寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

32.不動産投資における「価値と家賃」の考察

前回の「大家さんのリスク感覚」についてのコラム、いかがでしたでしょうか。

いま日本は、新型コロナウィルスによる警戒ムードがすごく、おそらくコラムがサイトに掲載される頃も大きな変化はないと思います。
感染力が高く、死に至る事例も可能性も低くはないということでナーバスになる気持ちも分からなくないですし、もちろんマスク着用や手洗い消毒などの対策をして備えるべきかとは思いますが、日常生活においてコロナウィルス感染よりもリスクが高いことはたくさんあります。

Twitterでこんな発言をしました。

これもリスク感覚の話ですよね。人は自分にとって興味のあるリスクにしか注目しないという訳です。
さて、今回のテーマは繁忙期の空室対策についてです。

「家賃が高い」を真に受けない

ここでも、ひとつTwitterの紹介をさせていただきます。

人が普通に住める場所であれば、「家賃以上の価値を提供して」「仲介会社さんがしっかり募集してくれれば」空室は埋まるということです。

今回はこの2つの要素のうち「価値」に焦点を当てて解説していきます。
大家さんの話の前に、街の定食屋さんを例に出して考えてみましょう。

定食屋さんはランチを千円で提供していますが、売上が芳しくありません。
もう少し売上を増やそうと知り合いに試食をしてもらいましたが、出てくる意見は「うーん・・・これで千円はちょっと高いかなぁ」というものばかりです。

店主はこの意見を真に受けてしまい、定食の値段を下げるだけの対応しかできませんでした。
価格を下げることは利益を直接圧迫しますし、材料費をケチったりすることでさらに客足が落ちる可能性もあります。
案の定、値下げをしてすぐは少しお客さんが増えましたが、以前より料理の味が落ちているのでリピーターになる人は少なく、さらにはこれまでの常連さんまで離れていってしまったので、お店の経営は一層悪くなりました。

このお話、大家さんにもありがちではないでしょうか?
お部屋探しをしている人が、何らかの理由でその部屋への申込を見送った場合、直接的に出てくるコメントとしては

「ちょっと家賃が高いかなと思いました」

という形になることが多いかと思います。

「もう少しお部屋の雰囲気が明るくキレイで、ウォシュレットが付いていればこの部屋にしたと思います。ちなみにこのアパートは名前もダサかったので、もっと格好いい名前の部屋に決めました」

なんていうフィードバックは来ないので、大家さんはつい家賃を下げる対応をしてしまいがちです。
「家賃が高い」という言葉は厳密に言うと「提供されているものと価格が釣り合っていない」という意味なので、そのまま真に受けて安易に家賃を下げないようにしましょう。

価値の上げ方を知らないと・・・

では、どうしたら価格(家賃)に見合った価値を提供できるのでしょうか。
再び定食屋さんに登場してもらいましょう。

定食屋さんの店主は、価格は千円に据え置きながらもお客様が満足できるような方法はないかと考えました。しかし何日考えても良いアイデアは浮かびません。
他の繁盛店に足を運んでリサーチしたり、飲食業の先輩にアドバイスを聞くこともできたはずですが、そういうことはしませんでした。

店主は「満足度を上げる」方法を全く知らなかったので、唯一思いついた「料理の量を増やす」というアイデアを試してみました。
このアイデアは一部のお客さんには好評でしたが、元々量が少ないお店ではありませんでしたので、食事を残すお客さんが続出して廃棄の食材が増えてしまい、コストが増えただけという結果になりました。

定食屋さんは、満足度を上げるためにいろいろなことができたはずです。
お店をキレイにする、接客を改善する、味付けのバリエーションを増やす、仕入れを工夫して新鮮な材料を使う、店内にBGMを流す、キャッシュレス決済に対応する、営業時間を工夫する、ポイントカードを導入する、白米と雑穀米を選べるようにする・・・アイデアは無限に出てくることでしょう。

大家さんも同じで、価値の上げ方についての方法を知らないと、効果は薄いけど多額の費用が掛かるような施策しかできません。
いきなりお風呂やキッチンを全交換したり、究極的にはまだまだ使える建物を取り壊して建て替えたりといったことをやってしまうのです。

価値を上げる方法は、大家さん(不動産賃貸業)に限らず、既に成功している事例を真似たり、経験者からアドバイスを受けたりすることで学ぶことができますが、そういう努力をしている人は多くありません。

価値を構成する要素とは?

上手な価値向上を実施していくためには、「価値」を構成するものについて理解をしなければなりません。
不動産の価値というと、真っ先に思い浮かぶのが「立地」です。そして「建物が新しい」「部屋が広い」「天井が高い」など、変えられないものや買えるためには大きなお金が掛かるものばかりを思いつきがちです。

しかし、賃貸住宅の価値向上には「お金がまったく掛からないもの」「少額の出費で大きくイメージが変わるもの」もたくさんあります。
そういった改善策の事例をたくさん知ることで、物件に応じてそれらを使い分けられるようになり、結果として家賃を下げずとも空室を埋めることができるようになってきます。

いくつか紹介しましょう。

◇清潔感
 誰も住んでいない空室でも、次第にお部屋は汚れていきます。
 定期的な清掃はもちろん、トイレやキッチンの水を流して臭いが充満することを防いだり、夏場には雑草を抜いたりして見栄えを良くします。

◇明るさ
 テレビの収録でタレントさんに強めの照明を当てることから分かるように、部屋を明るくするだけで印象をアップさせることができます。内見用の簡易照明であっても、十分なワット数を確保しましょう。

◇物件名称
 建築時のオーナーの名前がついたアパート名などはイメージが悪いです。
 響きの良い英語やイタリア語などの単語を使って、オシャレな印象を与える物件名称を考えましょう。

◇ダイノックシート
 住友3Mという会社が製造しているシート。古いキッチンやドアなどの建具に貼ると、新品のように生まれ変わります。1ヵ所数万円で施工できるので、取り替えの前に試してみる価値があります。

◇シングルレバータイプの混合栓
 お湯と水の量を別のハンドルで調整するタイプの水栓は非常に使いづらいです。温度設定ができるタイプも安いものがたくさんあって、数万円で取り付けができます。

◇コンセントプレート、スイッチプレート
 どちらも壊れやすいものではないので、建築時から交換されていない物件も多いですが、気づかないうちに素材が黄ばんで古くささを増加させます。ホームセンターで買えば1つ100円前後ですし、自分で簡単に取り付けることができます。

◇ワックス
 少しくらいの傷でフローリングの貼り替えをするとコストアップの要因になります。床用のワックスを厚めに塗っておけば、内見時には新品のように見えます。

もちろん、まだまだたくさんあります。自分の中に、こうした価値向上のアイデアがたくさんストックされていれば、家賃を下げずに入居率をアップさせることも難しくありません。
日々の情報収集を欠かさず、たくさんのストックを持つようにして下さい。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社LIFULL(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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