猪俣 淳の不動産投資コラム

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

コロナとPBと不動産

高2で国立千葉大に飛び入学した物理の天才少年が、大学院、研究機関と進んだら初任給が手取り15万円。奨学金を返済したら生活が成り立たず、現在はトレーラーの運転手・・・

必要なところに必要な予算をつけることができない「財政収支(プライマリーバランス=PB)黒字化目標」は、本当に国益を損なう政策だと思います。

山中教授に資金集めのマラソンさせている場合ではないかと・・・。

引用:2018/12/31付日本経済新聞 朝刊

優秀な研究者が、みんな海外に流出してしまうのは自明の理。

基礎研究分野に予算をしっかりつけないと、国力がそがれます。

山中教授と言えば、「専門外ですが」と前置きしながらも、コロナウィルス関連の情報を精査した専用HPを立ち上げていらっしゃいます。
https://www.covid19-yamanaka.com

恐らく、今のところもっとも信頼性の高い情報源のひとつではないかと。

コロナの流行は経済に大きなインパクトを与えていますが、「不動産投資」に対する影響はどうかとよく聞かれますので、簡単に。

市場を押し上げる要因として
1.(安全資産としての不動産に対する)投資資金の流入
2.政策的な金融緩和
3.住宅買い控えによる賃貸稼働率上昇

市場を押し下げる要因として
1.雇用喪失による空室増
2.収入減少による滞納
3.全体的な投資マインドの低下

といったところでしょうか。

物件価格の決定要因として「ゴードングロースモデル」を当てはめると、

「価値V=営業純利益NOI/(安全金利rf+リスクプレミアムrp-NOI成長率g)」

ですから、賃料が下がったり、空室損が増えれば分子の営業純利益NOIが小さくなって価格が下がるという事になりますし、その傾向が将来的にも続くとなれば分母のgが大きくなるので、拍車がかかるという事になります。

リスクプレミアムは、不動産の場合
1.立地のリスク(インフラ、人口移動など)
2.物件のリスク(適法性、陳腐化など)
3.運営のリスク(入居者属性・管理状態など)

となりますので、不動産以外も含めた全体的な投資家のマインドを別とすれば、場所の選定や投資家の努力でなんとかなりそうな部分が大きいといえます。

それから、もうひとつ「モーゲージ・エクイティ分析」という、自己資金を希望する利回り(CCRとかROEとか言いますが、要は「キャッシュフロー÷自己資金」ということです)で運用するには、物件のキャップレート(営業純利益NOI÷物件価格V)は何パーセントあればいいか?という計算の仕方がありますが、これも融資条件の引締め・緩和の影響を大きく受けます。

公式は・・・

(1-LTV)×希望するCCR=a
   LTV × K%    =b
 a+b=必要なキャップレート

物件価格の何割まで借りられるかというLTV(=融資額÷物件価格)と、

借入額に対する返済額の負担割合K%(=年間返済額÷融資額)が、大きな影響を与えます。

昨年の「頭金2~3割は入れてもらわないと・・・」という昨年の状況から、「(属性が良ければ)頭金ゼロとか1割とかでも全然出しますよ」という現在の状況への取組み姿勢の変化は、価格の押し上げ要因になっているという事がいえます。

リーマンの時との違いは、金融機関が生きているかどうか。金融機関の破たんが無い限りは、当時のような暴落は無いと考えています。

リーマン以降の金融機関の動きは、

全体的に引締めというか貸さない(リーマン)

全体的にジャブジャブ緩和(ミニバブル)

全体的にギューッと引締め(かぼちゃ)

属性によって引締めだったり緩和だったり(いまココ)

という感じですから、エビデンスをいじって融資を受けていた方は難しいとして、資産背景があるとか収入が高いとか勤務先がいいといった属性の方にとっては比較的買いやすい状況だと思いますし、実際にそういう動きになっています。

それから、雇用がどうなるかは不動産投資の根幹となる「賃貸市場」にとって死活問題ですからくれぐれも場所を選ぶようにしてください。

基盤雇用

地域の雇用(オフィス系・工業系アセットに影響)

地域の人口(居住系・流通倉庫系アセットに影響)

地域の可処分所得(商業系アセットに影響)

というリンケージになりますから、その地域の産業が「多様化」されているかの影響が非常に大きくなります。

【このコラムの著者】

猪俣 淳

猪俣 淳(いのまた きよし)1961年生れ横須賀市出身
株式会社アセットビルド 代表取締役

不動産・建築分野で30年以上働き、不動産管理・不動産売買・建築・投資・金融・保険の各分野における29の資格を持ち、みずからも収益物件の購入・売却・運営・資本改善を行う実践不動産投資家。
著書に「不動産投資の正体」「誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組合せ戦略」(住宅新報社)など多数。
新聞・雑誌への寄稿(ビジネス専門誌・一般週刊誌・海外も含む業界誌)、年間70件を超える全国での講演活動、ラジオ・TVなどへの出演もある。
また、IREM-JAPAN(米国不動産管理協会日本支部)の理事を兼任し、日本で数人のファカルティ(講師)資格を持つ。
ブログ「不動産投資にまつわる100の話」(人気ブログランキング最高位1位)。

保有資格
<不動産系>
宅地建物取引士/不動産コンサルティングマスター/不動産アナリスト/ハウジングライフプランナー
<不動産投資系>
CCIM認定商業不動産投資顧問/不動産証券化マスター/米国不動産投資マスター/米国不動産投資コンサルタント
<建築系>
一級建築士/震災建築物応急危険度判定士/既存住宅状況調査技術者/住宅メンテナンス診断士/住宅インスペクター/住環境測定士補
<不動産管理系>
CPM認定不動産経営管理士/CPM公式セミナー講師(メンテナンス及びマーケティング)/ CPM MPSA試験採点官/賃貸不動産経営管理士/管理業務主任者/賃貸住宅査定申請主任者/防火管理者
<金融系>
ファイナンシャルプランナー/ FP技能士/貸金業務取扱主任者
<保険系>
損害保険リテール資格/生命保険募集人資格
<相続系>
相続対策専門士/相続アドバイザー/事業承継スペシャリスト

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