初めて不動産投資をするにあたり、今回は建物に着目したいと思います。
高層の建物もあれば、低層の建物もあります。その違いは何か、あるいは不動産投資においてどうして建物の構造が重要なのかを今回は見ていきます。
建物構造の種類
建物構造とは、建物で使用される建築材料を表す言葉です。建物と言うと、戸建て・アパート・マンション・オフィスビルのようなイメージしやすい呼び方に分類されますが、その建物で使用される建物構造は7種類あります。今回は代表的な4種類を説明していきます。
「鉄筋コンクリート造は木造と比べて耐震性が高い」というような情報も見受けられますが、適切に構造計算されているならば、そのようなことはありません。
また、これから読み進めていく上で、木造や鉄筋コンクリート造など建物構造の違いは前回に触れた耐震性と直結しないことを念頭に置いてくださいね。
<木造(w)>
木造は木が材料です。他の材料に比べて自然の材料です。木は水分を吸収すると膨張し、乾燥すると収縮しますので、まさに生きております。この特徴が高温多湿の日本の気候に適しているため、古くから建物構造に用いられております。その例として、神社仏閣にあるように1000年もの間、建ち続けております。低層建築物に採用されており、木造の代表例は戸建てとなります。
<鉄骨造(s)>
鉄骨造は鉄骨が材料です。材料にも色々な形や厚みがあり、用途に応じて使い分けがなされ、現場で組み合わせて形にしていきます。厳密に言うと、鋼材の厚みによって分けられ、鋼材の厚さによって6.0mm以上のものを重量鉄骨造、6.0mm未満のものを軽量鉄骨造に分類しております。
板厚が厚い方が大きな力に耐えることができますから、耐震性があります。
重量鉄骨造は高層ビルやマンションに使用され、軽量鉄骨に比べて鋼材の厚みが大きいため、鉄骨の本数が少なく済むため、広い空間や大開口が可能になります。
軽量鉄骨造は住宅メーカーの戸建てやアパートに多く採用され、木造の鉄骨版とイメージとしてみてください。
<鉄筋コンクリート造(RC)>
Reinforced Concreteの略で鉄筋コンクリートとなります。
鉄筋コンクリート造は鉄筋とコンクリートを組み合わせた材料です。鉄筋は引っ張る力に強く、コンクリートは石に近い性質で、押される力には強いのがそれぞれの特性です。そこで引張力と圧縮力の双方の特徴を組み合わせてより強い構造となります。
手順として、現場で鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込んで固めていき、階高を高くしていきます。主として中高層建築物(5~10階建て)に使用されておりますが、最近では高強度コンクリートの開発により、超高層建築物にも採用されております。
<鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)>
Steel Reinforced Concreteの略で鉄骨鉄筋コンクリートとなります。
鉄骨鉄筋コンクリート造は鉄骨と鉄筋とコンクリートを組み合わせた材料です。鉄筋コンクリート造の柱芯部にH鋼など頑丈な鉄骨を内蔵した工法です。これにより、超高層建築物に採用されます。
上記の建物構造ごとのメリットとデメリットを表にします。
また、建物構造の性能の比較として4段階にて筆者の判断で比較したものを以下に示しますので、参考にしてください。
以上、代表的な4つの建物構造について説明してきました。
建物構造とは、建物で使用される建築材料なので、そのままという訳にはならず、外壁材での仕上げが必要になります。
<外壁材について>
外壁は建物の仕上げとなり、建物を見た時に目に入る光景です。「こんな家やマンションに住みたいなぁ」と、一度は感じたことはあると思います。このように外壁は重要なものになります。種類としては、サイディング・タイル・石・モルタル・ALC・トタン・レンガなど色々な外壁があります。代表的な3種類を見ていきます。
<サイディング>
使用材料によって分類されますが、仕上げ用の板材のことです。木造や鉄骨造の多くはこの外壁材を占めております。その理由は、バリエーションの多さとコストパフォーマンスの良さです。
<モルタル>
網状の金物の上からモルタルを塗って、その上から塗装して仕上げる工法です。モルタルを塗る時に模様をつけるなど、デザインすることができます。メリットとして、サイディングのようにボードのつなぎ目がないので、シーリングの劣化を気にする必要がありません。サイディングが普及する前までは、ほとんどがこの外壁でした。
<ALC>
Autoclaved Light weight aerated Concreteの略で軽量気泡コンクリートとなります。
耐火性・耐震性・断熱性などの高レベルの性能を満たすものですが、防水性がないので、塗装が必要になり、ボードのつなぎ目にシーリングの必要があります。
余談ですが、鉄筋コンクリート造には「打ちっ放し」という型枠を外して、そのままを仕上げにする工法があります。コストを押さえることはできますが、現場に携わる職人は資材を運ぶ時など、細心の注意をしなければならないため、敬遠されがちです。
そのため、作業効率からして、仕上げとしてタイルを張ることが多いようです。
<地域別建設費の相場>
建物構造を主として、代表的な4種類を説明してきました。では実際に建築費はどのくらいなのかを見ていきましょう。
政府統計の総合窓口(e-Stat)が発表する「建築着工統計調査(2020年)によると、以下のようになっております。
あくまでも目安になりますが、全建築物計の工事予定額と延床面積より建物構造ごとの㎡単価を記載しております。
まとめ
建築費からの判断をすれば、SRC造が一番高く、木造は安いことがわかります。また、建物構造によっては階高の限度はありますが、m2数や階高を増やせば、建築費は高くなります。
物件選定において、例えば、階高重視であれば、RC造・SRC造が中心になりますし、家賃重視であれば、木造や鉄骨造を中心に選定していくことになります。
とは言え、昨今では環境面を重視する傾向にあり、また、木造においても技術の進歩により、中層階も可能になっております。環境面・耐用年数からの観点においては別の機会に説明をしたいと思います。
最後になりますが、不動産投資において、何を重視するのかによって、判断していくことになろうかと思います。