猪俣 淳の不動産投資コラム

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

融資期間、35年か22年か

「年齢的な問題で融資期間が22年という条件を金融機関から提示された場合どう考えるか」というご質問がありましたので、回答を共有させていただきます。

融資期間は、
1.建物構造による条件
(1)法定耐用年数(木造であれば22年、RCであれば47年)から築年数をマイナス
(2)法定耐用年数+αから築年数をマイナス(木造でも新築であれば30~35年も可能)

2.完済時年齢による条件
融資期間の最終年の年齢が80~85歳以下(35年融資が使える建物構造であっても、現在55歳で80歳完済という条件であれば最長25年返済)

という二つの条件の厳しい方が採用されます。

そして同じ金利であっても融資期間の長短によって返済額は変わります。

100万円を年利1.6%で借りた場合、年間返済額は
・35年返済 3万6742円
・22年返済 5万3952円

年間返済額÷借入額=元利返済負担率(「K%」といいます)は
・35年返済 約3.7%
・22年返済 約5.4%
ということです。

もしも、総投資額に対する正味の利回り(つまり「営業純利益÷(物件価格+購入諸費用)」ということ)が5.4%の投資を行う場合、

35年返済であれば5.4%-3.7%=+1.7%の差(スプレッド)が生じますので、これがレバレッジを生じさせることになります。

仮に、物件価格1億円+諸費用700万円=総投資額1億700万円のうち、頭金1割と諸費用(1700万円ということ)は自己資金、残りの9000万円は借入とした場合、

自己資金1700万円×5.4%≒92万円に加え、
レバレッジ部分として借入金9000万円×スプレッド1.7%≒153万円・・・合計245万円の税引前キャッシュフローが得られるという計算になります。

税引前キャッシュフロー245万円÷自己資金1700万円=自己資金利回り14.4%。

一方22年返済の場合、自己資金1700万円×5.4%≒92万円は変わりませんが、スプレッドは±0なので自己資金利回りは5.4%ということになります。

ただし、融資期間が短いという事は元本の減り方も早いということですから、途中で出口をとって売却キャッシュフローを得るという計算を反映させると全期間を通じた投資利回りともいえる内部収益率(IRR)はほぼ同じという結果になります。

もちろん、キャッシュフローが厚いほうが安全率も上がりますし、あとで短くすることもできますので融資期間は長いに越したことはありませんが、さまざまな条件によって短くなってもそう悲観することもないということです。

融資期間の短さと、キャッシュフローの余裕による安全率を両立させたいときには自己資金を増やしてその分、借入額を減らすことです。

ある意味、35年返済ではなく22年返済を選択するということは、35年返済でスタートした投資を13年目から途中乗車するようなものですから、その13年間に減少していたであろう元本分を追加投資すれば同じといえます。(投資は若いうちにスタートしておくと時間を味方に付けられるのでラクだという通説はこういうことを指します)

もうひとつ。
どうせ、レバレッジが効かないのであれば自己資金で現金投資したらどうかという疑問がわきます。

どちらも同じキャッシュフローですから、確かにその質問もよくわかります。

これは、元本返済が進んで完済した後のキャッシュフローに大きく差がつきますので、その方の求めるキャッシュフローによると言っておきましょう。
この例では、92万円か574万円かという差になります。

      
そして22年返済の場合、ローン残高が減っていくスピードは思っている以上に早いです。

また、得られたキャッシュフローを繰上げ返済に充てればローン完済年は更に早まります。

【このコラムの著者】

猪俣 淳

猪俣 淳(いのまた きよし)1961年生れ横須賀市出身
株式会社アセットビルド 代表取締役

不動産・建築分野で30年以上働き、不動産管理・不動産売買・建築・投資・金融・保険の各分野における29の資格を持ち、みずからも収益物件の購入・売却・運営・資本改善を行う実践不動産投資家。
著書に「不動産投資の正体」「誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組合せ戦略」(住宅新報社)など多数。
新聞・雑誌への寄稿(ビジネス専門誌・一般週刊誌・海外も含む業界誌)、年間70件を超える全国での講演活動、ラジオ・TVなどへの出演もある。
また、IREM-JAPAN(米国不動産管理協会日本支部)の理事を兼任し、日本で数人のファカルティ(講師)資格を持つ。
ブログ「不動産投資にまつわる100の話」(人気ブログランキング最高位1位)。

保有資格
<不動産系>
宅地建物取引士/不動産コンサルティングマスター/不動産アナリスト/ハウジングライフプランナー
<不動産投資系>
CCIM認定商業不動産投資顧問/不動産証券化マスター/米国不動産投資マスター/米国不動産投資コンサルタント
<建築系>
一級建築士/震災建築物応急危険度判定士/既存住宅状況調査技術者/住宅メンテナンス診断士/住宅インスペクター/住環境測定士補
<不動産管理系>
CPM認定不動産経営管理士/CPM公式セミナー講師(メンテナンス及びマーケティング)/ CPM MPSA試験採点官/賃貸不動産経営管理士/管理業務主任者/賃貸住宅査定申請主任者/防火管理者
<金融系>
ファイナンシャルプランナー/ FP技能士/貸金業務取扱主任者
<保険系>
損害保険リテール資格/生命保険募集人資格
<相続系>
相続対策専門士/相続アドバイザー/事業承継スペシャリスト

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