北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

住宅を購入して、10年後に売却することを考えてみる

低金利が続く中、シングルの方でも30代くらいになると、住宅購入を考えることは珍しくありません。特に賃料が高い都心部では、家賃と同じくらいのローン返済であれば買うことを検討したい、という声もよく聞きます。昨今の晩婚化も影響しているのでしょう。
物件価格は高止まり傾向とはいえ、金利負担がかなり低い状況でマイホームを購入できるのであればと、いう思いでタイミングが合えば購入するという方が増えていると感じます。

シングルの方の場合、多くは結婚等により将来の状況が変われば、売却か賃貸に出そうという想定の下、物件を探しています。
一生自分が住むわけではないため、いわゆる、「資産価値が下がりにくいもの」、「賃貸で入居者がつきやすいもの」といった視点で選ぶことになります。
ここでは、売却をするケースについて実際に数字を挙げて考えてみましょう。
3,000万円のマンションを以下の条件で購入したとします。

・自己資金:500万円(頭金300万円、諸経費200万円)
・借入:2,700万円、金利1.5%、期間30年、元利均等返済
・年間返済額:112万円
・年間維持費:40万円
・10年後の残債:1,930万円

以下①~③で、売却価格別に考えてみます。

10年後に90%の価格で売却(売却諸経費100万円)したとすると手元に残る金額(税引前)は、
 2,700万円−(1,930+100)万円=670万円
 購入時の自己資金500万円を考慮すると収支(税引前)は、
 670万円-500万円= 170万円

10年後に95%の価格で売却(売却諸経費105万円)したとすると手元に残る金額(税引前)は、
 2,850万円−(1,930+105)万円= 815万円
 購入時の自己資金500万円を考慮すると収支(税引前)は、
 815万円-500万円= 315万円

10年後に85%の価格で売却(売却諸経費95万円)したとすると手元に残る金額(税引前)は、
 2,550万円−(1,930+95)万円=525万円
 購入時の自己資金500万円を考慮すると収支(税引前)は、
 525万円-500万円= 25万円

10年間保有したことを考えた場合、年間維持費に変更がないとすると、③売却価格が購入価格の85%程度で損益トントンといった感じでしょうか。
ただし要件を満たす場合には、税制優遇やローン控除などが使えることはあります。

ちなみに①~③それぞれ、自己資金500万円に対する年平均単純利回り(税引前)を考えると、
① 3.4%
② 6.3%
③ 0.5%

10年間、住宅にかける費用が年間112万(ローン返済)+40万(維持費)=152万円(月々約12.7万円相当)でありつつ、上記利回りで運用をしたという考え方ができます。
また、運用分を賃料から差し引く見方もありでしょう。例えば②の場合であれば、売却により得た315万円を10年間の住宅費用合計1,520万円から差し引き、住宅にかかる額が1,205万円(月々約10万円相当)であったという具合です。結果論ではありますが、毎月の賃料が2.7万円安く済んだ、ということです。
一方、売却損が発生するのであれば、結果的には予定していた以上の「賃料」を10年間払って住んでいたことになるわけです。購入時は、「賃貸で払う家賃と同じくらいのローン返済・維持費」、「資産になる」と思っていたのが、逆に負債になり家計を圧迫してしまいます。

もちろん、求めるライフスタイルは個人により違いが非常に大きいため、単に数字だけで良し悪しを判断することはできません。
大切なのは、「資産になる」という、人によって感覚が異なる抽象的な言葉を具体的に数字として把握しておくことだと思います。
上記は、あくまでひとつの例です。ローンの金利や返済期間の前提が変わると大きく影響しますので、ご自身の場合で実際に試算してみることが大切です。
今後の人生においてライフプランを考えた時に、何にどのくらいのお金をかけるのか、ご自身にとって満足度の高い使い方を考慮に入れて、購入を検討する必要があります。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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