2020年になりました!今年もよろしくお願いします。
去年は特に頑張らなくても物件は増えていき、入居率も好調だったので、少しのんびりしてしまったかもしれません。今年は限られた時間を有効に使い、より充実した1年にしたいと思います。
さて、年が変わると必ず出るのが「今年の不動産市況はどうなるか」「買い時か、売り時か」という話題です。
コラムを長くお読みの方なら、ぼくがこういう話をあまり好きでないのはご存じかもしれません。「売り時」というのはあるかもしれませんが、不動産は基本的に「早く買うほど良い」と考えているので、買い時について議論をしても意味がないからです。
しかし、相変わらず「今は買い時ではない」と言いながら年を重ねている人も少なくないということで、年明け最初のコラムで検証をしてみたいと思います。
買ったからこそ実績ができる
一般的に「買い時かそうでないか」は、不動産の価格が割安であれば買い時だし、高騰している時期はそうではない、という考え方で語られています。
しかし、株式などと違って不動産の価格は融資の状況と強い相関関係があります。
不動産の価格が上がるのは、融資情勢が比較的緩くて買える人が増えるからであり、逆に価格が下がる時期は融資が厳しく、不動産を買える人がぐっと減ります。「もっと下がったら買おう」と思っていたとしても、実際に下がった時に融資を受けて買えるかどうかは分からないのです。
ちなみに2019年は不動産への融資が厳しく閉まった年でしたが、ぼく自身は新規で2億円弱の融資を受けていくつか物件を購入しました。これまでと変わらず融資を受けられているのは、自分がずっと前から不動産を購入して賃貸経営を行っていることで、銀行に対しての「実績」があるからです。
ちなみに、銀行に対する「実績」というのは主に3つの指標があります。
1.不動産を購入して、高い稼働率をキープしている。
2.決算書や確定申告書で、利益を出し続けていることが確認できる。
3.家賃収入の積み重ねによって、純資産を増やしている。
不動産を早く買うことは、この3つの指標全てにおいて有利に働きます。
買い時かそうでないかに関わらず、早く不動産を買ってきちんと運用することが、世に言う買い時において割安な物件を購入するためのチケットになるのです。
早く買った人と、安く買った人の比較
そうは言っても、「買った不動産の価格が下がってしまうのなら、やはり下がった後で買った方がいいのではないか」という疑問は残ると思いますので、今度は数字で確認してみましょう。
例として、非常によくある感じの収益物件を使ってみます。
投資家のAさんが下記の物件を購入しました。
・購入価格1億円
・購入時点で築20年
・表面利回り10%(満室時年間収入1千万円)
・借入金額1億円、金利2%、25年返済
この物件を今買う場合と、もう一人の投資家Bさんが同じスペックの物件を、3年後に10%下がった9千万円で買う場合を比較します。分かりやすいのでフルローンにしていますが、融資の条件は前後で同じならどのようなものでも構いません。
上記の条件の場合、Aさんの年間返済額は元利均等で5,086,248円です。
満室時家賃から空室損や運営経費を除いたネット収入を750万円と仮定した場合、年間の税引き前キャッシュフローは2,413,752円になりました。
これを3年間蓄積すると、7,241,256円です。また、返済を3年間続けると、当初の借入金は90,466,025円に減ります。
さて、3年後に相場が下がって不動産価格が全体的に10%安くなっていたとすれば、Aさんが買った築20年の物件を、Bさんは46万円ほど安く購入できることになります。
この時点でのAさんとBさんの状況を比べてみましょう。
Aさん
・築23年の物件を保有
・残債はBさんより46万円多い
・蓄積したキャッシュフローは累計720万円以上
・既に決算を3期終え、金融機関に対しての実績がある
Bさん
・築20年の物件を保有
・残債はAさんより46万円少ない(9千万円のフルローン)
・得られた家賃収入なし
・決算経験なし
不動産価格が下がったのは、当初は予測できなかった「結果論」に過ぎませんし、下落幅もかなり多めに見積もっていても、客観的に見ればAさんの方が良い状況であるのは間違いありません。不動産価格が3年の間に上がる可能性だってあります。
さらに、相場が10%下がった3年後には融資情勢は厳しくなっているはずなので、Bさんが融資を受けられるかどうかも全く分かりません。買えずに終わる可能性もあるのです。
不動産はいくつでも買える
それでも、築年数などのリスクが心配で、「それでもBさんの方がいい」という人がいるかもしれません。しかし、ここで見落としていけないのは「3年後のAさんもBさんのような物件を買える」ということです。
不動産投資は、「より良い物件をひとつだけ買う競争」ではありません。早く始めれば次の物件を買えるようになるのも早いのです。相場を見過ぎてなかなか物件を買わないBさんと、コンスタントに物件を購入しているAさんとの差はどんどん開いていくでしょう。
「凄く儲かるかどうか」よりも「損をしないか」が大切
基本的な考え方として、不動産というものは
1.保有期間中に安定してキャッシュフローが出る
2.購入時に拠出した自己資金を回収したあと、残債以上で売却できる。
この2点を満たしていれば、少なくとも損はしないものです。
儲かり方にはもちろん差がありますが、相場を見過ぎて10年に1度のベストタイミングを見極めようとするよりも、「この物件買ったら結構儲かりそう!アテが外れても損はしないな」という程度で購入の決断ができる方が物件をたくさん買えますし、利益も多く出せます。
物件を多数保有しているメガ大家さんで、数年間以上の購入購入ブランクがある人はほとんどいないことを考えても、「早く買う、多く買う」ことのメリットがご理解いただけると思います。
名画「燃えよドラゴン」の冒頭では、主人公のブルース・リーが「考えるな、感じろ」と弟子に教えるシーンがありますが、不動産の場合は「考えるな、買え」というスタンスで行動するくらいで良いのかもしれません。見極めなければいけないのは個々の物件についてのスペックや賃貸需要であり、購入時期ではないのです。