北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

不動産投資の分散、していますか? 【前編】

不動産投資というと、(特にこちらのコラムをご覧になっている方は)実物不動産のことを思い浮かべると思いますが、実際にはもちろんそれだけではなく様々な小口化した商品もあります。
その典型として挙げられるのがREIT。上場しているため、流動性や透明性も高い商品です。

既に実物不動産に投資をしている方は、一般の方が抱きがちな不動産そのものに対する漠然とした不安感は少ないことが多いので、REITにもわりとすんなり入っていけるのでしょう、周りでも保有している方の声をちらほら耳にします。
私自身も入り口は実物の方でしたが、その後REITにも資金を振り分けています。
逆にREITを保有していても、実物をやってみようかという声はあまり多くないように感じます。やはり金額が大きくなることや、実物であるが故に何かと手間がかかりそうだということへの心理的ハードルは高いと思われます。

どちらもメリット・デメリットがありますが種類が違うので、不動産投資の中で分散を考えるのであれば、両方保有することはありだと私は思っています。
また実物ではレジデンスがメインになりますが、REITの場合は、オフィス、商業施設、物流施設、宿泊施設等、金額が大きいため個人では難しいものにも投資することが可能です。

REITの魅力は、何と言っても分配金(配当)利回りが高めだということ。
J-REITは2014年3月19日時点で平均利回りが3.8%。低いもので2%台後半から6%近くまで計44銘柄が上場しています。
これが、アベノミクス直前の2012年11月頃だと、平均でも5.5%くらいあったので今考えても割安だったと感じます。(リーマンショックの2008年秋頃は平均8%近くあったことも!)

特に今年は、個人投資家向け少額投資非課税制度、いわゆるNISAが始動しており、J-REITも対象となるので検討するタイミングとしては悪くないと思います。
NISA口座は、投資額の上限が年間100万円までではありますが、配当・売却益ともに非課税になるので中長期で考えてもメリットが大きいですね。
投資法人側もこれを機会に個人投資家にアピールしたいところも多いようで、NISA制度に先駆けて昨年は株式分割を行ったところも多かったのです。
その結果、現在J-REITは1口、数万円~20万円程の銘柄も増え、個人投資家の資金が今まで以上に流入しやすくなったと言えます。(投資信託だと更に小口から可能)

ここで簡単に、実物不動産との収益の比較をしてみましょう。
手元資金500万円を使うと仮定し、初年度の収益をみてみます。

①REITの場合
分配金利回りが4%とすると、年間20万円。
そのうち100万円にNISA非課税枠を使用したとすると、手残りは16.8万円となります。
(400万円に対する購入手数料は1万円にもならないのでここでは省略)

②実物不動産の場合
利回り9%、3000万円の物件を頭金300万円、諸経費200万円で購入。
金利2.5%で25年ローンを組み、 空室率・経費合わせて15%すると、税引き前手残りは83万円です。
ここから税金(所得税・住民税で30%と仮定)を考慮すると、減価償却費にもよりますが、手残りはだいたい50万円前後。

手元の500万円を使って6倍のお金を動かしても、手元に残るお金は3倍ほど。
単純にこれだけを考えると、J-REITもなかなかでしょう。
もちろん、収益性の高い物件の場合や空室・経費率を下げることで実物不動産の効率も良くなりますし、法人設立や相続・節税対策等も含めトータルでオーダーメイド的なことができるのは実物不動産のメリットです。
また実物不動産は何より、使い方を間違わなければ個人でレバレッジをかけることにより大きなお金を残すこともできるので、魅力に思う方も多いですね。
(REITも、元々レバレッジがかかった金融商品ですが。)

ただし、これらは初年度の収益であり、売却まで含めるとまた違う視点が必要になります。
実物不動産は、支払い利息や減価償却費の減少に伴いキャッシュフローも少なくなりますが、REITは仕組み上、それも含めて分配金安定化を図る戦略を取ることができます。
また売却時、実物不動産の場合は、残債よりも結構な高値で売ることができれば、手元に残るお金は大きくなります。
(累積キャッシュフローが少ない状況で逆の場合は悲劇ですね・・・)
REITの場合、物件売却益の使途や売却のタイミング等は、自身で判断するわけではなく、あくまでその投資法人の方針・運用に乗っかる形です。
基本的に、一時的な利益ではなく安定した分配金を継続的に出すことをREITは使命にしているので、銘柄選択の際にはそういった視点を持つ必要があります。

次回も引き続き、REITと実物不動産の比較について話しをしていきます。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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