杭工事が始まったばかりの建築現場へやってきました。
写真手前の地面にブルーのテープで目印が打たれていますが、この位置に鋼管杭(写真右に並べられているパイプ)を順に打設していきます。
建物が沈下しないように、建物の重さを支持できる堅さの地盤に到達するまで杭を打つわけですが、
比較的軽量な木造建物と、重いRC/重鉄の建物では必要な地盤の堅さや、杭のサイズ・工法が変わってきます。(建物の自重+積載荷重は2階建ての場合、木造で600㎏/㎡ですが、RCは3,200㎏/㎡あります)
場合によっては、びっくりするような金額になることも・・・
「自分で土地を仕入れて建築」という投資手法を選択する場合、予算や工期を大きくくるわせる要因の代表的なものを3つあげるとすれば、
1.地盤
基本的には土地が自分のものになってから地盤調査をすることになります。地盤改良が必要になったり、埋設物が出てきたりすることも(既存建物を解体したら、数十年前その建物を建てるために解体した建物のガラが大量に埋まっていたなんていうこともありました)。
2.埋設管
道路内に埋設されている水道管の口径が細く、共同住宅(=一気にその場所で水道を利用する世帯数が増えます)の建築に際し、別途何十メートルも道路を掘削して自費で引き直す場合もあります。
3.近隣の反対
それまで顔見知りの持家世帯で構成されていたところへ、新たに単身世帯がドッと増えることを受け入れがたいコミュニティーも中にはあります。
色々と難癖をつけて反対運動を展開され、工事や募集活動がストップする、あるいは建築規模の縮小を余儀なくされるというケースも。
年間何十棟もやる建売業者であれば、ある程度の確率でそういった事象が発生してもサンクコストとして飲み込むことができますが、個人となるとなかなかの過剰な負担になります。(利回り7%前後の物件が売りに出ているエリアで「土地+建物=8%」という仕上がりで取掛ったものの、結局6%以下になってしまいまして・・・という相談で来られた方がこのあいだいらっしゃいました)
「建売は業者の利益が乗っているのでは?」という指摘をされる方もいらっしゃいますが、
1.年間の発注量が大きいので建築コストは個人がやるよりも安い=その分で吸収される
2.再販受託で短期に2度仲介売り上げが発生するので不動産会社からの土地情報提供は最優先。
3.銀行が事業資金として融資してくれる期間内に売却・資金回収をしないといけないので、想定利益を割り込んだり、原価割れをしたとしても市場で流通する妥当性のある価格に収れんする
といった点も考えると、建売物件のほうが自分で土地を仕込むよりもよほど安くあがるケースも珍しくありません。
もちろん、土地から仕入れて・・・というのを否定するわけではありませんので誤解なく。