北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

波乱の株式市場と不動産

株式市場は、年初早々から波乱の相場が続いています。
年末段階で19,000円をつけていた日経平均株価が1月22日時点で17,000円を下回るなど、お正月気分も一気に吹き飛ぶくらいのインパクトです。昨夏同様、中国経済の不安定さを発端とし、原油安や米国利上げの影響なども含め乱高下を繰り返す不安定な状況です。金融商品をお持ちであれば、様子見か価格が下げたところで多少手を出してみるという方もいらっしゃるかもしれません。

実物不動産の賃貸事業としては、今のところこの急激な動きの影響はほとんど受けることはない、と言えます。
経済状況が、リーマンショック時のように世界景気の流れを大きく変えるものになるのであればその影響はじわじわと及んでくるのですが、一時的なものには左右されにくいのが特徴ですね。賃料には遅行性があるので、その点も考慮する必要はあります。
お金の大きな流れが変わるのかどうか、もう少し状況を見ていきたいところ。
ただ証券化されているJ-REIT市場に目を向けると、金融商品であるが故の動きを見せています。
ここ一年の東証REIT指数とTOPIXの推移はこちらです。

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ちょうど1年前に高値をつけた後は、じりじり値を下げてきています。
一方、現在の分配金利回りは全銘柄の平均で3.7%程度。(1年前は2.9%程度)
比較的安定感のある銘柄で4%を超えているものもありますから、魅力を感じる人が増える可能性はあるでしょう。
基本的にREITは価格と分配金利回りが逆相関になる商品特性があるので、賃料をメインの原資とする分配金額が減少しなければ、価格下落時には利回りは上がります。
ちなみにREIT全銘柄の平均利回りは、リーマンショック後の2008年10月頃で利回り8%弱程度、その後やや落ち着きアベノミクス直前の2012年10月頃で5%程度です。

金融商品であるREITは、流動性が高いが故にREIT自体に起因する理由以外で売られることもよくあります。
市場全体が漠然とした不安感に包まれリスク資産から資金を引上げる、他で損を出した穴埋めに利益が乗っているREIT売却、などといったことが行われます。
このような金融商品ならではの値動きを理解できれば、長い目で見てコツコツ分配金(インカムゲイン)を期待して保有しておくという視点は、個人投資家であるからこそ可能ですし、REIT本来の商品性格に合っていると感じます。

このあたりは実物不動産にはあまり見られないREIT独特のもので、運営・財務状況を見てどう考えても売られ過ぎだろう、という判断がつけば、中長期的な視点で購入しておくこともありでしょう。
住宅銘柄の運用報告書などを見ると、地域により賃料が横ばい、やや上昇気味になっている、入居者募集費用の圧縮が可能になってきているなど、という記載も目にします。
とはいえ、価格が下落することは気持ちの良いものではありませんが・・・
もちろん銘柄選びは必要ですし、先ほども話しをしましたように世界経済の流れが大きく変わることで実物不動産にも影響を及ぼすことになれば、状況も変わるでしょう。物件の高値掴みがあれば、後々苦しいことになる可能性も。ですので、分配金だけを見るのではなく全体を把握しておく必要はあります。

このようなREITの強みのひとつとして、実物不動産に個人が投資する際には決して得られないことがあります。
運営はプロが行うなどということもありますが、一番大きいのは、「利益の90%超を分配すれば法人税がかからない」ということだと思います。
利益に税金がかからない・・・
実際にある程度不動産を保有されている方でしたら、メリットの大きさがよくおわかりいただけるのではないでしょうか。
仮に100の収入に対して、経費等で25%だとすると、残75。税金25%とすると、残56程度です。
一方、経費等が40%とすると残60。税金がかからないのであれば、経費等25%時よりも手元残が多くなるわけです。収益性や経費を含め、より余裕を持った運営が可能になることがわかります。
もちろん単純比較はできないのですが、REIT特有の税制メリットは小さくありません。

「かなり有利な決まり」に則って運営されるREITでも、昨今は物件の高騰により新たな取得には試行錯誤しているようです。高値で購入する例も見受けられますので、注意する必要はあります。
実物不動産とREITは、似て非なるもの。双方の特徴を理解することで、より多面的に個人の資産運用の在り方を考えることができるはずです。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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