日本全国に土地はたくさん存在し、個人名、法人名、国、地方自治体の公的名など、必ず、誰かの名義で所有になっています。土地には地番が振られ、同じ土地はこの世に存在しません。しかしながら、同じ土地なのに価格が4つも5つも存在します。今回はこの不動産価格について、説明していきます。
1物4価ないしは1物5価とは?
同じ土地なのに評価が4つも5つも存在します。このことより、不動産の価格は1物4価ないしは1物5価と言われます。
・実勢価格(時価)
・公示価格
・基準地価格
・相続税評価額(路線価)
・固定資産税評価額
に分けられます。
では、ひとつずつ、見ていきましょう。
実勢価格(時価)とは?
実勢価格(時価)とは、実際の取引が成立する価格のことです。土地の価格には相場があります。一例を挙げますと、その地域における宣伝広告やチラシに掲載されている価格が相場であり、時価となります。
ただ、実勢価格は相場と比較すると、時に価格帯に幅があることがあります。この理由として、購入したい方が、「どうしてもこの土地が欲しい!」など、他の場所の土地では代用が効かない場合は高い価格で取引することになります。また、逆に「相続税を納める必要がある!」など、早く売却したい場合は安い価格で取引することになります。
このような事情を考慮したり、実務的にも当事者間で価格交渉もありますので、実勢価格=時価で差し支えないと思います。
公示価格とは?
公示価格とは、国土交通省が毎年1月1日時点を評価時点として、3月に発表する土地の正常な価格の指標のことです。正常な価格とは特殊な事情が無い売買で成立する適正な価格を指します。
また、地価公示法に基づいたもので、その周辺地域に標準地を選定し、この価格を正常な価格として公示します。地価公示法は、一般の土地の取引においても、この価格を指標にして取引をすることを目安とした法律です。
基準地価格とは?
基準地価格とは、都道府県が毎年7月1日時点を評価時点として、9月に発表する土地の正常な価格の指標のことです。公表機関に違いはありますが、実質的には公示価格と同じ性格の指標です。
公示価格は日本全国で約23,000か所の標準地の選定地です。しかしながら、価格を知りたい土地の近くに標準地が無い場合もあり、これを補うためにあるのが基準地価格になります。
公示価格と基準地価格は同じ性格のため、ひとつの価格として考えると、1物4価になります。なお、公示価格と基準地価格は国土交通省のHPで検索ができます。
公示価格と実勢価格の違いとは?
公示価格は公的機関が毎年1月1日時点での価格となりますが、実勢価格はその土地ごとに成立する価格なので、取引ごとに、都度価格が変わります。
その要因のひとつに、公示価格の選定地と完全に一致する土地はありませんので、地積は同じでも地形、道路幅、間口などの個別要因により、実勢価格は変動します。
公示価格は決まった価格であるのに対し、実勢価格は決まっていない価格となります。また、例えば、公示価格の上昇傾向にあった年に、疫学的リスクや大きな事件が発生した場合は、公示価格と実勢価格は大きく乖離することも考えられます。つまりは、公示価格≠実勢価格となります。
相続税評価額(路線価)とは?
相続税評価額(路線価)とは、相続税・贈与税を計算する時の基準となる土地の金額のことで、相続税法に取得の時における時価によるものとされております。
上記で説明したように、実勢価格=時価ですし、取引が成立するまで金額は決まりません。また、相続において、必ずしも土地の売却をするとは限りません。
ですから、相続税・贈与税の計算の時価を算定することは困難になりますし、時価がバラバラでは課税の公平性を保つことは出来なくなります。
では、どうすればよいのか?
相続税評価額(路線価)は国税庁のホームページに路線価図を見るとわかるようになっており、公示価格の約80%としております。
公示価格そのものは、高い金額もあれば低い金額も存在します。しかしながら、公示価格の約80%という一定割合で算出することにすれば、全国一律の割合となり、整合性がとれることになります。
これを基にして土地の金額を算出します。建物の相続税評価額は固定資産税評価額の金額になります。
固定資産税評価額とは?
所有している土地と建物には税金が発生します。
固定資産税評価額とは、固定資産税と都市計画税の算出に係る評価額のことです。また、不動産を取得した時に不動産取得税や登録免許税の算出にも使われ、公示価格の約70%としております。
以上のように、実勢価格を除けば、すべて公的価格となり、その中でも公示価格は重要な指標となります。公示価格を基に、色々な税金を算出する価格の呼び方になります。このことより、不動産の価格は1物4価ないしは1物5価と言われます。
投資効率を考える
土地購入をして、建物を建てる場合もあれば、収益物件として購入する場合もあるでしょう。
いずれにせよ、高額になりますので、失敗して撤退は避けなければなりません。
例えば、候補の収益物件のすべてを詳細に計算すると時間を要しますので、概算金額の判断で選別をすることも必要かと思います。
土地の金額においては、公示価格・基準値価格・相続税評価額より算出することが可能です。ただし、公示価格≠実勢価格なので、実務では、公示価格×地積×1.2=実勢価格の目安として、概算金額とすることが多いようです。
建物の金額においては、固定資産税評価額=公示価格の約70%です。
これらを軸として、築年数、空室状況、利回りなど総合的に考慮して、選別をします。
高額のため、募集物件の詳細を入手し、精査して購入するか判断を最終的にはします。
まとめ
この世にひとつしかない土地の価格は、1物4価ないしは1物5価と言われるように、価格が存在します。しかしながら、どれかの価格が判明できれば、その関係性から求めたい金額はある程度の判断は可能です。
また、実務では、公示価格×地積×1.2=実勢価格の目安として、概算金額にすることは簡便的に用いるようですが、地形、道路幅、間口などの個別要因により変動しますので、専門家に相談して、査定をしてもらうことが大切なことだと思います。