寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資に絶対失敗しない「スタンス」の決め方。

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

8.モテモテRC君と、どう付き合うか。

ぼくが不動産投資の物件調査を初めてしたのが、2004年の4月でした。
このコラムを書いている時点で、「投資家活動10周年」ということになります。長いようであっという間の10年間だった訳ですが、この10年間の間に不動産投資の世界もいろいろなことがありました。

一番の出来事といえばリーマンショックでしょうか。10年前は健美家や楽待などのポータルサイトもありませんでしたし、HOME’Sさん主催の不動産投資フェアも開催されていません。大家さん系のイベントは地主さんと業者を主なターゲットにした「賃貸住宅フェア」があっただけです。
収益不動産への融資は、三井住友銀行(SMBC)を利用することが圧倒的に多く、短期間のうちに数億円レベルの資産を作ったような人も少なくありません。
エリア的には札幌への投資が盛んでした。融資が付きやすい一方で、広告料や除雪の経費がかさんだ上に空室率が上がり、不動産投資の世界から撤退するような投資家さんが、2007年あたりから増えたと聞きます。

いろんな変化があった不動産投資の世界ですが、10年間まったく変わらない価値観として「中古RC物件の人気が高い」というのがあります。
以前も今も、中古のRCを探している人だらけです。10年という時間の中で、利回りが高くなったり低くなったりという波はありましたが、人気が高いということは不変でした。おそらく、これからもRCの人気は続くでしょう。
今回のコラムはこの中古RC物件について、投資スタンス上の考察をしてみたいと思います。

■モテモテの理由は「オンリーワン」だから。

RCの中古一棟ものマンションの人気が高い「モテモテ状態」である理由は、高い遮音性や耐震性能を持つからではありません。入居者から選ばれている理由のひとつではあると思いますが、投資家からの人気が高いのは何をおいても「融資に強い」からに他なりません。
47年という長い耐用年数のおかげで長期間の融資を受けることができ、価値の下落が緩やかなことから金融機関の「積算評価」も高くなる傾向があるため、販売価格と同じかそれ以上の融資評価が出ることも少なくありません。
そのような物件を集中的に狙っていくことで、自己資金に乏しい普通の人であっても、短期間で何棟もの物件を購入することができるのです。

この「融資に強い」という最強のメリットは、他の物件種別ではそう簡単に再現することができません。
例えば「土地値以下で木造アパートを買えば、フルローンが出る」という話を聞いたことがあると思いますが、金融期間は通常、「建物の耐用年数を過ぎたあとは、賃貸物件との役割を果たせないので収益を生み出すことはできない」と考えますので、

・法定耐用年数の範囲内で融資の返済が終わる。
・耐用年数経過後にしっかりとしたリニューアルをするための費用が貯まる。

のどちらかが実現できる範囲でしか、融資をしてくれません。返済期間は短くなりますので、融資ができる金額も下がるという訳です。土地値アパートでフルローンを受け続けている人がいるのは、そういう物件での事業実績が既にあるか、それなりの資産を持っているからだと考えて良いでしょう。

RCの一棟ものは、「事業実績のない投資家が持ち込んでも、満額ローン(フルローン)が受けられる可能性が比較的高い」という、オンリーワンの物件種別です。このオンリーワンが確固たるものである以上、これからもRCの人気は続くと思われます。
みんながRCをリクエストするので、金融機関からの評価が高いマンションは蒸発するように市場から消えていくほど早く売れてしまうのが現実です。

■競争を避けてRCと付き合う方法。

ではそんなモテモテRCとどう付き合うのか。「ライバルに負けないぞ!」という競争意識から無茶をすると、付き合ってはいけないババを引く結果になります。かといって、あまり選り好みしていると、いつまで経っても付き合う(買うって意味ですよ? 笑)ことはできません。
この膠着状態を打開するためには、以下の3つの方法があります。

1.時間のアドバンテージを持つ。

とにかく不動産投資に使える時間を増やして、情報をリアルタイムに受け取り、すぐに物件を見に行けるような体制を整える。とはいえ、現実的には難しい手法。

2.何らかの武器を持ち、競争の少ない物件を狙う。

他の人が手を出さないような物件を狙うことで、ライバルを減らすという作戦です。空室率が高かったり、かなり大規模なリフォームをしないと賃貸に出せないような物件を安く購入することができるようになります。
ただし、そういったライバルの少ない物件は融資に通りづらいというデメリットがありますので、作戦を採る前に金融機関から何らかの回答を得ておく必要があります。買えない物件を延々と探すのは、間違った投資スタンスです。

3.売主に自分を選んでもらう。

売られている中古RCマンションの中には、空きが多くて建物の劣化具合が酷く、普通には買い手が付かないような物件を不動産会社が安く買い取り、価値や耐久性を上げた(もちろん入居率も)上で再販されているものもあります。
そういう物件は、いくつもの業者さんがそれぞれの見込み客に対して一斉に情報を配信するようなことがないので、投資家さんの目に触れる機会が格段に少なくなります。競争はその販売会社の中でしか発生しないので、事前に売主である業者さんとの関係を強めることで、比較的スムーズに購入することも可能です。

初心者や未経験の方が採る方法としては、現実的にはこれがいちばん良いでしょう。このような業者さんは、融資についても金融機関と強いパイプを構築していることが多いので、個人的に案件を持ち込むよりも有利に審査が進むことが多いようです。

人気が過熱して利回りは減少傾向。耐用年数は長いかもしれないけど、配管や設備は木造物件と同じように古くなるので、メンテナンス費用も高額です。
さらに固定資産税は家賃1ヶ月分が吹っ飛ぶくらいバカ高く、エレベータが付いていれば保守管理と電気代で毎月10万円くらいは出費があります。

それであっても、莫大な資金のない投資家が融資をフル活用して買い続けるためには、RCマンションを選ばないといけないのが事実。それなら状況をしっかり受け容れて、その中で上手な方法を探していくのが現実的です。
RCマンションと上手に付き合って、規模をガッチリ増やしましょうね。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

石川 和寿

シリーズ連載: 不動産会社のプロの意見

最新コラム: 賃貸のプロが教える入居者募集の6つのコツ

藤田 博司

シリーズ連載: 不動産投資家が次に着目している民泊投資とは

最新コラム: 民泊の準備で困ったこと

樗木 裕伸

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資ローンと住宅ローンの違いと5つの金融機関の特徴

逆瀬川 勇造

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資は常に融資との戦い?ローンの基礎知識や流れを解説

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資で自己破産を防ぐには? 失敗の理由と破産回避法

風戸 裕樹

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

最新コラム: 第2章 日本の不動産市場と海外投資(3)

金井 規雄

シリーズ連載: アメリカ・ロサンゼルスで不動産投資 7年で1億円

最新コラム: あとがき

橋本 秋人

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

最新コラム: 住宅メーカーのアパート戦略と不動産投資家のとるべきスタンス ~大和ハウス、積水ハウス、大東建託の考察~

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中 圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: No.42 ASEAN各国の災害リスクとは?

佐藤 益弘

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 高齢化と不動産投資(2)~「簡易生命表」を見て、人生100年時代を理解する

菅井 敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2018/9/15+16 投資EXPO出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

鈴木 学

シリーズ連載: ヨーロッパの不動産事情

最新コラム: 欧州の経済大国ドイツの不動産事情

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

北野 琴奈

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

最新コラム: 物件購入後に出て行くお金、「想定外」を「想定内」に

猪俣 淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: 物件オーナーが火災リスクから身を守る4つのポイント

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 米国不動産投資(2) ― サンディエゴ編

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ

情報セキュリティマネジメントシステム国際規格

株式会社LIFULLは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。