北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

REIT保有物件に潜入!① 分配金安定化のための投資戦略は?

前回REITの話しに少し触れましたが、ちょうどタイミングよくレジデンス系REIT物件見学の機会があり参加してきました。
REIT物件を解説つきで直接見ることはあまりない機会ですし、住居系はこちらのコラムをご覧の方々にとっても身近だと思いますので、今回・次回に渡り少々共有させていただきます。

J-REITは現在53銘柄が上場しており、用途としてはオフィスビル、レジデンス、商業施設、物流施設、ホテル・旅館、ヘルスケアといったカテゴリーがあります。
そのうち今回は、レジデンス系最大規模の資産を持つアドバンス・レジデンス投資法人さんの物件見学会。伊藤忠商事がメインスポンサーで、全2万戸保有しています。
これくらいの規模があって分散が効いていれば、少々突発的なことがあっても吸収できるでしょうし、全体の収益をできるだけ保ちながら今後に向けて新しいことへチャレンジもしやすいのだろうと思います。
保有物件のポートフォリオは、大まかにこんな感じです。
投資エリアは、東京23区 71%、首都圏10%、政令指定都市等19%。
保有物件のタイプは、シングル55%、コンパクト25%、ファミリー15%、その他5%
賃料は10万円未満52%、10~15万円未満23%、15~25万円未満21%、25万円以上4%

今回は、上池袋、目黒不動前、芝浦にある3物件の見学でした。
上記賃料帯からもわかるように、REITならではの高額賃料物件も保有。そこでは、分譲マンションと同等とまではいかなくとも、近いところを目指して運営している部分も見受けられました。
象徴するものとして挙げられるのは、共有スペースの充実。フロント機能がついたエントランス、簡単なスポーツジム併設、最上階に設置された眺望の良いラウンジスペースなど。
これらは賃料がシングルで10万円以上、ファミリーで15万円以上であるからこそでしょうけれども、賃貸経営として「共有スペース」はキーワードのひとつとして考えても良いかもしれません。
居室自体は、アクセントクロスの活用や収納スペースをできるだけ確保するといったものが見られ、これらは賃貸市場全体の流れであることも再確認です。
(以下写真1、2:目黒不動前、3~6:上池袋)

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王道のものとは少々違ったのが、芝浦の築25年のリノベーション物件。築年経過した物件についてはリノベーションにも力を入れているということで、現場を見せていただきました。
確かに築25年というと、入居募集にあたり最小限の原状回復だけではなかなか決まりづらくなることは大いに予想されます。設備だけではなく間取りも古くなるので、何かしらの戦略が必要です。この物件の場合は全153戸あるので尚更でしょう。
運営は、ポートフォリオ全体の分配金のことも考慮しながら、軽いリフォームにするのか、時間・費用をかけて大規模なリノベーションを行うのか等のバランスを取りながら進めているそうです。
リノベーション工事は、当然のことながら投資効果を検証して実施を判断しているとのこと。そのうちの1点は資金回収期間で、バリューアップ部分については賃料上昇分の金額で入居2回転程度(7、8年)での回収がひとつの目安だそうです。

またこちらの物件では、内装デザインを決めるに当たり「学生コンペ」が開催されています。学生からデザインを募集し入賞作品の中から実際の工事を実施するというもの。審査員には、リノベーションを専門に行う会社や賃貸マーケットの調査&リーシングサポートを手がける会社など、賃貸業界に精通した方々も入っており、業界を巻き込んだ形のものとも言えます。

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通常のリノベーションはREITでもよく目にしますが、このような切り口での試みは新しい動きであり興味深いところ。現状維持だけではなく、常に次のことを考えていく必要があるのは、個人投資家にとっても同様でしょう。
いくらREITで大規模に行っているとはいえ、レジデンス1戸1戸作り上げていくのは本当に地道なことなのだということを再認識しました。他用途のオフィスビル、商業施設などとは異なる「物件運営力」は欠かせません。(この視点は、REIT銘柄選びの際にも必要だと感じます。)

長くなりましたので、続きは次回に。
現在の不動産・賃貸市場や、稼働率を上げるための工夫についても話しをしていきます。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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