゃんへの質問

「普通の日本人」のお金感覚

話題になったニュースは、いわゆる「年金2千万円問題」とか「老後2千万円問題」などと呼ばれるものです。

皆さんご存じかと思いますが、金融庁のワーキンググループが作成した報告書に、「老後には年金以外に2千万円の資金が必要」という試算が盛り込まれていたというもので、予想以上の大きな騒ぎになったためか、麻生太郎金融担当相が報告書の受取を拒否する事態にまで発展しました。

正直、報告書を作成した人たちも麻生大臣も、ここまでの騒ぎになるとは思っていなかったのではないでしょうか。大臣の報告書受取拒否を受けて、大規模な抗議デモまで発生する始末です。

当時のデモの様子

一連のニュースとデモに参加する人たちの映像を見て、ぼくはとても不思議な感じがしました。日本には「年金だけで大丈夫だ」と思っているような人たちが、これほどたくさんいたのだという事実に対してです。

物価水準が今と変わらなかった場合でざっくり計算しても、60歳から85歳までの「老後」の期間に年間300万円くらいの生活費が必要だとすると、合計で7,500万円です。
その金額を18歳から60歳までの積立期間で割ると、1ヶ月あたり14.8万円以上にもなるのです。
長期の積立でそれなりの運用益が出たとしても、これまで自分が支払っている国民年金や厚生年金の金額を考えて、足りる訳がありません。

このコラムをお読みになっている方のほとんどは、この「2千万円問題」に怒りを感じたりはしなかったと思います。「ああ、そりゃそうだよね」とか「むしろ2千万円くらいでは足りないと思った」という方が多かったのではないでしょうか。

要するに、平均的な日本人のお金や将来設計に対するリテラシーというのは、皆さんが思っているより低いということなのです。
実際に、これらのニュースで初めて(やっと)危機感を持ったような人は多いようで、巷の投資セミナーなどは大盛況だとのことです。

投資が成立する前提条件

これまでも、今から思えば「どうして?」というような稚拙な考えと行動で、投資を失敗させた人はたくさんいます。

バブルに浮かれて何の知識もないままピークの価格で株や不動産を買ったり、リーマンショックで自分まで精神的ショックを受けて絶好の買い場を逃したり。
最近では、現実味のないプランと相場を無視した家賃設定をノーチェックで信用して、割高なシェアハウスを億単位の借金をして買ってしまった人たちもいました。

不動産の勉強を頑張るほど、ほかにも頑張っている凄い人のことをよく知るようになり、「周りが自分より賢い=これから参入しても勝てない」というような思考回路になってしまうことがありますが、そんなことはありません。
いつの時代も、投資で成功できるリテラシーがある人はごく一部ですし、今でも「年金だけでは足りないだと?政府ふざけるな!」という程度の人たちが大人の平均レベルなのです。

不動産に限らず、投資というものは少なからず「自分よりレベルの低い人が常にいる」という前提条件を信じていないと踏み出せないところがあります。

株であれば、「もう上がらないだろう」という株を「これからもまだ上がる」と信じて買う人がいるからこそ、安く買って高く売ろうという投資行動が成立します。
不動産でも、「売主さんは気づいていないようだけど、この物件は少し手を入れるだけで入居率も家賃も劇的に改善するはずだ」という確信があるから、利益の出せる物件を買うことができるのです。

これが逆に、「周りはみんな、自分より賢い」という前提だと、怖くて不動産など買えません。
ですからしっかり勉強して情報を集め、取引の相手や(売買時)近隣の大家さん(賃貸運営時)に負けていないという自信を持つことが、不動産で規模を拡大していく重要な要件だったりする訳です。

2千万円を不動産投資に換算すると・・・

さて、2千万円問題のほうに話を移してみますと、この「2千万円」という金額の根拠はざっくり言うと

・年金給付額と実際に支出している金額を比べると、支出が毎月5万円程度上回る。
・月5万円の不足で人生100年時代を考えると、2千万円の貯蓄が必要だ。

ということらしいです。

生活を切り詰めたらどうなるかなどの突っ込みどころは確かにたくさんあるのですが、大切なのは、報告書には「2千万円が必要」な理由として「毎月あと5万円必要」だと書かれているという点です。
であれば2千万円を貯めるより、毎月5万円の安定したキャッシュフローを確保したほうが簡単ですよね。

不動産投資で月に5万円のキャッシュを生む方法は、たくさんあります。
数百万円のキャッシュで戸建を買う、公庫を使って高利回りの中古アパートを買う、信頼できる業者さんの新築アパートを買う(まだ新築には融資が付きやすいです)などなど。
このコラムをお読みになっている方でも、毎月5万円以上のキャッシュフローを既に得ている方はたくさんいらっしゃることでしょう。
安心してください。そういう方は自力で2千万円問題を解決できています。

また、例えば30歳くらいの方が小さな戸建を購入して、月額5万円のネット収入を得られるようになったとしましょう。そうすると「この収入が老後まで続くはずがない」という心配が生まれます。
しかし、この物件からの収入は10年で600万円になります。そうすれば同じような不動産をもうひとつ購入できますし、古くなった戸建を売却して資金を作ることもできます。ネット収入はどんどん増やせますし、本当に現金で2千万円貯めることだって難しくありません。

つまり、あれだけ騒がれた2千万円問題も少しの不動産投資で楽々解決できるものであり、少子高齢化の折それくらいの自助努力を国民に求めて何が悪いのかと思います。
既に投資を始めていたり関心を持っている皆様は、そういった「普通の日本人」がたくさんいるということをこの一件で理解していただき、安心して投資を続けていただければ幸いです。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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