北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

マイナス金利導入から3ヶ月。資産運用環境の変化と不動産。

多くの方が衝撃を受けたであろうマイナス金利の導入から3ヶ月が過ぎ、私たちを取り巻く資産運用環境にもじわじわと影響が出てきています。導入の発表があった当初1月下旬から2月にかけては、比較的わかりやすい反応として、住宅ローンを筆頭とする借入金利低下や預金金利低下ということが連日取り上げられていました。不動産投資・賃貸経営を行う方も、新規購入時だけではなく、借り換えや固定金利の期間満了に伴う更新時に、より一層低金利で借りることができたという声も耳にします。このマイナス金利、その後浸透するにつれ様々な変化が見られます。

まず、REIT市場が好調です。直近では多少調整している感じも受けますが、1月末以来の株式市場と比較するとその差は顕著です。特に外国人投資家がマイナス金利導入に即座に反応し、大幅に買い越したことも相場を牽引したと思われます。

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個人の不動産投資と同様、REITも物件購入には融資を活用しているため、「マイナス金利→コスト削減→分配金増」という連想が働き、価格が上昇する傾向にあります。とはいえ、即時的な反応は、期待先行の意味合いが強いでしょう。持続するにはやはり、分配金の主な原資となる賃料収入の上昇が必要です。それが無ければ、実態とかけ離れた一時のもので何らかのきっかけにより資金流出という危うさもあります。もっともREITの場合は、分配金が大幅に減少しない限り価格が下がれば利回りは上昇しますから、良いタイミングで購入できれば高利回りで運用できることになりますが。

次に、債券関係で運用する金融商品などに影響が広がっています。実際にマイナス金利が適用され始めた2月中旬以降、長期金利の指標となる10年国債利回りが一段と低下し、ほどなくしてマイナス金利の領域へ突入しました。これに伴い、債券関係での運用商品に販売停止が相次いでいます。
安全性の高い債券を中心に運用するMMFを始めとする投資信託や、子供の年齢に合わせて満期金が受け取れる学資保険など一部保険商品で、「運用利回りが確保できない」として販売停止が見られます。また退職金等の運用先として需要が高い一時払い終身保険でも、予定利率(契約者に約束する利率)が引き下げられたことに伴い、契約者が負担する保険料に値上がりが見られます。

更に、一般企業の業績にも影響を及ぼす可能性も指摘されています。
というのもマイナス金利により、企業が将来の退職金・年金支払いに備える金額を増やさざるをえない状況になりつつあるからです。これはもちろん企業の負担増となるわけで、結果的に収益全体を圧迫することにもつながります。企業としては、低金利での資金調達ができる一方このような副作用も考えられるわけで、全体の業績動向や更にそれが景気へどのように作用するのかを注視しておきたいところです。

また最近では、まだごく小額ではありますが一部投資信託の手数料がアップすることにもなっており、直接個人投資家の負担が増えることになります。投資信託については毎月分配金を出すファンド等において、「低金利」という運用難が理由で分配金の低下や元本を取り崩して分配金とするということも起きており、運用先の選択見直しが必要になりそうです。
一般の貯蓄については今のところ、マイナス金利が課されることはないようですが、状況が長期化するなどでどうにもならなければ、何か他の形で消費者に負担が転嫁されることがあるかもしれません。

このような資産運用の中、不動産(含REIT)は比較的手堅く安定した運用が期待できるとして改めて注目を浴びているという状況だと感じます。ちょうどこの原稿を書いている時に、日経新聞朝刊の一面で「個人の不動産投資活発」という内容が取り上げられていたのも記憶に新しいところ。
ただ「不動産が魅力」だとされることが多くなれば、一部キャピタルゲイン狙いの短期売買資金が流入し、相場が過熱気味になることは否めません。
特にアベノミクス以降、場所によっては既に価格が大きく上昇している地点も少なくありませんから、個々の案件で冷静な判断は必要でしょう。
それが前提ではありますが、やはり地道なインカムゲインが見込める不動産は、マイナス金利という環境の中で、相対的に魅力を感じる運用法なのだと思います。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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