LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

不動産投資における節税対策のポイントは?

「不動産投資は節税になる」というフレーズをよく耳にしますね。節税効果に惹かれて不動産投資に興味を持つ人も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、不動産投資をするだけで自動的に節税効果が得られるわけではありません。節税対策をするには、たくさんの知識や手続きが必要です。
そこで、不動産投資における節税対策の重要なポイントをご紹介します。正しい知識をうまく適切に活用し、上手に節税効果を狙っていきましょう。

不動産投資に必須な確定申告

投資用不動産を所有している場合、毎年確定申告をする必要があります。
会社で年末調整してもらえるサラリーマンには馴染みのないもので、手続きが面倒と思う人も多いかもしれませんが、この確定申告こそが節税の基本です。
確定申告をすることで所得税の節税などのメリットを受けることができ、払いすぎた税金が還付される場合もあります。

確定申告の種類

確定申告には、2つの種類があります。

白色申告

一般的な確定申告の方式です。
2013年までは不動産所得や事業所得が300万円以内の場合、記帳や帳簿を保存する義務がなく、非常に簡易的に確定申告することが可能でした。しかし2014年以降、所得額に関わらず全ての事業者に対して、帳簿の作成が義務付けられています。
また、収入や経費を記入する法定帳簿は7年間、請求書や領収書などの書類は5年間の保存期間が定められているので注意しましょう。
白色申告の場合、1日の合計額で収入や支出を記帳してもよい「単式帳簿」が認められています。確定申告時に必要な提出書類も、「確定申告書」「収支内訳書」の2種類のみです。
しかし、「単式帳簿」は家計簿のような簡易的な帳簿管理で良いとされている代わりに、控除や優遇措置などのさまざまな特典を受けることができません。
白色申告による節税効果は薄いと言えます。

青色申告

日々の経営状況や取引の内容を細かく会計帳簿に記録し、書類をすべて保存しなければならないのが青色申告です。
取引1件ごとに記帳が必要で、取引の種類(収入なのか支出なのか)、内容(備品、光熱費、借入金などの項目)、金額、日付、勘定科目(現金なのか預金なのかなど)を仕分けして記帳しなければなりません。これを「複式簿記」と言います。現金や借金がどう増えたのか、または減ったのかといった財政状況を簿記に示すことが必要です。
さらに青色申告の場合、通常の確定申告書の他に、賃借対照表や損益計算書の提出が必要となります。

青色申告では、このように帳簿に基づいた正確な申告を行うことで、最高65万円の控除や、税金面での優遇などさまざまな特典を受けることができます。

青色申告を利用して確定申告する場合、事業開始のための手続きが必要です。
まずは「個人事業の開廃業等届出書」「青色申告の承認申請書」などを、青色申告で確定申告したい年の前年3月15日までに税務署に提出しましょう。2019年分の事業を2020年の確定申告から青色申告にしたい場合、2019年3月15日までに提出しなければならないということです。

青色申告には複雑な記帳が必要であり、確定申告時の提出資料が多いなどのデメリットもありますが、それ以上に節税につながるさまざまなメリットがあります。白色申告でも記帳が必須となった今、ほとんどの事業者が青色申告を選択していると言えるでしょう。

では次に、青色申告で受けられる様々な特典について見ていきましょう。

節税対策の基本は青色申告!

前述の通り、手続きが複雑になる代わりに、多くの節税につながるメリットがあるのが青色申告です。不動産投資に節税効果を求めるのであれば、青色申告するのが基本中の基本と言えます。
青色申告することによって、以下のような節税効果が得られます。

青色申告特別控除

事業規模なら最高65万円、通常でも最高10万円の控除が可能となります。
不動産貸付けが「事業規模」であるかどうかの判断は、国税庁において
(1)貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
(2)独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。
と定められています。
ただし、この基準に満たなくても合計賃料収入が事業規模並みに大きい場合など、国税庁から事業規模と認められるケースもありますので、相談してみましょう。
また、アパート5室、独立家屋3棟(1棟=2室で計算)など組み合わせて事業規模とすることも可能です。

65万円の控除を受けるためには複式簿記が必要であり、また決められた法定申告期限内に確定申告しなければならないという条件があるので、注意しましょう。

青色申告専従者給与

事業的規模の場合にのみ適用されるもので、家族を事業の従業員としている場合、家族への給与を必要経費として収入から差し引くことができるという制度です。経費が増える分、所得額が減るため節税につながります。
家族への給与を必要経費に計上したい年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要がありますので、注意しましょう。

給与額に明確な上限はなく、その人の経験などに基づく労務の対価としての適正額とされています。また、ボーナスの支給と経費計上は可能ですが、退職金を支給した場合でも、それを経費計上することは認められていませんので、注意してください。

ちなみに白色申告にも「事業専従者控除」がありますが、給与額の上限は、配偶者で86万円、それ以外は50万円と定められています。それ以上の給与額がある場合は青色申告の方が大きな控除額となり、より節税効果が高いです。

少額減価償却資産の特例

通常10万円以上の備品は資産となり、「修繕費」ではなく「資産的支出」として扱われます。修繕費なら一括で経費計上できますが、資産的支出となるとその備品の耐用年数に応じて、減価償却費として複数年にわたって経費計上しなければなりません。
20万円未満であれば、「一括償却資産」という制度によって、その費用を3年間で割って均等に償却することも可能です。
青色申告の場合、これらの制度に加えて「少額減価償却資産」という制度が使えます。これは、30万円未満までであれば、備品消耗品費として支払った年に一括で経費計上できるという制度です。年間合計300万円が上限となっています。

損失繰越期間がある

青色申告している場合、3年間損失を繰り越すことが可能です。法人化している場合は、9年間の損失繰越期間となります。
翌年以降の利益と相殺することができるため、所得額が減り節税になります。

法人化による節税対策

所得税の節税

個人の所得税の税率は、所得金額による累進課税方式で5%から45%と幅が設けられています。一方法人の場合、法人税の税率は19~23.4%。
ここで課税所得額900万円程度のケースを見てみましょう。900万程度の課税所得額がある個人の場合、その所得税・住民税の合計税率は43%になります。一方、同じ所得金額のある法人の場合、法人税、法人事業税、法人住民税などを含めた概算での合計税率は33%程度。(地域や資本金によって増減あり)
つまり個人であっても、年収が高い人の場合、法人で購入した方が税率を低く抑えられるというわけです。課税所得額900万円というのが、法人に切り替える一つの目安と言われています。

損失繰越期間の延長

青色申告の項目でもお話しした通り、個人の場合は3年間のみである損失繰越期間が、法人化している場合9年間まで延長されます。
2018年4月1日以降開始された事業については、その延長期間は最長10年になります。
より長い期間を使って所得から損失を差し引くことができるので、高い節税効果を得ることが可能です。

保険料控除額の増大

個人の場合、保険料の控除限度額は最大12万円。一方法人の場合、一定条件を満たす保険料は全て費用化することが可能です。控除額が増えれば課税所得額が減るため、税額を抑えることができます。

贈与税・相続税の節税

もし個人的に親から子に資産を贈与した場合、贈与税がかかってしまいます。
しかし、法人化したうえで自身の子供を会社役員にし、役員報酬を支払うという形を取った場合、実質的には財産を子供に移転していることになりますが、贈与税はかかりません。税金をかけず、合法的に家族への財産移転が可能になるのです。
また、結果として相続する財産額を減らすことができるため、将来的に相続税の節税にもなります。

その他の節税対策

所得控除はもれなく申告

所得税の節税ポイントは、とにかく課税所得額を減らすことです。所得金額が減ることで、税額を減らすことができます。
そのために、控除することができる項目をしっかり把握し、漏れなく申告することが大切です。
(「不動産投資にはどんな税金がかかる?」記事の「所得から控除されるもの」へのリンク)

経費計上できる費用を把握する

上記の控除と同様、経費計上できる費用は漏れなくしっかりと計上しましょう。まずはどんな項目が経費として認められるのかを把握し、発生した費用の領収書などを保存しておくことが重要です。
(「不動産投資にはどんな税金がかかる?」記事の「「経費」に含まれるもの」へのリンク)

赤字分を損益通算

不動産所得以外に給与所得など他の所得がある場合、両方を合わせて確定申告することが可能です。これを「損益通算」と言います。
不動産経営が赤字だった場合、その損失分を給与などほかの所得からマイナスすることができるので、課税所得額が減り節税となるわけです。
本来会社から天引きされていた所得税は払い過ぎていたことになるので、確定申告後、払い過ぎた税金が還付されます。

減価償却費をコントロールする

減価償却費は、不動産投資にかかわる経費の大部分を占めるものであり、節税を考えるうえでとても重要です。

同じ金額の建物であっても、RC造と木造の建物では、減価償却の仕方が異なります。RC造の場合、年間の減価償却費は減るため節税効果は低いものの、償却期間が長いのが特徴です。
反対に木造の場合、年間の減価償却費が高く節税効果も高いですが、償却期間が短くなります。
その人の事業計画や収支計画として、節税効果を長期的に考えるのか短期的に狙っていくのかによっても、選ぶ構造が変わってくるでしょう。

また中古物件の場合、建物の金額によって減価償却費が異なります。
可能ならば、契約時に売主と交渉し、売買契約書に土地と建物の金額を分けて明記してもらうようにしましょう。
売買契約書に土地と建物の総額しか明記されていない場合、「固定資産税評価額」を使って建物の金額を試算し、減価償却費を算出することになります。
固定資産税評価額を使った計算よりも高い建物金額が契約書に記載されていれば、それをもとに減価償却費を計算することが可能です。より金額の大きい減価償却費が出せれば、所得額が減り、節税することができます。

購入者を工夫する

不動産所得以外の給与などが高く、合計課税所得の高い人が不動産を購入した場合、高い税率が適用されてしまいます。その後の運用中の所得税・住民税などの税額が大きくなり、収益を圧迫する可能性もあるのです。
その場合、自分より収入の少ない配偶者名義で購入するなど工夫することで、節税が可能になります。ただし、収入の少ない人が購入しようとすると、ローン審査などで不利になる可能性がありますので、注意が必要です。

事業的規模になるとさまざまな優遇が受けられる

先述の通り、部屋の数が10室以上もしくは独立した家屋5棟以上という基準を満たして事業的規模となった場合、さまざまな優遇を受けることができます。
・青色申告特別控除が65万に引き上げられる
・家族に給料を支払うことができ、その給与額を必要経費として計上することが可能
・家賃や土地代未収などの貸倒れ分を、回収不能となったその年に経費計上できる
・資産の取り壊しなどによる損失は、全額経費に算入可能
物件を購入する際、10室以上を所有するアパート・マンションを選ぶなど、事業的規模については投資開始前から意識しておく必要があります。

グリーン投資減税

太陽光発電の設備を取りつけた物件に適用される控除や特別償却のことです。法人の場合にのみ適用され、青色申告が必須となっています

絶対に抑えたい節税対策の注意点

ここまで、さまざまな節税ポイントをご紹介してきました。
ここで、不動産投資で節税対策する際の大切な注意点が2つあります。どちらもしっかりおさえておかないと、節税効果を得られないばかりか、不動産投資が失敗に終わりかねない重要なポイントです。しっかりチェックしてください。

【注意すべきポイント1】 節税対策は物件購入前から始まっている

減価償却費の項目でもお話しした通り、どんな物件を選ぶのか、中古か新築か、建物価格はいくらで明記するのかなど、節税対策は実は物件購入前から始まっています。
購入者を誰にするのか、法人化するのかといったポイントも同様です。
また青色申告したい場合、確定申告する事業が始まった年の3月15日までに提出しなければならない書類などもあります。
運用開始後ではどうにもならないポイントも多いので、購入前から節税のための知識を身につけ、最大限活用できるようにしましょう。

【注意すべきポイント2】 節税目的で不動産投資しない

節税目的だけで不動産投資を始める人もいますが、非常に危険です。不動産投資は節税のために行うものではありません。あくまで長期的に利益を生み出す「事業」です。
節税ばかりを考えてむやみに経費を増やしたり、赤字を大きくして税金の還付を狙ったりするのは、単に利益を減らしているだけにすぎず、本末転倒です。
本来の目的である「不動産事業による利益の拡大」を基本としつつ、確定申告の方法や法人化、事業的規模などのポイントを抑えることで、うまく節税効果を活用するようにしましょう。

まとめ

不動産事業にかかわる確定申告や、節税対策、注意すべきポイントについてご説明してきました。
初心者の人にとっては複雑な記帳など難しく感じる部分もありますが、今は確定申告用のソフトなども充実しています。簡単な入力方法で比較的容易に帳簿作成することができますので、ぜひトライしてみましょう。
事業的規模や法人化には程遠い……という人も、節税の基本は経費と控除を漏れなく含めて確定申告することです。また不動産投資上級者の人にとっては、法人化のタイミングも重要となってきます。
それぞれ自分の投資スタンスに合わせてしっかりポイントを抑え、賢く無理なく節税しましょう。

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
不動産投資にまつわる新鮮な情報、トレンドを発信。
LIFULL HOME'S 不動産投資には不動産投資の知識・アイディア・ヒントが盛りだくさん。

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

石川 和寿

シリーズ連載: 不動産会社のプロの意見

最新コラム: 賃貸のプロが教える入居者募集の6つのコツ

藤田 博司

シリーズ連載: 不動産投資家が次に着目している民泊投資とは

最新コラム: 民泊の準備で困ったこと

樗木 裕伸

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資ローンと住宅ローンの違いと5つの金融機関の特徴

逆瀬川 勇造

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資は常に融資との戦い?ローンの基礎知識や流れを解説

風戸 裕樹

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

最新コラム: 第2章 日本の不動産市場と海外投資(3)

金井 規雄

シリーズ連載: アメリカ・ロサンゼルスで不動産投資 7年で1億円

最新コラム: あとがき

橋本 秋人

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

最新コラム: 不動産投資で押さえておきたい土地の公的価格

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中 圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: No.41インドネシア不動産投資のチャンス その2

佐藤 益弘

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 高齢化と不動産投資(2)~「簡易生命表」を見て、人生100年時代を理解する

菅井 敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2018/9/15+16 投資EXPO出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

鈴木 学

シリーズ連載: ヨーロッパの不動産事情

最新コラム: 経済苦境続くギリシャ不動産のいま

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

北野 琴奈

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

最新コラム: 利下げと不動産投資

猪俣 淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: フィッシャー・ハドソン・ウィルソン・モデル

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 米国不動産投資(2) ― サンディエゴ編

寺尾 恵介

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

最新コラム: 27.「決算書思考」で不動産投資が変わる(前編)

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ

情報セキュリティマネジメントシステム国際規格

株式会社LIFULLは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。