前回に引き続き、REIT物件見学会に参加した時のことをシェアします。
今回の見学会を主催したのは、レジデンス系最大規模の資産(全2万戸)を持つ、アドバンス・レジデンス投資法人さん。
実際の物件については前回コラムをご覧いただければと思います。
通常の賃貸住宅から築古リノベ住宅まで、個人投資家にとっても参考になる部分のご紹介をしましたが、その続きで、稼働率を上げるための試みで見受けられたものをいくつか。
まず築25年のマンション、現地で目についたのが、現入居者の方に向けた「お知らせ」です。
「当マンションでは、リノベーション工事を実施しております。新しくなる設備やカラーのプラン等、豊富にご準備しておりますので、是非当マンション内での、より魅力的なお部屋へのお引越しをご検討ください」
加えて、入居者の方の要望に合わせた「カスタマイズ工事」にも応じているようです。
賃貸でありながら、ある程度自身の好みに合わせて空間づくりができるのを魅力に思う方も少なくないでしょう。築年が経過した物件ならではの提案ですね。
入居者の方をなるべく離さない工夫として見られたもう一例が、定期的に発行する「ニュースレター」の存在。
アドバンス・レジデンスさんは保有する物件をシリーズ化しており、それぞれに「レジディア○○」という名前を各物件につけています。そのレジディアマンションシリーズに住んでいる方への情報発信紙です。
内容としては、レジディアシリーズ紹介の他、おしゃれなショップ情報やインテリアショップの優待も。あとは、「家庭の省エネ」といった暮らしのヒントになる豆知識のようなものも掲載されていました。
私が目にした号では、インテリアショップの優待は、フランフランやアクタス等での買い物が10%OFFになるというもの。
いずれのお店も、メジャーでありながら適度なデザイン性も兼ね備えており、メリットを感じる入居者の方も少なくないのでは、と感じます。
またこのレジディアシリーズでは、入居者が他のレジディアに住み替えるのであれば、礼金と仲介手数料を不要とするという制度もあります。(1年間限定のようですが)
対象物件は東京が中心とはいえ、名古屋、大阪、博多、札幌、仙台などの政令都市にもあるため、幅広く活用できそうです。
転居に伴う初期費用の大部分が軽減されるため、メリットは大きいですね。
いくつか具体的な点を挙げましたが、これらはいずれも、現在入居いただいている方にリピーターとなってもらえるようにということで、投資法人側としても、物件の価値を維持・もしくは高めていく必要があるはずです。
今回改めて感じたのは、賃貸経営、戦略を持ってやり続ける大切さです。もちろん、様々な試みが全て成功するわけではないでしょうけれども、少なくともやらなければゼロですから・・・
REITという大きな母体と個人家主の差はありますが、考え方のエッセンスとしてヒントになる部分がいくつもあり、私としても今後の参考にしていきたいと思います。
REITといえば、地価上昇のけん引役とも言われる存在。今回の見学中に、最近の不動産・賃貸市場についても伺ってみたところ、総じて物件価格は高めで推移、賃料は上昇へ転じている物件もあるということでした。
都心部中心の話しではありますが、やはりですね。
新規物件取得については、現在53銘柄ある投資法人には当然それぞれ方針があり、今積極的に購入するのかどうかというのはスタンスによるという話しも。
目標があってそれを達成するために、外部環境を踏まえて今何をすべきかを考え実行していくのは、個人でも同じですね。ぶれない「軸」が必要です。
実物不動産とREITは、似て非なるものではありますが、特にレジデンスを主体としたREITの場合、個人の不動産投資家にとっても様々な点で参考になることが多くあります。
いつもの視点を少し変えてみるきっかけになるなど、より多面的に不動産投資・賃貸経営の在り方を考えることができるはずだと、改めて感じた次第です。