平賀 功一の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

不動産を今、買っていい人 買わないほうがいい人

足もと、投資・実需を問わず、不動産の購入のタイミングが読みにくくなっています。

というのも、固定金利タイプを中心に金利の先高観が鮮明になっており、住宅金融支援機構が取り扱う住宅ローン「フラット35」は今年2月から5カ月連続で利上げされています。長期金利に強い下押し圧力がかかっており、4月20日には0.25%まで上昇するなど、短期間での長期金利の急激な上昇がローン金利にも波及しています。

その結果、これまで長らく続いたローン金利の低位安定に「終止符」が打たれる恐れが出てきました。現在、日本銀行は長期金利が一定の範囲を超えないようイールドカーブ・コントロール(金利操作)しているわけですが、その司令塔である黒田総裁は来年(2023年)4月で任期満了となります。すでにエコノミストの間では次期総裁候補の名前が挙がっており、黒田総裁の再々任はないだろうというのが大方の見方です。

もし、新総裁のもと、現在の異次元緩和が正常化(政策変更)へと向かい始めたら、長期金利が0.25%を超えることは想像に難しくありません。長期金利の上昇はローン金利の上昇を意味するだけに、不動産を購入しようか迷っている人には「さらなる利上げ前に駆け込み購入するべき」か「慌てずに様子を見るべき」かの選択が迫られます。

 懸念材料はそれだけではありません。ウクライナ紛争は長期化が予想され、いまだ出口(着地点)は見えません。4月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同期比2.1%の上昇となり、伸び率は消費税増税の影響で2.2%上昇した15年3月以来、約7年ぶりの大きさです。5月18日に公表された日本の2022年1~3月期GDP成長率(速報値)は前期比マイナス1.0%(年率換算)となり、2四半期ぶりのマイナス成長となりました。賃金が伸び悩む中にあって、悪い物価上昇は景気を腰折れさせます。

購入のタイミングに迷ったら「想像力」を働かせてみよう

 こうした先行き不透明感が蔓延するなか、不動産購入のタイミングには想像力が求められます。過去の経験則や勘だけで決断するのは極めて危険です。内在するリスクを想像し、シナリオ分析する必要があるのです。

ここでいうシナリオ分析とは「さらなる利上げ前に駆け込み購入するケース」と「慌てずに購入を先送りするケース」―― それぞれのプラス面とマイナス面を分析し、その損得を比較考量する作業を意味します。

【慌てずに購入を先送りすることのプラス面】

・自己資金を増やせる
・収入増が見込めれば、予算のアップが可能となる
・多くの物件を比較検討できる(見る目を養える)
・より建築技術や住宅設備の進歩した住宅を手にすることができる

【慌てずに購入を先送りすることのマイナス面】

・価格上昇を前提とすれば、さらに値上がった価格での購入(高値づかみ)を余儀なくされる
・利上げを前提に考えれば、高金利での借り入れを強いられる
・賃貸生活の人は、家賃の支払いが続く
・ローン完済時の年齢が遅くなる

上記は、自己居住用のマイホームの取得を念頭に「慌てず、購入を先送りした場合」のプラス面とマイナス面を整理したものですが、メリットとしては予算面の改善のほか、見る目を養えたり、高性能な住宅を手に入れやすくなるといった点が挙げられます。

とりわけ、おうち時間が増えた現在、ウイズコロナ時代を見据え、住宅メーカーやマンションデベロッパーはテレワーク対応やウイルス対策の施された間取りや住宅設備の投入に力を入れています。購入時期の先延ばしによって情報収入に時間を掛けられた分、満足度の高い物件に巡り合える確率が高まります。

半面、メリットがあればデメリットもあるのが世の常です。住宅価格とローン金利に上振れリスクが台頭しているなか、購入時期の先延ばしは資金面を圧迫する恐れがあります。価格上昇と金利上昇のWパンチにより、割高感のある物件を高い利息を払って手に入れなければならなくなります。

マクロ環境に振り回されず、自身のライフプランに立ち返ろう

ここで誤解のないよう補足しておくと、現在の価格水準が割安であるなどと主張するつもりはありません。無論、駆け込み購入をあおる気もありません。価格も金利も常に変動しています。一時点の水準だけで単純比較するのは早計です。

重要なことはマクロ環境に振り回されず、各人のライフプランに立ち返ることです。人生には様々な節目があり、人の一生はその節目ごとに各自・各様のニーズがあります。たとえば子供が生まれたので、もう少し広い部屋に住みたいという要求があるからこそ、その希望条件を満たしたマイホームの購入を検討し始めるわけです。定年を控え、公的年金だけでは老後が不安だからこそ、私的年金代わりになるよう不動産投資に興味を示すわけです。

つまり、足もとの不動産価格やローン金利の上昇(=マクロ環境の変化)を直接的な購入動機にしてはいけないのです。本来の目的は、あくまでライフステージ上の各人のニーズの実現です。子育てのしやすさだったり、ゆとりある老後資金の確保だったりと、節目ごとの各自の要望に即して購入のタイミングを決めなければなりません。

その点を混同し、経済指標に踊らされては本末転倒です。自身のライフプランに立ち返ることで、最適な購入のタイミングが見つけられるようになります。

最後、本稿の結論として、タイトルの答えは次の通りです。

《不動産を今、買っていい人》

ライフステージに即した明確な購入目的を持っており、その目的の実現のために不動産を買おうとしている人

《不動産を今、買わないほうがいい人》

購入動機や希望条件が曖昧なまま、マクロ環境やメディア情報に踊らされている人

購入のタイミングを見定めるに当たっては「目的の明確化」と「優先順位の決定」が重要というわけです。

【このコラムの著者】

平賀 功一

e住まい探しドットコム代表
AFP/宅地建物取引士/管理業務主任者/福祉住環境コーディネーター/住宅ローンアドバイザー/二種証券外務員/マイアドバイザー®

第一不動産グループの住宅販売会社にてマンション販売のプロジェクトを任され、モデルルームの設営から広告代理店との広告やチラシの打合せ、アルバイトの管理、事業主や施工会社との交渉、販売スケジュールの作成、販売収支の管理、契約業務全般などを歴任。三井不動産販売(株)への出向経験あり。
1999年に住宅コンサルタントとして独立し、e住まい探しドットコムを設立。

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