北野 琴奈の不動産投資コラム

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

太陽光発電と不動産投資・賃貸経営

先日、日本は2050年に温暖化ガスの排出量を実質ゼロにするという表明がありました。
この流れは世界的なものであり、再生可能エネルギーへの注目が今後ますます増えていく可能性がありそうです。
不動産投資をしている方で、太陽光発電投資に興味を持つ方は少なくありません。実際、両方とも手がけているという方も比較的多い状況です。
特に再生可能エネルギーについて発電全量を固定価格で買い取る制度が2012年に導入された後は、普及が進んだように思います。

という私自身も2016年から開始し現在5年目に入ったところで、住居を提供する不動産投資・賃貸経営との違いを実感しています。
ここでは、保有時の収支、出口想定の2つの視点から双方を比較してみようと思います。

保有時の収入

太陽光発電と不動産投資・賃貸経営の1番の違いは、収入の安定さだと感じています。
現在の日本における賃貸経営は、リスクのトップに上がるのが空室・家賃減少ということも多いはずです。人口が減少している地域だけではなく、都心であっても、供給過多のために空室が続くということは珍しくないでしょう。空室率は、立地や築年数等によっても大きく変わりますが、数%~10%台、場合によっては20%以上などというところもあります。家賃減少については、一般に1年に1%程度の割合で減少していくと言われています。(こちらも、立地や築年数等による。)

一方、太陽光発電の場合は空室を気にすることはありません。また収入減少の主な要因は、経年によりパネルの発電効率が落ちることと、天候不順により発電時間が短くなることです。
パネル劣化による発電減少は年0.3〜0.5%程度(メーカーにより異なる)と言われており、空室や家賃減少に比べれば小さいと言えます。
天候不順による日照量の変化については、現在5年目となりますが、事前の日照量から試算してもらったシミュレーションと毎年ほぼ同じくらいで推移しています。天気により毎月の凸凹はあるのですが、1年トータルで見ると大体一定で安定しています。

保有時にかかる費用

どちらも、税金や水道光熱費等必ず必要なものと、管理にかける費用等オーナーの経営方針によって変わる部分があります。ざっと挙げてみると、

<太陽光発電>
・固定資産税(土地・設備)
・パワーコンディショナーの電気代
・保険
・雑草対策費
・遠隔監視システム費
・パネル洗浄費
・修繕費

<不動産投資>
・固定資産税(土地・設備)
・法定点検費(貯水槽、消防設備、エレベーター等)
・水道光熱費
・管理費
・保険
・原状回復費
・入居募集費
・修繕費

どちらも、最後に挙げた「修繕費」については、金額が大きくなる大掛かりなものは数年に一度発生するとして想定しておく必要があります。
太陽光発電に関しては、パネルやパワーコンディショナーには、メーカー・施工会社の10年、25年といった保証がついていますが、保証期間後は自身の費用で修繕(交換)することになります。
一方、不動産投資の場合は、建物の防水工事や鉄部・外壁塗装、給排水管工事、設備機器の修繕・交換などのメンテナンス費用がかかります。

双方ともこれら費用の他に出て行くお金としては、ローンを組んで購入する場合はローン返済があります。

出口想定

不動産投資の方が太陽光発電と比較して、今のところ出口を想定しやすいと言えそうです。
なぜなら、太陽光発電は固定価格買取終了後のことが見えにくい状況だからです。
21年後に国が定める固定買取価格は無くなりますから、①発電を終了する、②発電を継続する、③設備ごと売却する、という選択になります。

①の場合は設備を撤去する費用がかかり、②では、売電先を探すか、自家消費にまわすことになりそうです。発電を続けるにあたっては、設備の修繕・維持費もこれまでの20年より増えるであろうことも想定しておく必要があります。③については今でも設備ごと買い取るという市場はありますが、固定価格買取終了後ではどの程度の価格になるのかは未知数です。

今後、新たな制度や受け皿が整備されていく可能性もあるでしょう。ただしこのようなたことはまだ不確定要素が多く流動的で、収支を想定しにくいと言えます。
もちろん賃貸経営も出口が確定しているわけではないのですが、少なくともこれまでの事例数は多いですから推測しやすいのです。

太陽光発電は、当初20年間の収支は比較的確度が高いですが、21年目以降は継続するか否かの場合それぞれで想定していく必要があります。
固定価格買取制度によって多くの設備がつくられてきたので、使用後の設備の処理をどうするかは今後大きな課題になりそうです。
また、設備の劣化によってどのくらい修理が必要になるかということも、これから増えてくるであろう情報に注目していきたいところです。

尚、太陽光発電投資に興味があるという方に向けて、証券化されたインフラファンドで運用するという選択肢もあります。現在7銘柄が東証に上場しており、1口10万円前後と実物と比べると小額から運用が可能ですので、比較的取り組みやすいでしょう。

【このコラムの著者】

北野 琴奈

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会認定)

1974年 北海道生まれ。
津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。
実践型FPとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。

会社員の頃、資産運用の大切さを実感し、ファイナンシャル・プランナーの上級資格である、国際ライセンスCFP®資格を取得。
同時にロバート・キヨサキ著『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだのをきっかけに、夢実現の手段として不動産投資・経営をはじめ、東京を中心に計104室まで保有。海外にもチャレンジし、アメリカの物件購入に到る。

TBS「かっちりマンデー!!」、「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。
一方、ワイン好きの趣味が高じて「ワインエキスパート」の資格を取得、ワインに関する講座を務める。
著書に、『逆算で夢をかなえる人生とお金の法則』、『47テーマで学ぶ家計の教科書』、『はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント 』がある。

HP: http://www.kotonakitano.com/
blog: http://blog.livedoor.jp/kotonakitano/

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