北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

不動産価格の変化で感じること

右肩上がりに続いてきた不動産価格、ここへ来て調整局面を迎えているものも見受けられるようになりました。
多くの金融機関の融資スタンスが変わり、ある程度頭金を入れる必要があるなど状況は厳しくなりつつあります。ですが全てがNGになったわけではなく、資産背景が良い方の場合は、これまでと同条件では難しくても引き続き融資を受けることは可能です。
誰にでも簡単に融資がついたからこその、「良い売り情報があってもあっという間に無くなってしまう」ことが起きにくくなり、物件を吟味検討する時間ができたという意味では、好環境になってきたとも言えそうです。

利回り1%の違いは結構大きいものです。
仮に、価格が1億円、表面利回り7%の物件があったとします。
これが利回り1%アップの7%となった場合、価格は8,600万円程度になりますから13%の値下がりです。1億円の中古物件であれば購入に関する諸経費は700万円ほど見ておきたいところですから、1,300万円は大きいですね。
これに、自己資金も加味してみましょう。

① 物件価格1億円、表面利回り7%
  自己資金・・頭金0+諸経費700万円(物件価格の7%)=700万円
② 物件価格8,700万円、表面利回り8%
  自己資金・・頭金1,740万円(物件価格の20%)+諸経費600万円(物件価格の7%)=2,340万円

ローンはそれぞれ金利1.5%、25年返済で組み、毎年の賃貸経営に関する諸経費が賃料収入の18%とすると、税引前のキャッシュフローはそれぞれ、

① 賃料収入700万円-ローン返済480万円-諸経費126万円= 94万円
② 賃料収入700万円-ローン返済413万円-諸経費126万円=161万円

自己資金に対する利回りは、

①  94万円÷ 700万円=13.4%
② 161万円÷2,340万円=6.9%

この比較だけを見ると確かに、①頭金0の場合はレバレッジ効果が大きく効いていますが、資産家の方々は同時に、他での運用との比較や分散も考えています。
預金や債券、株式等の現状と比べて、②の数字も悪くはないでしょう。
仮に頭金20%が現在の条件でも、「今」不動産が必要なのであれば購入に動く方もいらっしゃいます。
もちろん自己資金を2,000万円出せるのは、資産家やそれなりの貯蓄を持っている方になりますが。

また、税率を分散させるという視点もあります。
ご存じのように、個人で行う不動産投資・賃貸経営から得る賃料収入は、経費を差し引き、給与所得等と合算されて総合課税(累進課税)となります。
また保有不動産を売却した場合は、短期(売却年の1月1日で保有5年以下)で39%、長期(同5年超)で20%の税率が適用されます。
一方、債券、株式や投資信託等の金融商品の多くは、特定口座であれば20%課税です。
ちなみに仮想通貨で得た利益は、雑所得として総合課税となります。
同じ「運用」であってもこれだけ違うのですから、税率まで含めた検討をするのは当然ですね。実際、様々なもので運用されている方が新たな運用商品を目にした際、「これは、何所得になるの? 税金ってどうなるの?」という質問をかなりの頻度で耳にします。

不動産の価格動向は金融機関次第と言えます。
一昔前、「フルローン」という言葉が定着した2005年頃から2007年くらいにかけて、首都圏から始まった不動産価格の高騰が徐々に地方へと拡大していきました。その後、リーマンショックが起き、融資が急激に厳しくなったのを実感された方も少なくないかもしれません。当然のごとく、不動産価格は下落しました。

価格が高い時期に購入してその後一時的に下落したとしても、賃料からローン返済ができていれば保有し続けることもできます。市況が回復してきた中でタイミングよく売却する選択肢もあるでしょう。
地道に返済ができていれば、残債も着実に減っていきます。1億円を金利1.5%、25年返済で借りたとすると、残債が5年後には残債が8,300万円、10年後には6,500万円ほどとなります。賃料の下落を考慮する必要はありますが、一定の需要がある場所であれば見通しを立てやすいと感じます。
ただし、賃料下落が思った以上に進んだり、不動産価格が回復しない立地もあることは、想定しきれないリスクの1つです。
ポートフォリオの中で不動産をどのように位置づけるのか、市況の変化も見ながら再考したいところです。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

風戸 裕樹

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

最新コラム: 第2章 日本の不動産市場と海外投資(3)

金井 規雄

シリーズ連載: アメリカ・ロサンゼルスで不動産投資 7年で1億円

最新コラム: あとがき

橋本 秋人

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

最新コラム: 人気アパートのつくり方(5) 不動産投資判断に最も大切なこと

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中 圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: No.31 2019年フィリピンの不動産マーケット その2

佐藤 益弘

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: いまさら聞けない 相続のルール・・・改正されました その1

菅井 敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2018/9/15+16 投資EXPO出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

鈴木 学

シリーズ連載: 海外物件の管理

最新コラム: 第十二回「投資家の自己責任vs業者の説明責任」

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

猪俣 淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: 公務員の不動産投資について

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 米国不動産投資(2) ― サンディエゴ編

寺尾 恵介

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

最新コラム: 20.配偶者に不動産投資を反対されないために(前編)

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ