上井邦裕の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

目に見えない不動産投資の落とし穴①~物件選びには、地震と建物の関係を意識しよう~

初めて不動産投資をするにあたり、何に着目すれば良いでしょうか?
不動産投資というと、多くの方は「満室にして、高値で売却」など建物ありきで考えがちです。
ただ、もし、大地震が発生したら、建物倒壊の可能性もあります。投資の前提が崩れてしまいますね?
そこで、今回は地震と建物についてみていきます。

地震大国である我が国日本

我が国はご承知のように「地震大国」です。振り返ると阪神淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)など、大きな地震が過去に発生しております。
今年2021年度は既に震度5以上が4回もありました。

繰り返しになりますが、不動産投資には多額の資金が必要です。ただ、いざ、投資を開始した!とその直後に大地震が発生してしまい、建物が倒壊でもしてしまっては・・・・元も子もありません。

ただ、大地震が起こっても、地盤の固いエリアや建物の工法によっては、すべての建物が倒壊するわけでなないわけです。
ですから、地震と建物の関係を知っておくことは重要です。

地盤調査の必要性を考える

投資対象として考えている場所の地盤が強固なのか?軟弱なのか?知る方法は何でしょう?
その1つの方法が周辺地盤を歴史上の観点から調査することです。古地図の閲覧で、ある程度の判断はできますし、現在の住所に沼・谷・川・池などが付いている場所は昔から地盤の軟弱さの可能性が考えられます。

もちろん、昔の地盤がどうであったかまでを意識することなく、目に見える数字の投資効率の現状判断のみで、手っ取り早く収益物件を購入し、不動産投資を開始することは可能です。

収益物件の場合、既に完成した建物が建っている状態で購入するケースも多いので、地盤を改良することは容易ではありません。地盤調査をしていない物件がたまたま大きな地震に合わずに済んでいるだけかもしれませんし、既に地盤改良が施されていることも考えられます。

一方で、軟弱な地盤の土地を購入して建物を建てる場合、費用をかけて地盤改良や多くの基礎杭で足元を強固にする必要があります。つまり、地盤改良に伴うコストがかさみ、想定していた投資効率が出せないなど悪影響も出るでしょう。仮にコストを押さえた結果、地震により建物に損害を受けては本末転倒になってしまいますから、地盤調査を意識することは重要です。

地震対策の工法の違いについて

大地震が起きると、数年後には建築基準法の改正が行われ、規制が厳しくなることが繰り返されています。ですから一般的に、築古の物件より築年数が浅い建物の方が、厳しい新しい規制をクリアしているので、倒壊する確率は少なくなります。

地震対策の基本的な方法に「耐震」・「免振」・「制震」と言う3つの方法があります。が、このような対策が古くからある建物にすべて備わっているとは限りませんが、覚えておきましょう。

「耐震工法」とは、建物そのものの強度を向上させることで揺れに「耐える」技術です。筋交いや耐力壁などで建物を固めることで地震の力は建物に伝わりやすくなりますが、繰り返しの地震に遭遇すると、建物にダメージが蓄積されていきます。
 
「免振工法」とは、地盤と建物を切り離して絶縁することで建物に揺れを「伝えない」技術です。ゴムと鋼板でできた装置と動きを抑えるダンパーを設置することで、揺れは伝えにくくなります。

「制震工法」とは、地震エネルギーを装置の設置により地震の揺れを「吸収する」技術です。ばねやダンパーなどの装置を組み込むことにより、揺れを吸収し、外壁の損傷を少なくするものです。

この3つの地震対策は並列に語ることのできるものではありません。耐震工法には国の定める基準があるので、義務化になっておりますが、免振工法と制震工法には定めがなく、いわばオプションになります。
耐震工法は命を守り、免振工法と制震工法は建物や家具を守ることができるイメージといったところでしょうか。

収益物件においては、土地改良からは困難になりますが、これらの工法が備わった建物の選定を意識し、また、土地購入をして建物を建てる場合は、これらの工法を意識することが重要になってきます。

新耐震基準について

建築基準法の耐震基準には大きな区切りがあります。新耐震基準と言われ、1981年(昭和56年)6月から施行され、震度6程度で倒壊しない基準です。理由としては、1978年に発生した宮城県沖地震の建物倒壊の被害が甚大だったことによります。

収益不動産を購入するにあたり、「建物が建てられた時期が1981年(昭和56年)6月以前か、それ以後か」これがひとつの大きな判断材料になります。
また、新耐震基準になった後、2000年にはさらに厳しい耐震基準へと改正がされており、「2000年基準」とも呼ばれております。これは1995年に発生した阪神淡路大震災によります。

とは言え、古くからの建物であっても、新耐震基準と同等以上の強度がある建物もあるので、外見からの見分けがつきにくいことは確かですが、「確認通知書」の書類があれば、確実に判断できます。

旧耐震基準の建物について

旧耐震基準の建物は新耐震基準の建物より価格が安いので「利回り」が高くなります。一見魅力的に見えますが、耐用年数など長い目で見ると費用がかかり、お得でない場合も少なくありません。

理由としては、2点ほど考えられます。

①耐震基準適合証明書の取得費用

不動産投資をするにあたり、金融機関からの融資を受ける事が多いと思いますが、新耐震基準であることが必要になります。このため、専門家への調査依頼をしなければならず、時間と費用がかさみます。

②保険の割り増し費用

購入にあたり、火災保険や地震保険に加入します。ただ、保険会社にもよりますが、保険料も旧耐震基準の建物の場合は割高になります。また、新耐震基準の建物と同じ金額で保険に加入するためにはやはり、耐震基準適合証明書が必要になります。

水害リスクについて

これまでは地盤調査の必要性や地震対策の工法を説明してきましたが、自然災害で重要な要素である水害についても触れておきます。

近年、河川の氾濫による大規模な水災害の発生により、甚大な被害が各地に発生しております。
このことより、不動産取引時においても水害リスクの情報説明が義務化となり、取引対象物件の所在地については、市区町村が発行する水害ハザードマップを以て、該当するか否かを説明しなければなりません。また、その所在地が浸水想定区域の外であっても、その位置を示す必要があります。

土砂災害リスクについて

もうひとつ、自然災害で重要になってくるのが、土砂災害です。発生する多くの原因は地震により、地すべりやがけ崩れが起きます。また、くずれた土が川の水や雨水などと混じって、土石流が起き、建物崩壊の甚大な被害となります。これも、水害リスク同様に、ハザードマップが存在しており、物件選定においては重要なものになります。

まとめ

新耐震基準の建物や地震対策として、耐震工法、免振工法、制震工法がある建物は倒壊から守る対策として重要になりますし、最終的には居住している方の命、近隣の方の命を守ることにもつながっていきます。
また、東日本大震災において、発生した液状化現象の言葉は記憶にあると思いますが、これには地盤も関係しております。

不動産投資において、建物の築年数や利回りといった投資効率を中心に考えがちですが、建物が倒壊してしまっては、投資は成立しませんので、その土台となる地盤はかなり重要です。また、地震対策ばかりではなく、地形による水害リスク・土砂災害リスクも不動産投資においては重要になってきます。

【このコラムの著者】

上井邦裕

三晃トラスト株式会社 専務取締役
保有資格:AFP/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/相続アドバイザー協議会認定会員/マイアドバイザー®

大学卒業後、建設分野で20年携わり、その後不動産・相続分野で10年以上携わっている。
(一社)神奈川県ファイナンシャル・プランナーズ連合会にも所属

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