猪俣 淳の不動産投資コラム

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

マレーシア(ジョホールバル)レポート2014

inomata08_01inomata08_02

“JB”といえば・・・・ソウル大統領(ジェームス・ブラウン)?ではなく、160万人の人口を300万人まで増やそうという大規模開発(イスカンダル計画)に沸くマレーシアの”ジョホールバル”。
ちなみに、「イスカンダル」というのは、「アレキサンダー」のアラビア語読み。マレーシア9州のうち7つの州にいるスルタン(王様)のひとりのお名前です(5年交代で国王になるらしいです)。シンガポール中心部からバスで国境を越え行ってきました。距離的には、東京⇒川崎間程度。国同士をつなぐ二つの橋に毎日30万人の人の往来があります。
東京23区が国になったようなシンガポールから、一歩マレーシア側に入るといっぺんに様子がかわります。
道路沿いにどこまでも続くアブラヤシのプランテーション。貧しい人々の集落。赤土がむき出しになった開発現場。「建築途中でデベロッパーが倒産して工事中止になるのは10%位でしょうか」「そこらじゅう赤土の荒野で完成するか怪しいもんです」なんていう言葉を現地をよく知る方々から聞きますのでまずは自分の目で確かめようかと。
結論からいうと、想像していたよりも開発が進んでいるなというのが率直な印象。チバリーヒルズ的なゴルフ場近くの5億円クラスの高級分譲地もありますし、ダウンタウンにいく途中には7000万円程度のデュープレックス(2戸1)も立ち並んでいます。土地が共有なわけでもないのになぜ連棟に?現地デベロッパーの担当者に理由を聞いたら、逆になぜ分離にこだわるのかわからないと・・・文化の違いでしょうか。
法制限によって外国人が買える価格帯が2014年1月からそれまでの50万リンギッド(約1650万円)から100万リンギッド(約3300万円)へと切り上げられましたので現地の皆さんが買うような物件は対象とならず、高額物件が市場となってしまうのもありますが、不動産価格は思いのほか高く感じました。不動産価格がべらぼうに高いシンガポールからこちらへ準富裕層を取り込むという意図も十分理解できますが、生活レベルが余りにも違い過ぎる国に果たして引っ越してこようと思う金持ちがどれだけいるかということが課題ではないでしょうか。

inomata08_03inomata08_04

JBで最大手のデベロッパーBERINDA社で400㎡1億5000万円(坪125万円)レベルの高層マンションを見せていただきました。シンガポールの超高額物件を見たあとですから同行の皆さんは思わず「安い!」と口々に言っていましたが、価格の比較をすること自体がナンセンスだと思います。都心3区と外房や三浦を比較する意味がないのと一緒です。そこにはそこなりの価値と対価があるわけで、それを理解しないと話がかみ合わなくなります。

inomata08_05inomata08_06

「18の銀行がこの町に進出している!」とやけに強調する社長に熱く説明してもらいましたが、ゴミだらけの路肩や、目抜き通りに面した完成半年近くでがらがらの低層ショッピングモール(こちらのエリアは建蔽率・容積率が厳しく、目抜き通りの商業地区であっても基本2~3階建てです)を見ると大丈夫?とついつい心配になってしまうわけです。
4棟のうち1棟だけ工事受注できたという大成建設のエンジニアの方がお二人、オブザーバー的な立場で説明に参加されました。日本の建築会社で安心+温泉(実際は水道水を沸かした大浴場というのが正しいですが)という組合せで、当該棟の購入者の半分は日本人ということです。
一般的なタイプのモデルルームも見せていただきました。150㎡で3300万円、家賃相場は15万円ということですから表面利回り5.45%ということです。管理費・修繕積立金は毎月1万円、固定資産税は年間3万円、火災保険は年間数千円とわずかな金額。
空室損を除いたNOIは165万円ですから、キャップレート(NOI÷物件価格)は5%ということです。融資は物件価格の60~70%(LTV)、年利4.5%で年数は最長30年(60歳完済!)K%(=年間返済÷借入額)6.1%ですから、借入をすると逆レバになります。収支計算上も借入は2000万円程度にしておいたほうがいいでしょう。
入居者が利用するであろう近隣施設として、高速道路を10分ほど走ったところにある巨大なイオン・モールの見学もしました。フードコートはエスニック、トイレはマレーシアンスタイルですが、特殊なものを求めなければ生活に支障はなさそうです。でも、特殊なものがときどき無性に食べたくなるんだよなぁ・・・大葉・ミョウガ・セリ・ごぼう・谷中生姜w

inomata08_07inomata08_08

そして再び高速道路を飛ばし、日曜日なのに駐車場ガラガラで大丈夫か?と心配になるレゴランドを横目に「スラバヤ開発公社」でイスカンダル計画全体の説明を受けました。
そのあと州の議事堂や日本でも良く見かけるイマドキのしゃれたショッピングモール・商業施設が集積したお台場的なエリアへ。ここでは船着き場を整備して、インドネシア・シンガポールへのアクセスを向上させるそうです。すぐそこの対岸はシンガポール。ここに4棟建てるから買わないかと・・・。

inomata08_09inomata08_10

2か国を駆け足で見てまわった個人的な感想としては・・
シンガポールは、「500億円を2%で運用しているので、所得税17%払っても毎月7000万円づつ貯まっちゃう。家にいると夫婦喧嘩になるので小さなオフィスを借りて一日中ネットサーフィンしています・・・」といった桁外れの富裕層がいるので、そういう人がキャピタルゲイン狙いで寝かせておくならいいかもしれません(そういった人は貸して家賃をもらうという発想すらしません(驚))。
ジョホールバルは、「シンガポールで仕事をしたいが居住コストが高すぎるのを問題と感じる一方、生活の質はそこまで求めない」という人が自分で住みながら、値上がりしたらラッキー、値崩れしてもあきらめる・・というのであればいいかもしれません。あるいは、2000万円前後の余裕資金があって、リスクテイクをできる人か。

結局、同行のCPMが12月完成予定のジョホールバルの物件をひとつ契約して帰りました。ビジネスにつながる可能性があるが、まず自分でやってみないとわからないというのが購入を決断した理由です。合理的で正当な判断だと思います。
ここ数年で、他にもホーチミン・上海・仁川・バンコク・米国のいくつかの都市と不動産投資の現場を見てきましたが、利回り自体は非常に低く基本的にキャピタルゲインの投資であるといえます。そして、バブル崩壊とともにババ抜き的な結末を迎えている国も少なくありません。
日本の場合、長く続いた不動産市況の低迷でインカムゲイン重視の投資が目立ちましたが、ここにきて明らかに潮目の変化を感じます。インカムも、キャピタルも両方狙える稀有な市場ということで各国の投資家が食指を伸ばしている気持ちも良く理解できます。
景気後退期はインカム、景気拡大期はキャピタルにフォーカスされがちですが、投資においてはどちらも大切です。そして、キャピタルゲインの方が短期で大きな利益が出やすいのも事実ですし、それは逆目にでる可能性もあるというのも事実です。
十分なインカムゲインはそのリスクを担保する意味合いもありますので、自分自身も日本国内の投資にやはり魅力を感じてしまうわけです。

【このコラムの著者】

猪俣 淳

猪俣 淳(いのまた きよし)1961年生れ横須賀市出身
株式会社アセットビルド 代表取締役

不動産・建築分野で30年以上働き、不動産管理・不動産売買・建築・投資・金融・保険の各分野における29の資格を持ち、みずからも収益物件の購入・売却・運営・資本改善を行う実践不動産投資家。
著書に「不動産投資の正体」「誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組合せ戦略」(住宅新報社)など多数。
新聞・雑誌への寄稿(ビジネス専門誌・一般週刊誌・海外も含む業界誌)、年間70件を超える全国での講演活動、ラジオ・TVなどへの出演もある。
また、IREM-JAPAN(米国不動産管理協会日本支部)の理事を兼任し、日本で数人のファカルティ(講師)資格を持つ。
ブログ「不動産投資にまつわる100の話」(人気ブログランキング最高位1位)。

保有資格
<不動産系>
宅地建物取引士/不動産コンサルティングマスター/不動産アナリスト/ハウジングライフプランナー
<不動産投資系>
CCIM認定商業不動産投資顧問/不動産証券化マスター/米国不動産投資マスター/米国不動産投資コンサルタント
<建築系>
一級建築士/震災建築物応急危険度判定士/既存住宅状況調査技術者/住宅メンテナンス診断士/住宅インスペクター/住環境測定士補
<不動産管理系>
CPM認定不動産経営管理士/CPM公式セミナー講師(メンテナンス及びマーケティング)/ CPM MPSA試験採点官/賃貸不動産経営管理士/管理業務主任者/賃貸住宅査定申請主任者/防火管理者
<金融系>
ファイナンシャルプランナー/ FP技能士/貸金業務取扱主任者
<保険系>
損害保険リテール資格/生命保険募集人資格
<相続系>
相続対策専門士/相続アドバイザー/事業承継スペシャリスト

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

石川 和寿

シリーズ連載: 不動産会社のプロの意見

最新コラム: 賃貸のプロが教える入居者募集の6つのコツ

藤田 博司

シリーズ連載: 不動産投資家が次に着目している民泊投資とは

最新コラム: 民泊の準備で困ったこと

樗木 裕伸

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資ローンと住宅ローンの違いと5つの金融機関の特徴

逆瀬川 勇造

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資は常に融資との戦い?ローンの基礎知識や流れを解説

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資の鍵「経費」を理解しよう!経費の種類・範囲は?

風戸 裕樹

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

最新コラム: 第2章 日本の不動産市場と海外投資(3)

金井 規雄

シリーズ連載: アメリカ・ロサンゼルスで不動産投資 7年で1億円

最新コラム: あとがき

橋本 秋人

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

最新コラム: 不動産投資で押さえておきたい土地の公的価格

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中 圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: No.41インドネシア不動産投資のチャンス その2

佐藤 益弘

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 高齢化と不動産投資(2)~「簡易生命表」を見て、人生100年時代を理解する

菅井 敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2018/9/15+16 投資EXPO出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

鈴木 学

シリーズ連載: ヨーロッパの不動産事情

最新コラム: 経済苦境続くギリシャ不動産のいま

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

北野 琴奈

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

最新コラム: 利下げと不動産投資

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 米国不動産投資(2) ― サンディエゴ編

寺尾 恵介

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

最新コラム: 27.「決算書思考」で不動産投資が変わる(前編)

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ

情報セキュリティマネジメントシステム国際規格

株式会社LIFULLは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。