北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

新型コロナウイルスと賃貸市場

大家として知っておきたいこと

新型コロナウイルスの動向はまだ先が見えない状況ですが、住宅の賃貸市場では今のところ大きな混乱は起きていないようです。
一部の店舗やオフィスにおいては、賃料減額や猶予の相談があるという声は少なからず出てきていますが、住宅に関しては今のところ限定的です。
もちろん、外国人の入居が見込めない、外出自粛もあり内覧が減少している、などということは見受けられます。退去があった場合、新たな入居が決まるまで時間がかかることは想定されますが、市場全体が突然大きな打撃を受けた、ということではないと感じます。
ただし住宅の賃貸市場は良くも悪くももともと動きがゆっくりですから、今後じわじわと影響が表面化してくることは考えられます。

企業の業績悪化により、給料が減った、一時的に休業しなければならない、またはそのようなことがなくとも何となく将来不安を感じるという理由により、賃料にかけられる金額が低下することは十分考えられます。
実際、現場の家賃保証会社では、一部家賃支払いの遅れが出始めているという話しもあります。家賃保証をつけているから普段はあまり空室や賃料現象をあまり気にしていないというオーナーも、早めに実態を確認しておいた方が、万が一の時に慌てずに済みそうです。

家賃保証はつけてなくとも、通常は管理を外部に委託している方も多いでしょう。そういう場合でも、状況の把握はしておきたいところです。管理会社であれば多くの物件の状況を知っていますから、連絡を取って情報を得ることもできるはずです。自身の物件だけではなく、他の物件や地域の状態など、現場でのリアルな話しがヒントになるものです。

リーマンショック時はどうだったか

最近で賃貸市場に大きな影響があったのは、2011年の東日本大震災を除けば、リーマンショック時まで遡ります。
2008年9月リーマン・ブラザーズが破綻したのを引き金に、世界経済は混乱に陥りました。
当時の賃貸住宅新聞を見ると、東京23区の賃貸マンション市場はそこから数ヶ月後の2009年初め頃から平均賃料単価が徐々に低下し始め、2012年半ば頃に下げ止まりの傾向が見えてきたというデータがあります。3年半でおおよそ10%程度の下落が平均的なところのようですが、場所や築年数などによっても違いがあるでしょう。

私の実感としても、2010〜2011年頃は1月〜3月の繁忙期であっても、内覧時に賃料の減額相談をよく受けた記憶があります。(2013年頃からは、あまりなくなったように感じます。)
また都心部の高級賃貸マンションでは、外国人入居者が軒並み退去となり、賃料が30%減という話しもちょくちょく耳にしていましたし、入居にあたり数ヶ月のフリーレントや特典付きという広告も目にしました。空室が長く続き、貸し手側が入居獲得のために試行錯誤していると常に感じていたように思います。

今回は長期に渡る数々の自粛により、消費の落ち込み→企業業績の悪化→個人の収入(給料)減という循環が考えられます。
賃貸市場への影響を想定する際、賃料減額の幅や期間について、リーマンショック時を参考にある程度見積もっておくのも良いでしょう。金融不安に端を発したリーマンショック時と状況は異なる部分もありますが、ひとつの目安にはなりそうです。
市況により一定期間減額するなど対応せざるをえないケースの見極めは、管理や仲介の現場の声が参考になるはずですから、情報収集に努めたいところです。

国や自治体による現金給付

負のスパイラルを食い止めようと、国や自治体は様々な現金給付対応をしています。
そのうち居住用賃料支援としては、「住居確保給付金」という制度があります。これは以前からあった制度なのですが、今回支給要件が緩和され休業等により収入が減った世帯でも対象となる場合がある、ということで世間での認知度が上がってきています。
給付額は自治体にもより異なるため、各々確認が必要です。詳細は、各自治体のHPなどに情報が掲載されています。入居者の方でこのような制度があることをご存知ない方もいらっしゃるでしょうから、状況によってお知らせしてみるのも良いでしょう。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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