北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

「良い物件」を購入したとしても、上手くいくとは限らない? 前編

不動産投資をこれから始める方から受けることが多い質問のひとつに、
「最初に買うのは、どんな物件が良いでしょうか?」ということがあります。
これだけでは漠然とし過ぎていますし、その方が何を求めているか&現在の置かれた状況によっても変わってくるので即答というわけにはいかないのですが、初対面で聞かれることも少なくありません。

確かに金額が大きい投資ですから、「少しでも良い物件」を「良い条件」で購入したいというのは当然です。購入なくしてはその後の賃貸経営はスタートしないので、まず物件購入に全力を注ぐスタンスはもっともなことです。しかしながら「不動産投資・賃貸経営」という全体像から考えると、視点が目の前の「購入」だけに偏り過ぎていると感じることも多々あります。
賃貸経営は、保有している期間が5年、10年と中長期に渡ることも珍しくありません。たとえ購入時に「すばらしい物件」であっても、その後の保有期間中に何らかの問題が発生する可能性はあるわけです。
そんな時、管理会社さんを始め様々な方に知恵をいただきながらも、最終的にどのような判断をするのかは自分次第です。「経営力」は、結局は自分で経験して乗り越えていくしかないと思っています。
ですが、事例を知っておくことは何かの参考になるはずですので、いくつかご紹介しておきましょう。
今回は「賃料収入」の視点から2点ほど。

*属性が良くても、モラルの低下により家賃滞納が発生。
通常、空室に入居申し込みがあると「審査」があります。判断基準は主に、賃料を継続して支払えるか?ということ。(その他、「入居の理由」も私は重視しています。)ですから、勤務先や勤続年数、年収といった点を中心に検討・判断します。収入の無い学生さんでしたら、ご両親等が契約者になる場合もあります。ここで、公務員の方や一部上場企業に勤務していたりなどすると、それだけでほとんどOKとなることも少なくありません。

以前あったケースは、ある一部上場企業にお勤めの20代の女性。当然審査は全く問題ありませんし、
むしろありがたく感じていたのですがそれもつかの間。入居と同時に家賃入金に遅れが出始めました。
管理会社さんを通じて何度か催促をすると遅れて入金はあるのですが、毎月改善される様子はなく、更に遅れも長引き出しました。
仕方なくご両親を交えてよくよく話しを聞いてみると、お給料をもらったら、まずは好きなものに使ってしまうのだとか。彼女の意識の中で家賃支払いの優先順位は低く、いつも後回しになっていたようです。ご両親からも再三話しをしてもらい、その直後は改善されたように思えても、少しするとまた以前と同じような状況になってしまうという繰り返し。結局最終的には、ご両親から「退去する」旨のご連絡をいただいたのです。このように、属性としては一見全く問題がないように思えても、意識・価値観等の違いから予想外のことが起こり得るのです。

*隣の類似物件のオーナーが変わったことにより賃料競争へ
同じような形状のアパート・マンションが、1号館、2号館のように2棟もしくはそれ以上並んでいるものを目にしたことがある方は多いと思います。当初相続対策等で建てられたものも少なくないのですが、これらが何らかの理由で売却され1棟ごとに別々のオーナーになることもよくあります。

こうした場合、お互いが恰好の競合物件となってしまい、賃料引き下げ競争に陥る可能性があります。隣の、しかも形状も同じ物件同士は比較が容易ですから、シビアです。
以前あったのは、1週ごとにどちらかが賃料を下げ、それを受けてもう片方も下げざるをえず、あれよあれよという間に相場が下落していくのを目の当たりにしました。
購入条件が良かったなど相手オーナーに余力があれば、賃料を下げても経営が成り立つわけですから。
需給バランスが取れている地域ではそれほど熾烈な競争になることは少ないと思うのですが、特に人口が減少し供給過多になっている地域では、このようなことに見舞われることがあるかもしれません。
購入時は「良い物件」に思えたとしても、環境の変化で激変する可能性を秘めているのです。

賃貸経営を行っていく中で起こりうる様々なことの中から、今回は賃料という視点で取り上げてみました。
次回は賃料以外の事例についていくつかご紹介します。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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