猪俣 淳の不動産投資コラム

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

賃貸併用住宅を建てる時の判断


【空の邸宅】・・・賃貸併用にしてはネーミングに問題あるかな。
せめて、「ソラ」と振り仮名入れるとか


実家と親の生活費をどうにかしたいという相談はときどきあって、地域コミュニティから離れなくて済む賃貸併用住宅が選択される場合もあります。

こどもの独立などで家族構成が変化すれば、現在の家の間取りでは大きすぎるということも多いですし、広い庭を手入れするのも体力的につらくなって・・ということも。

敷地面積に余裕があれば、敷地の一部を売却した資金をもとにしてほぼ現金で自宅とローンなしの家賃収入を確保することもできます(写真の現場)。

「賃貸併用住宅」ということで方針が決まると、次はどんなモノを建てるか?という判断が必要になります。
※下記の例は土地価格や建築費・賃料などで判断結果が変わってきますのであくまでも「この条件であれば」ということです。

例えば、
【5階建て賃貸併用住宅】
土地の市場価値:1億円(坪単価100万円×100坪)
建物面積・建築費:200坪・2億6,000万円(坪単価130万円)
間取り構成:自宅部分112㎡+賃貸部分37㎡×12戸
賃料単価:@9,000円/坪(年間賃料1,464万円)
ローン条件:建築費全額・年利1%・融資期間35年
という前提条件で試算すると

建築費に対する表面利回りは5.6%
自宅部分も賃貸とした場合は7.0%

土地の市場価値も含めて考えると、それぞれ
建築費+土地に対する表面利回りは4.1%
自宅部分も賃貸とした場合は5.1%

表面利回り6%の市場だと、
年間収入1,831万円÷6%=約3億500万円。
土地と建物の総額3億6,000万円から▲5,500万円の減価をしてしまうということを意味します。

ちなみに、税引前キャッシュフローはどのくらいかというと、
総潜在収入  1,464万円(GPI)
-空室損5%と仮定
-運営費15%と仮定(OPEX)
=営業純利益  1,170万円(NOI)
-年間ローン返済 880万円(ADS)
=税引前キャッシュフロー 290万円(BTCF)

別の選択肢として、
【戸建住宅+3階建てアパート】
土地の市場価値:1億円(坪単価100万円×100坪)
建物面積・建築費①:34坪・2,700万円(坪単価80万円)
建物面積・建築費②:102坪・1億200万円(坪単価100万円)
間取り構成:自宅112㎡+賃貸部分37㎡×9戸
賃料単価(アパート):@8,000円/坪(年間賃料972万円)
賃料単価(戸建):@10,000円/坪(年間賃料408万円)
ローン条件:建築費全額・年利1%・融資期間35年
という前提条件で試算すると

建築費に対する表面利回りは5.6%→7.5%
自宅部分も賃貸とした場合は7.0%→10.6%
と、どちらもアップ。

土地の市場価値も含めて考えると、それぞれ
建築費+土地に対する表面利回りは4.1%→4.2%
自宅部分も賃貸とした場合は5.1%→6.0%
と、同じくアップします。

表面利回り6.5%の市場だと、
(マンションより期待利回りはプラスされると考えられるので仮に+0.5%)
年間収入1,380万円÷6%=約2億1,000万円。
土地と建物の総額2億3,000万円からの減価は▲5,500万円→▲2,000万円ということでこちらも改善します。

この減価分をその後のキャッシュフローで回収していくことになります。
ちなみに、税引前キャッシュフローはどのくらいかというと、
総潜在収入 972万円(GPI)
-空室損5%と仮定
-運営費15%と仮定(OPEX)
=営業純利益  780万円(NOI)
-年間ローン返済 440万円(ADS)
=税引前キャッシュフロー 340万円(BTCF)
5階建て賃貸併用住宅の半分の予算・借入で50万円(約1.2倍)アップします。

もう一つの選択肢として、その土地を売却して得られる1億円を別の投資に振り向けるということも可能で、その場合のキャッシュフロー(自宅を確保したうえでの)が賃貸併用住宅を建てるよりも大きいとすれば、それがいわゆる「その場所(コミュニティー)で暮らし続ける」という”プライスレス”な価値に対する値付けということになります。

「年間の手取りが340万円でなくて440万円になるならここに住み続けたいケド、1,340万円になるなら引っ越すわ♪」ということです。

こういった話を書いています。



【このコラムの著者】

猪俣 淳

猪俣 淳(いのまた きよし)1961年生れ横須賀市出身
株式会社アセットビルド 代表取締役

不動産・建築分野で30年以上働き、不動産管理・不動産売買・建築・投資・金融・保険の各分野における29の資格を持ち、みずからも収益物件の購入・売却・運営・資本改善を行う実践不動産投資家。
著書に「不動産投資の正体」「誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組合せ戦略」(住宅新報社)など多数。
新聞・雑誌への寄稿(ビジネス専門誌・一般週刊誌・海外も含む業界誌)、年間70件を超える全国での講演活動、ラジオ・TVなどへの出演もある。
また、IREM-JAPAN(米国不動産管理協会日本支部)の理事を兼任し、日本で数人のファカルティ(講師)資格を持つ。
ブログ「不動産投資にまつわる100の話」(人気ブログランキング最高位1位)。

保有資格
<不動産系>
宅地建物取引士/不動産コンサルティングマスター/不動産アナリスト/ハウジングライフプランナー
<不動産投資系>
CCIM認定商業不動産投資顧問/不動産証券化マスター/米国不動産投資マスター/米国不動産投資コンサルタント
<建築系>
一級建築士/震災建築物応急危険度判定士/既存住宅状況調査技術者/住宅メンテナンス診断士/住宅インスペクター/住環境測定士補
<不動産管理系>
CPM認定不動産経営管理士/CPM公式セミナー講師(メンテナンス及びマーケティング)/ CPM MPSA試験採点官/賃貸不動産経営管理士/管理業務主任者/賃貸住宅査定申請主任者/防火管理者
<金融系>
ファイナンシャルプランナー/ FP技能士/貸金業務取扱主任者
<保険系>
損害保険リテール資格/生命保険募集人資格
<相続系>
相続対策専門士/相続アドバイザー/事業承継スペシャリスト

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