猪俣 淳の不動産投資コラム

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

土地活用。複数の選択肢から最適解を導き出す方法

相続した実家をどう活用するかといった相談が先日ありました。
グーグルのストリートヴューで見ると、長方形で240㎡と聞いていた敷地の正面は縁石が20個並んでいますので間口12mと想像できます(縁石のサイズはひとつ60cmですから)。と、いうことは逆算すると奥行は20mということです。写真で見ると、南道路で手前に立派な庭があり、奥の方に約30坪という古い(築40年)家が建っています。ここまで、わかればいくつかの選択肢を検討するのは容易です。
相続したばかりで、父の想いを考えると売却してしまうのは考えていない・・ということですから、そこを使って何をするかということですね。
場所的には、最寄りの駅から徒歩10分程度の住宅地といった感じです。

1)解体して月極駐車場利用
2)アパート建築(1R 系は厳しそうなので40㎡程度の1LDK?)
3)改修後貸家+庭先を月極駐車場

これらが、考えられる選択肢。

1)解体して月極駐車場利用

①間口12mということは、車路5mを確保すると残り7m。普通車を駐車するには5mは確保しないといけないので、十分なスペースがとれます。また、奥行20mを1台あたり2.5m(できれば2.7m、ゆったりさせるなら3m取りたいところですが)の間口を取って割り付けた場合8台が駐車台数の上限という計算になります。
②ネットで「駅名+駐車場」と入れれば、相場がわかります。ここの場合、1ヵ月1万円(8台で8万円)がいいところだということがわかりました。
③年間売上は8万円×12か月=96万円
④空き状況を仮に10%、固定資産税は更地になると固定資産税の1/6評価、都市計画税の1/3評価(いずれも住宅敷地で200㎡まで。超分はそれぞれ1/3・2/3評価)の軽減が使えなくなるので、計算すると50万円位になりそうです。固定資産税評価は、全国地価マップで調べると良いでしょう。また、管理は契約賃料の5%程度で管理会社が受けてくれます。
⑤と、いうことは96万円-10万円(空損)-50万円(固定資産税等)-5万円(管理手数料)=31万円(年間のNOI)
⑥更地にするには、解体費用120万円(坪単価3万円×30坪と整地費用&消費税)、舗装費用で130万円(㎡単価5,000円として+税)
⑦250万円かけて年間31万円。12.4%の投資といえますが、キャッシュフローは月3万円足らずとわずかです。また、本来この土地を売れば手に入るであろう4,000万円の自己資本は計算に入っていません。(入れると31万円÷(4,000万円+250万円)=利回り0.7%!)

2)アパート建築

①1種低層地域で建蔽率50%・容積率100%なので建物の上限は240㎡。
②間口12mなので、廊下側1.2m・窓側2m(2方向避難規定により)とすれば建物の幅は8.8m以下。尺貫法で割り付けるためには1.82mで割ればいいので上限4間半(8.19m)となります。壁厚や廊下から隣地の離れを考えるとこんなもんでしょう。
③奥行20mで、隣地からの離れを50cm(壁厚・排水升などを考えると60cm程度確保しておくと無難です)、道路側に階段部分を1.2m幅で確保と仮定すると、20m-0.6m-1.2m=18.2m。尺貫法で割り付ければちょうど10間(18.2m)
④ワンフロアの面積は8.19m×18.2m=149.058㎡・・・と、いうことは建蔽率による上限を優先して120㎡がワンフロア当たりのマックスということです。
⑤1LDKタイプは40㎡程度の広さが必要ですから各階3戸、全部で6戸。
⑥賃料は、ネットで調べたところ戸あたり10万円は取れそうです。
⑦したがって、年間賃料は10万円×6戸×12か月=720万円。
⑧本体・設備をそれなりのグレードにして、解体・整地・外構工事・引込等々含めると1戸あたり1,000万円はかかりそうなので6,000万円。
⑨年間賃料720万円÷6000万円=表面利回り12%程度の投資(土地を入れると7.2%)
⑩空室率5%、運営費率15%として、720万円×80%=576万円(NOI)
⑪250万円自己資金を入れて、残りの5,750万円を2%25年で借りた場合年間約292万円の支払いになりますから、これを差し引いた284万円がキャッシュフローです。

3)改修後貸家+庭先を月極駐車場

①現況の一軒家30坪を建替えると2000万円程度かかりますから、新築そっくり的な全面改修はその半額の1000万円。駐車場の舗装も予算に入るでしょう。
②駐車場+通路として3~4mを奥の家用に確保すると、庭先部分に駐車できるスペースは3台分
③家賃は17万円、駐車場は3台で3万円。年間で240万円。
④空室損3%・運営費8%(戸建は居住期間が長いうえ、共用部管理が不要なので安いです)とすれば、NOIは213万円
⑤1000万円の工事費のうち、250万円を自己資金750万円を2.5%10年返済程度の条件で借入すると年間85万円の返済
⑥税引前手取りは213万円-85万円=128万円

どうでしょう。多分、「2)アパート建築」か「3)改修工事+駐車場」になると思います。
最大限土地を活用して、なるべく多くキャッシュフローが欲しい(ローンを返し終われば600万円近いCFになりますし)ということであれば2)アパート建築になるでしょうし、
ローンを多く組むのが嫌だとか、年間128万円のキャッシュフローを繰り上げ返済に回せば4年後には返済が終わってローンなし213万円と、アパート建築と比べてもあまり遜色のないキャッシュフローになるのでそれで十分だなんていうことになれば、3)改修の選択になると思います。
現状を含めた選択肢を数値化して、比較する。
投資判断の基本はこういったやりかたになります。

【このコラムの著者】

猪俣 淳

猪俣 淳(いのまた きよし)1961年生れ横須賀市出身
株式会社アセットビルド 代表取締役

不動産・建築分野で30年以上働き、不動産管理・不動産売買・建築・投資・金融・保険の各分野における29の資格を持ち、みずからも収益物件の購入・売却・運営・資本改善を行う実践不動産投資家。
著書に「不動産投資の正体」「誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組合せ戦略」(住宅新報社)など多数。
新聞・雑誌への寄稿(ビジネス専門誌・一般週刊誌・海外も含む業界誌)、年間70件を超える全国での講演活動、ラジオ・TVなどへの出演もある。
また、IREM-JAPAN(米国不動産管理協会日本支部)の理事を兼任し、日本で数人のファカルティ(講師)資格を持つ。
ブログ「不動産投資にまつわる100の話」(人気ブログランキング最高位1位)。

保有資格
<不動産系>
宅地建物取引士/不動産コンサルティングマスター/不動産アナリスト/ハウジングライフプランナー
<不動産投資系>
CCIM認定商業不動産投資顧問/不動産証券化マスター/米国不動産投資マスター/米国不動産投資コンサルタント
<建築系>
一級建築士/震災建築物応急危険度判定士/既存住宅状況調査技術者/住宅メンテナンス診断士/住宅インスペクター/住環境測定士補
<不動産管理系>
CPM認定不動産経営管理士/CPM公式セミナー講師(メンテナンス及びマーケティング)/ CPM MPSA試験採点官/賃貸不動産経営管理士/管理業務主任者/賃貸住宅査定申請主任者/防火管理者
<金融系>
ファイナンシャルプランナー/ FP技能士/貸金業務取扱主任者
<保険系>
損害保険リテール資格/生命保険募集人資格
<相続系>
相続対策専門士/相続アドバイザー/事業承継スペシャリスト

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