寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

35.2020年版「リタイアのルート」

「リタイア」という言葉は、20年くらい前まではマラソンやF1などでレースを中断するような時しか使われませんでしたが、ロバート・キヨサキさんの書籍「金持ち父さんシリーズ」が出てからは、むしろプラスのニュアンスで使われることが多くなりました。

特に、不動産投資では有名な投資家の方が「サラリーマンが不動産投資でリタイアする会」というコンサルティンググループを運営していたこともあり、ひとつの成功の形として多くの投資家さんが目標とする輝かしい地位を確立しています。
一般的には、家賃からのキャッシュフローが給与や生活に必要な金額を上回り、会社員を卒業することを「リタイア」と呼んでいるようです。

このリタイアについては話したいことが多くありますが、今日は「これからの不動産リタイア」の方法論について書いてみようと思います。

ルートが決まっている時代

2003~2018年までの15年間は、リタイアのためのルートがほぼ決まっていました。決まっているというよりは「ルートがきちんと整備されていた」というほうが適切かもしれません。

具体的には、以下のようなステップで給与レベルのキャッシュフローを獲得するというものです。

1.積算の出ている、できるだけ築浅のRC一棟ものを買う
2.基本はフルローン。極力自己資金を使わず買い進める
3.融資枠を使い切る段階では、信用情報に借入歴が記録される前に複数棟を一気に買う
4.4~7億円くらいの不動産を買ってリタイア

この手法が通用していた時代は、「サラリーマン向けに一定の金額まで融資をする金融機関」が常にあり、評価さえ出ていればフルローンも出る時代でした。
また、銀行が求める金融資産の基準はかなり緩く、貯金が少なくてもある程度は買えました。

しかし、時代の流れもあり、かぼちゃの馬車のような事件もあり、制度を悪用した業者が各種のインチキをするようになったことから、上記のような「サラリーマン向け特別優遇制度」のようなものが各行とも縮小・廃止されていきます。

ルートが決まっていない時代

積算さえ出ていれば、その他の要素(経験、自己資金、銀行との取引実績など)がイマイチでも融資が出るという時代は、今では完全に終わっていると思われます。

これは短期間でポンポン買ってリタイアしようという人には、もちろん強い向かい風となってしまう環境変化ですが、全てがマイナスということでもありません。自分のツイッターでも、下記のようなことを発言しているのですが、

2018年頃までの良い時代であっても、サラリーマン投資家には「年収の●倍まで」というような融資額の枠がありました。
年収の高い人はもちろん多く借りられるのですが、仮に年収2千万円の人(ほとんどいない)が、その30倍まで(これもほとんどない)借りられたとしても、融資総額は6億円です。

いわゆる「メガ大家」になるのは、以前からサラリーマン向けの融資だけを使っていたのでは無理でした。だから、その規模を目指すためにはどこかの段階で「事業者」に転身して賃貸業に取り組む必要があり、その時期が早まっただけとも言えます。

最初から事業者として取り組むメリット

何事にも、メリットとデメリットがあります。
最初から事業者として取り組むデメリットはもちろん「自己資金をきっちり用意しなければならない」「拡大スピードが遅い」といったところですが、実はメリットもたくさんあります。

一番大きいのは「購入物件の種別が割と自由に選べる」というものでしょう。

かつてのフルローン投資の定番である、積算の出る中古RCは「割と地方にある」「維持費が高い」といった難点がありました。大規模修繕なんかしていたら絶対儲からないので、致命的な劣化の前に売り逃げるのがセオリーだったりします。
規模が大きくなる分、失敗したときの経済的リスクも尋常ではなく、実際に破産に近い状態に陥った人もいるでしょう。

しかし、事業者として取り組む場合、積算は銀行にとって「割と大事な物件評価の指標のひとつ」くらいの位置づけで絶対視されていません。
積算が出ないような都市部の物件をたくさん保有している投資家さんもいますし、ぼく自身も「与信を毀損するから買ってはならない」と言われていた区分マンションを数多く所有しています。

積算評価の正体

積算の話が出ましたので、最後の融資審査における積算の位置づけについて説明をしておきます。

金融機関は、物件の積算をはじめとした担保評価を見る前に、「借主がどういう人(または会社)であるか」を審査します。
そしてその次に、今回融資を申し込んでいる事業がきちんと利益を生むものか。貸したお金をしっかり返済できる水準であるか。返済年数までの永続性に問題がないかも確認します。

人や会社、そして事業性の審査を経て、さらに「金融機関の予想が外れて事業が立ちゆかなくなった場合、その物件を売却することで貸金の回収ができるか」を調べます。ここで初めて「物件の担保評価や積算」が登場するのです。

サラリーマン投資家にとって、物件購入の絶対的な指標であった積算も、実はそこまで重要な評価という訳ではありません。世の中には積算以下で売られている不動産がほとんどないことからも、そのことが分かると思います。
積算がでなくても、「購入するにふさわしい人」が買うのなら、ちゃんと融資がつくということです。

今の時代は「サラリーマン大家」時代をなるべく早めに終わらせ、早めに「事業者」として金融機関に認められるようになるのが得策です。事業化については過去のコラムでしっかり説明していますので、ぜひ参考にしてください。

そして、偏った物件種別ではなく自分の得意分野で規模を拡大していくことが、経済的自由=リタイアへの早道ではないでしょうか。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社LIFULL(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

石川 和寿

シリーズ連載: 不動産会社のプロの意見

最新コラム: 賃貸のプロが教える入居者募集の6つのコツ

藤田 博司

シリーズ連載: 不動産投資家が次に着目している民泊投資とは

最新コラム: 民泊の準備で困ったこと

逆瀬川 勇造

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資は常に融資との戦い?ローンの基礎知識や流れを解説

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 太陽光発電投資の利回りの推移は?利回りを上げる注目のセカンダリー市場

風戸 裕樹

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

最新コラム: 第2章 日本の不動産市場と海外投資(3)

金井 規雄

シリーズ連載: アメリカ・ロサンゼルスで不動産投資 7年で1億円

最新コラム: あとがき

橋本 秋人

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

最新コラム: コロナ影響で3年ぶりに下落!2020年基準地価から見える不動産投資のエリア戦略

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中 圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: No.54 ASEAN各国の2020年〜2021年の経済成長予測 

佐藤 益弘

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 新型コロナウイルス感染拡大から考える 大家がすべき対応 No.6 住生活総合調査からわかる 現状と未来の不動産投資2

菅井 敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2018/9/15+16 投資EXPO出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

鈴木 学

シリーズ連載: Withコロナの新・不動産事情

最新コラム: コロナ影響下のアメリカで激安お値打ち物件がなかなか出ない理由!

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

北野 琴奈

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

最新コラム: 地価下落地区増で、不動産投資メリットの享受を改めて考える

猪俣 淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: 売却による資金確保

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 米国不動産投資(2) ― サンディエゴ編

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

※ No.1表記について:不動産投資ポータルサイトが掲載をする物件数統計 2020年6月時点(フジサンケイビジネスアイ調べ)

※ No.1表記について:不動産投資ポータルサイトが掲載をする物件数統計 2020年6月時点(フジサンケイビジネスアイ調べ)

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ

情報セキュリティマネジメントシステム国際規格

株式会社LIFULLは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。