猪俣 淳の不動産投資コラム

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

JREI第29回不動産投資家調査

2013年11月27日にJREI(一般社団法人 日本不動産研究所)の第29回不動産投資家調査が発表になりました。

年に2回、これこれこういった条件の物件だったら、キャップレート(満室時賃料から空室損・運営費を差し引いた正味の収入=営業純利益(NOI)を物件価格で割ったネット利回り)何パーセントで買うか?という調査です。

調査対象は、アセットマネージャー、アレンジャー、デベロッパー、生命保険会社、商業銀行・レンダー、投資銀行、年金基金、不動産賃貸会社など225社。

いわゆるプロの皆さん方です。

今回の発表は2013年10月1日現在の調査結果ですから、「東京五輪招致に伴う不動産市場の動向について」なんていうタイムリーな話題も。

肝心の本調査の方で押さえておくといいのは、

1)今後1年間の不動産投資に対する考え方

「新規投資を積極的に行う」、「当面、新規投資を控える」、「既存所有物件を売却する」といった、三つの設問に対して回答を求めています。

積極投資⇒前回88% 今回91%、控える⇒前回4% 今回5%、あるいは売却も前回30%前後だったものが26%に減っています。

まさにアベノミクス効果を反映したトレンドですが、実は積極がどんどん減って、逆に消極がどんどん増えて、丁度同じくらいに均衡したときがありました。

2009年4月。

リーマンショック(2008年9月)から半年後という感じの時でしょうか。

その傾向が表れ始めたのは07年10月からですからリーマンの1年前。パリバショック(2007年8月)のあたりということですね。

その後、それぞれが反転して今と同じくらいのレベルになるのは2012年10月。

民主党の野田総理が「近いうち解散」と繰り返していた頃には、市場は明るい兆しを感じていたということでしょう。

2)賃貸住宅一棟の期待利回り(これもNOI÷物件価格のキャップレートです)
東京の城南地区で5.2%(前回差5.4%)、大阪6.1%(前回6.4%)、福岡6.5%(前回6.7%)、札幌7.0%(前回7.3%)で、全国的に利回り低下傾向(つまり物件は値上がり)が見られます。

3)マーケットサイクル(市況感)
8段階で、回復期①~②⇒拡大期③~④⇒縮小期⑤~⑥⇒後退期⑦~⑧のどの段階にあるか?ということを現在と半年後の予想で回答してもらっています。東京は丸の内・大手町、大阪は御堂筋沿いのどちらもAクラスビルに対しての指標ですが、レジ系の参考にもなると思います。

東京は、前々回(去年の10月)調査で現在①⇒半年後②。これが、前回(今年の4月)調査で現在②⇒半年後③と予想通りの進捗を見せましたが、実は今回はやっぱり現在②⇒半年後③と実は足踏みをしています。
同様に大阪は、前々回①⇒①、前回および今回①⇒②となっています。

あとは、例の五輪招致の影響ですね。

4)「五輪招致に伴う不動産投資にかかる戦略の変更」

変更した・変更する方針だ・・・・・・10.2%
変更しない・変更する方針はない・・・39.0%
未定である・・・・・・・・・・・・・50.8%

意外です。

「変更しない」ないし「未定」の理由(複数回答)
全般的な影響を見極めるためにしばらく様子を見る・・・・・「変更しない」の70%、「未定」の93%

まぁ、そうでしょうね。

ただ、次に多いのは

そもそも五輪招致は不動産投資市場にあまり影響がないと考えている・・・「変更しない」の15%、「未定」の7%。

さらに、
5)五輪開催決定に伴う需要への影響(住宅)
要は、今回の招致でどのあたりのエリアまで需要の高まり(「やや」も含めて)があると予想しているかということです。

会場周辺地区・・・・・・・・・92%
東京都心・・・・・・・・・・・66%
東京近郊・・・・・・・・・・・31%
首都圏・・・・・・・・・・・・ 7%
主たる政令指定都市・・・・・・ 2%
その他県庁所在地の中心地・・・ 0%

実際にどうなるかは誰にもわかりませんが、みんな(投資家)がどう考えているか?ということは重要です。

結局は、景気は「気」でできていますし、投資家の集合体が市場ともいえますから。

【このコラムの著者】

猪俣 淳

猪俣 淳(いのまた きよし)1961年生れ横須賀市出身
株式会社アセットビルド 代表取締役

不動産・建築分野で30年以上働き、不動産管理・不動産売買・建築・投資・金融・保険の各分野における29の資格を持ち、みずからも収益物件の購入・売却・運営・資本改善を行う実践不動産投資家。
著書に「不動産投資の正体」「誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組合せ戦略」(住宅新報社)など多数。
新聞・雑誌への寄稿(ビジネス専門誌・一般週刊誌・海外も含む業界誌)、年間70件を超える全国での講演活動、ラジオ・TVなどへの出演もある。
また、IREM-JAPAN(米国不動産管理協会日本支部)の理事を兼任し、日本で数人のファカルティ(講師)資格を持つ。
ブログ「不動産投資にまつわる100の話」(人気ブログランキング最高位1位)。

保有資格
<不動産系>
宅地建物取引士/不動産コンサルティングマスター/不動産アナリスト/ハウジングライフプランナー
<不動産投資系>
CCIM認定商業不動産投資顧問/不動産証券化マスター/米国不動産投資マスター/米国不動産投資コンサルタント
<建築系>
一級建築士/震災建築物応急危険度判定士/既存住宅状況調査技術者/住宅メンテナンス診断士/住宅インスペクター/住環境測定士補
<不動産管理系>
CPM認定不動産経営管理士/CPM公式セミナー講師(メンテナンス及びマーケティング)/ CPM MPSA試験採点官/賃貸不動産経営管理士/管理業務主任者/賃貸住宅査定申請主任者/防火管理者
<金融系>
ファイナンシャルプランナー/ FP技能士/貸金業務取扱主任者
<保険系>
損害保険リテール資格/生命保険募集人資格
<相続系>
相続対策専門士/相続アドバイザー/事業承継スペシャリスト

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