今回のコラムは、「奥さんに反対される」などと並んで相談の多い「不動産投資の活動が勤務先にバレるのが心配で不動産投資に躊躇してしまう」というものです。
これについては、いろんなところで散々語られたテーマですし、今さらぼくが話をするようなことでもないのかなと考えていました。また、最近は企業の副業容認化の流れも加速しており、「バレたら」のような心配をするような人もいないだろうと思っていたのですが、そうでもないようです。
そこで、このコラムでは「よくある回答」ではない答えを用意してみました。
その前に「よくある回答」について
ぼくは不動産を仲介・販売する業者ではないので、コラムを読んでいる方が「会社バレ」を危惧して不動産投資をしなくても全然問題ないのですが、結論としては特に心配するようなことはないと思っています。
まず、不動産投資は事業性が高いものでもあくまで「投資」であり、禁止することが難しい行為です。定期預金でさえ、普通預金以上の運用益を狙った投資であり、「ここまでは良いけど、あとはダメ」という線引きがとても難しいです。
また、賃貸用のアパートやマンションは相続によって自分が保有することになるケースも多く、それを禁止することなど企業にはできません(相続だけが例外とする規定を作ることも、財産による処遇差別になるので難しいと思われます)
さらに、不動産投資の活動を勤務先が把握することそのものが難しいです。
勤務先に活動がバレてしまう原因としては、
・確定申告の際に住民税の支払いで「特別徴収」を選択してしまい、勤務先に納税通知が届いてしまう。(特別徴収についてはこちらを参照)
・出版、セミナー、その他の対外活動により「身バレ」してしまう。
・就業時間中のサボり行為(会社のPCから不動産会社に連絡するなど)
・調子に乗って同僚などに不動産収入のことを自慢してしまう。
くらいしかありません。
いずれも普通に慎ましく活動していれば、全く問題のないものばかりです(笑)
また、公務員の方などで本当に厳しい就業規則上の制限があるような場合は、配偶者を代表にした法人を設立し、ご自身は取締役として関与するか、それさえ難しい場合は当該法人の株式を保有することで、実質的には自分が不動産を保有しているのと同じ状態を作ることができます。
やりたくないから「会社のせい」にしている
ここからが本題。上記のように、不動産投資をすることはサラリーマンとしての立場に悪い影響を与えてしまう可能性は極めて低いということが分かります。
それなのに、「勤務先が・・・」という理由で不動産投資を躊躇しているような人は、ぼくから言わせれば「本当は不動産投資をしたくない」のです。
以前のコラムで、アドラー心理学の考え方を用いて「不動産投資をしない理由を“後付け”で作りだしてしまう」心理状態について説明しました。
借金が怖いとか失敗してしまうのがみっともないなどの本能的な思考を、もっともらしい外的要因でそれっぽく理由付けするのです。
実際に、チャレンジ面談に来られて不動産投資をスタートされた方でも、一般的に不動産投資が難しいような職業に就いているケースは珍しくありません。
具体的には、公立高校の先生(当然公務員です)、大学教授、警察官、自衛隊員、消防士、銀行員、政治家の方が面談にいらしたことがあります。
5年くらい前と違って、そもそも今は企業が副業自体を容認するようになっています。
終身雇用が維持できなくなった時代ですので、雇用主といえども社員の就業外活動を禁ずるようなことはできないのが現状なのです。
辞めた方が規模は増える。
ここまで言っても「いや、本当に会社にバレたらクビになるので怖いんです」という方がいるかもしれないので、最後はそういう極度の心配性の人向けのアドバイスをさせていただきますと、クビになっても生活に困るようなことはありません。
今はサラリーマン投資家向けの融資が極めて厳しく引き締められている状況ですので、勤務先を辞めたとしても、属性面で大きく不利になるようなことはありません。
むしろ、これまで「本業」に費やしていた膨大な時間を不動産活動に振り向けられることで、サラリーマン時代以上の成果を簡単に出すことができるでしょう。
時間さえあれば、築古の戸建物件をリフォームして実需向けに転売することで、まとまった資金を一気に稼ぐことができますし(あまりやりすぎると、宅建業法違反になるので注意して下さい)、サラリーマンでは手が出しづらい手間が掛かる物件を購入できるようになるので、当面のキャッシュフローも意外と簡単に確保できるでしょう。
また、いわゆる「専業大家」として法人を作り、しっかりと事業として賃貸経営を行うことで、金融機関からは「事業者」として見なされ、最終的にはサラリーマン属性以上の融資を受けられるようになるはずです。
ということで、ここまで様々な角度から「副業禁止の会社で不動産投資を行う」ことについて述べてきましたが、
・そもそも不動産「投資」は副業に当たらない可能性が高い
・法人化など、禁止規定に抵触しない方法がある
・終身雇用が崩れたご時世、副業は容認されていく方向にある
・自分が気をつけていれば勤務先に分かってしまうことはない
・最悪クビになってしまったとしても、規模拡大にはむしろ有利
という5段構えで全く心配はありません。
それでも不安があるなら、それは「勤務先に見つかること」ではない別の原因から来る不安であるはずです。
不動産投資なんてやりたくなければならなくていいのですが、できない理由を勤務先のせいにするのはやめましょう。