北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

アメリカ不動産、日本とココが違う

前回は、現在私が運用のひとつとして力を入れている海外不動産、その中でもアメリカ不動産を購入した経緯について話しをしました。
今回は、実際に保有してみて感じる、日本不動産との違いをいくつかご紹介しましょう。

1、大きな違いのひとつは、減価償却についてです。

日本では、一物件の減価償却年数は建物構造と築年数により決まり、経過年数は次に購入した人にも引き継がれます。
一方、アメリカでの償却年数は構造や築年数は関係なく、居住用物件の場合は購入時に27.5年にリセットされるのです。

たとえば、日本で木造築15年の物件を購入すると、減価償却の残存年数は、(22-15)+(15×0.2)=10年ですが、アメリカではどんなに古い物件でも減価償却年数は新たに27.5年で設定されます。
日本では金融機関の評価は建物構造と築年数(償却の残存年数)に大きく左右され、基本的には古くなると融資をつけて購入するのが難しくなります。できても、自己資金割合を増やす、融資期間が短い等の制約が多くなるのが通常ですね。

それがアメリカでは、古くても建物の価値が数字としても維持されるので、融資もつくということで、中古住宅市場が確立しています。
今の日本のように、20年経過した木造物件は税務上の建物価値がほぼ無くなるということがないのです。

現に、アメリカの市場では築30、40年くらいの木造物件は普通に流通していますし、50年とか60年といったものも目にします。
もちろん、人がきちんと住んでいます。
思わず、「築40年ですか?」と聞いても、何か問題でも?というような感じで「そうですよ。」といういたって普通の応対です。
私もこの感覚にだいぶ慣れてはきましたが、やはり今でも築年数は気になりますね。

現在、日本でも中古住宅市場を活性化させようとしており、リフォーム等できちんと手を入れている建物に資産価値を認めようという動きが少しずつ出てきているので、将来的には今の状況も変わっていく可能性はありますけれども。

2、アメリカは訴訟大国だということも、日本とは違う点です。

アメリカでは、少しのことでも訴えらることもと聞くので、賃貸経営において入居者さんとのトラブルも訴訟に発展する可能性があるわけです。
日本でも敷金や更新料のこと、家賃滞納等で訴訟といった話しはありますが、それ以上に起きるリスクを頭に置いておいた方がよいのではないかと思います。

このことを実感したことがありました。
私が購入した1つ目の物件はコンドミニアムで、天井が高く一見ロフト・収納として使えるようにも思えるちょっとしたスペースがあります。
そんなに広くはないけれど、大人一人が十分寝られるくらいの空間です。
購入時にはその部分に上るはしごは設置されていませんでしたが、引っかける部分はあったので、以前はついていたのかもしれません。

早速管理会社の方に、はしごをつけてロフトとして使えるのではと提案し準備を進めていたこのタイミングで、入居希望の方も出てきました。
その方も、ぜひロフトとして使用したいというご意見だったので、手配を急いでもらっていたところ・・・
管理会社の方から、「どうやら、はしごをつけると違法になる可能性がある。自己使用ではなく貸家の場合、入居者の方に何かあると訴訟になることも。私としては、はしごをつけるのはやめた方がよいと思う。」という連絡があったのです。

一瞬、「えっ。普通のロフトという感じで特に危険があるとは思えないんだけどな。アメリカと日本は違うのかな。」と思いながら、訴訟という言葉が簡単に出てきたことに少々驚きも。
私としては、違法になることは避けたいのではしご設置をあきらめるか、入居希望の方の考えも聞いてみようか、その他何か良いアイディアはないかを検討して決めようと、関係する方々と連携して動き始めました。

そういった動きの中で、細かいやり取りは省きますがよくよく調べてもらうと、今回の件は幸い違法にはならないということがわかったのです。
結果的には無事にはしごを設置することができましたが、このことがあって以来、「訴訟」についての認識が日本とは変わり、よりシビアに考えるようになりました。

言語や文化、法規制等が異なる中、込み入ったやり取りをすることは時間も労力もかかります。
実際に賃貸経営を始めてみると、言葉の壁以上に文化・慣習の違いも大きいと感じます。「郷に入れば・・・」の精神ではいますが、一筋縄にはいかないところもありこれも経験だと思いつつ。

当たり前ですが、海外不動産にも良いところもあればそうでないデメリットもあり、実際に経験してわかることも多々あります。
まずは特徴を理解して、それに基づき知識と実践の両輪でやっていくということは、日本でも海外でも同じことだと感じています。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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