北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

新型コロナウイルスとREIT市場

2月以降、新型コロナウイルスの影響は金融市場だけではなくREIT市場にも大きな影響を与えています。
一時期の、乱高下を繰り返し動揺がおさまらなかった頃と比べると、足元では徐々に落ち着きを取り戻しつつあるようにも感じますが、今後、緊急事態宣言の影響が景気指標などの数字に具体的に表れてくるであろうことを考えると、まだまだ予断を許さない状況でしょう。
落ち着いてきたと言っても、現状2月上旬頃の水準には届いていません。
株式市場の代表指数のひとつであるTOPIXは、5月8日時点で1,458と1月末~2月上旬の1,740前後から見ると84%程度。
不動産投資信託のREIT指数は5月8日時点で1,655となっており、1月末~2月上旬の2,250前後と比較すると74%程度でTOPIXよりも戻りは鈍い形となっています。

こちらのグラフは、2020年1月〜5月8日までのTOPIXと東証REIT指数の比較です。

どちらも、まさにジェットコースターのようですね。
東証REIT指数は2,250程度から1,150程度へ急降下。底をつけたのが3月19日で、その後は少々回復し現在に至っています。3月は、東証REIT指数先物取引にサーキットブレーカー(急落を受けて売買を一時停止する措置)が発動されることもあったなど、大荒れの状況でした。

REITとひとことで言っても、投資対象には種類があります。主なものは、住宅、オフィス、商業施設、物流施設、宿泊施設。その他、比較的新しいものとしてヘルスケア関係もあります。
各々のREITにより、ひとつのカテゴリーを投資対象にしているものあれば、複数の場合もあります。REIT指数には、全体のもの以外にカテゴリー別のものもあるので見てみましょう。
指標は、住宅、オフィス、商業・物流の3つに分かれています。(商業施設と物流施設が一緒になっている指数ですが・・・)

これを見ると、全ての投資法人が同じ動きではないことがわかります。どの指数も1月末〜2月上旬からの下落率は40%半ば〜50%程度ですが、その後の回復状況に違いが見られます。

景気などに左右されにくく比較的安定的と言われる住宅は、他と比べて戻りが早いですね。
商業・物流が一緒になってしまっているためここからだけではわからないのですが、投資法人それぞれの数字等も見ると物流は比較的下落率が小さめ、商業施設は下落率が大きい状況です。
また指数にはないのですが、打撃を受けている観光関連の影響で、宿泊施設はご想像の通り下落率が大きくなっています。

価格自体は戻りきっていない状況ですが、REITは基本的にインカムゲイン投資とも認識されていますので、分配金利回りも同時に見る必要があります。現在は4.6%程度で、東証一部の配当利回り平均2.3%程度と比較するとその高さは一目瞭然です。しかしながら、REITについてあまりよく知らないという方がすぐに購入するのは、少々ハードルが高いかもしれません。
それでも、以前からREITを保有している方などは、滅多にないバーゲンセールだと購入に動いた方もいたはずです。大波乱の3月は、平均利回りが7%に迫るほどの時期もありましたから。

一般に賃料は景気動向に遅行すると言われますし、今後は賃料水準がどのくらい影響を受けるのかが気になるところです。
また、住宅は景気に左右されにくいと考えられていますが、最近では企業の福利厚生のひとつとして手厚い家賃補助が出るところも少なくない、と聞きます。住宅系REITの方からも、企業の家賃補助の恩恵が大きくなれば、以前よりも景気に左右されるようになるのではないか、という話しを伺ったこともあるので、動向を注視していきたいところです。
仮に賃料が下落して現在の分配金利回り4.6%が1割減になったとしたら4.1%、2割減で3.7%です。
もちろん、賃料水準が更に低下する可能性もありますし価格自体が切り下がることも考えられますが、このご時世、見方によっては悪くはない水準ではないでしょうか。

ただし、まだまだコロウイルスの収束が見えたとはいえない状況で、第2波、3波が到来する可能性もあり長期戦になることは確かですし、特に観光業による打撃が大きくなるであろう宿泊施設の動向によっては、不動産市場全体が低迷する事態も考えられます。
判断が難しい中ではありますが、中長期保有前提であれば銘柄によって購入検討もありかもしれません。
もちろん、最終的にはご自身の責任でご判断をお願いします。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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