寺尾 恵介の不動産投資コラム

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34.キャッシュフローの正体

この度、約2年半も更新が滞っていた個人ブログをリニューアルしました。

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こちらのコラムに比べると時間を掛けずに書いているので、まとまりのない話が多くなりますが、割と頻繁に更新していますので、コラムと合わせてお読み頂ければ幸いです。

さて、引き続き世間はコロナ一色といった感じですが、ここへ来て宿泊や外食関連を中心に倒産する会社が増えてきました。また、賃料や銀行への支払が困難な人やお店も出てきています。

資産を持っている会社、つまり「売ったらお金になるものを持っている会社」でも、売上減少などで日々の現金の流れが止まれば、あっという間に倒産してしまいます。
「売ったらお金になるもの」が資産であれば、「日々のお金の流れ」がキャッシュフローです。資産があってもキャッシュフローがなくなれば、会社は存続できないということです。

言うまでもなく、不動産投資でもキャッシュフローは大切です。
今回のコラムでは、このキャッシュフローについて考えていきたいと思います。

黒字でも倒産する理由

キャッシュフローは、「家賃収入からローン返済、管理費などの経費や税金などを差し引いて手元に残るお金」という定義です。不動産投資でも、企業会計でも同じ意味で使われている言葉です。

キャッシュフローが不足したり、なくなったらどうなるか?
答えは簡単。事業は死を迎えることになります。

不動産投資であれば、貯蓄がどんどんと吸い取られていき、最終的にはローンの返済が滞って破産に至ります。企業でも同じく債務の返済に支障を来したり、手形や小切手の決済ができなくなる、いわゆる「不渡り」という結果につながります。
6ヶ月以内に手形の不渡りが2回発生すると、「銀行取引停止処分」という大変重い処分が科せられます。中小企業にとっては、基本的には倒産するのと同じ意味合いです。

コラムをお読みの方も「黒字倒産」という言葉を聞いたことがあると思います。
会計上では黒字であっても、ローンの返済割合が高すぎたり売掛金の回収スパンが長すぎることが理由で、自社の支払ができなくなってしまうことを言います。

同じ利回り10%の不動産を買ったとしても、ローン返済期間が3年であれば満室時家賃の3倍のお金が出ていって破綻しますし、金利のみの支払いであれば空室率が7割でも手元にお金が残ります。前者のような状態がまさに「黒字倒産」ですね。

キャッシュフローが出なくても良い投資とは?

ということで、キャッシュフローは事業が存続するために必須の要件であり、必ず確保しておかなければなりません。
特に、投資を始めた初期の頃は手元の現金が乏しいことが多いので、修繕などの突発的な支出や急激な入居率低下に耐えるためにも、キャッシュフローを投資の最優先指標として考えるべきでしょう。

例えば、1億円で売っている利回り5%の物件があるとして、これが5年経てば確実に2億円で売れるとします。でも、フルローンで買えばキャッシュフローはほぼゼロです。5年後に売却するまで持ちこたえられる可能性はかなり低いでしょう。
これは「儲かるけどキャッシュフローが出ない物件」です。

しかし、既に他の事業や別の保有物件から月額200万円のキャッシュフローを確保していたり、手元に億単位の預金があるような場合はどうでしょう。
保有している間はお金が出ていく一方ですが、それに耐えうる資力があれば5年後に大きな利益を手にできます。同じ不動産でも、「キャッシュフローが出ないけど儲かる物件」に変身するのです。

一般的に「キャッシュフローは出ないけど儲かる物件」は、資産家やプロが好んで投資をする分野です。典型的なのが「開発行為」なので、その流れを見てみましょう。

1.開発地域の人や会社に立ち退き交渉、用地を仕入れる
2.その土地に分譲マンションを建築する
3.マンションの広告を作ったり営業マンを雇って販売する
4.売れてお金が入る

立ち退き交渉を開始してから物件が売れていくまで何年も掛かりますが、開発会社は何年もの間お金を払っているだけの状態です。マンションが売れれば莫大な利益になりますがゴールである「4.売れてお金が入る」にたどり着くまでキャッシュフローはずっとマイナスの状態が続きます。

こういったビジネスモデルが成立する理由は、開発行為を行う事業者に「十分な手元資金」と「別事業でのキャッシュフロー」があるからに他なりません。

上記の例から分かるように、キャッシュフローの出ない投資が必ずしも投資としてダメだという訳ではありません。ご自身に十分な余力(手元資金とキャッシュフロー)があれば、いわゆる「出口」でまとめて利益を得るような投資を行っても良いでしょう。
具体的には上記のような開発行為をはじめとする新築系、古くて荒れた戸建を購入して修繕の後に売却するような手法です。(宅建業法違反にならないよう気をつけて下さい)

過剰なキャッシュフローの弊害

「キャッシュフローは多ければ多いほど良いか?」と質問されれば、答えは「YES」であるのですが、そのためにはキャッシュフローの出し方が適切でなければなりません。

一般的な融資を使った物件購入でキャッシュフローを増やそうとする行為は、通常「返済期間を長く取る」ことにつながります。投資の安全性を高めるというメリットはあるものの、返済期間を無理に延ばすことは利息負担を増やしてしまうほか、現金が物件の実力以上に手元に残ってしまうことで、過剰な支出や投資を助長してしまうというリスクの原因にもなります。

融資の緩い時期には、利回りが不足しているような物件を販売・仲介する際に、返済期間を極端に長くした収支シミュレーションを顧客に提示することで、その物件をなんとなく良さそうに見せるテクニックも存在しました。(そういう物件を買った人も大勢いました)

自分の場合は、既に一定のキャッシュフローと現預金をキープできているので、新たに購入する物件では返済期間を15~20年程度に抑え、キャッシュフローよりも返済を進めることに重点を置いています。借入の返済が順調に進んでいれば、次の融資も受けやすくなるというメリットにもつながります。

キャッシュフローは○○と同じ

ここまでの説明をまとめると

・キャッシュフローは必要。投資の初期段階では最優先項目。
・ただし「キャッシュフロー=投資の成功」とは限らない。手元に残る現金ばかりを重視し過ぎると、物件の善し悪しを見誤る可能性が高い。
・キャッシュフローが出ないけど良い投資というものもある。ただし、そういう投資は既にある程度のキャッシュフローが確保できていないと取り組めない。
・実力以上の現金を手元に残す弊害もある。

といったところです。

「絶対に必要。なくなると死ぬ。ただし、過剰に追い求めてもあまり良いことはない」という点でいうと、キャッシュフローは空気と似ています。
今の人生の課題が「少しでも多くの空気を吸うこと」だという人はいないでしょう。必要量だけしっかり確保した上で、本当に大切なことを大事にしていきましょう。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社LIFULL(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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