LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

不動産投資の繰り上げ返済~メリット・デメリットとシュミレーション

不動産投資では、金融機関から融資を受けて資金を調達することが一般的です。
ローン返済期間中、契約者の希望するタイミングで設定された返済額よりも多い金額を返済することができます。
これを繰り上げ返済と呼びます。繰り上げ返済はローンの返済期間を早めたり、月々の返済額を減額したりすることができ、不動産投資において重要なポイントといえるでしょう。
この記事では、繰り上げ返済のメリット・デメリットや、繰り上げ返済に踏み切る際の注意点を紹介します。
収支のシミュレーションも行っているので、これから不動産投資に取り組もうと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

不動産投資における繰り上げ返済とは

繰り上げ返済は、月々の返済額にプラスしてローンの一部を前倒しで返済していくことです。ローンの残債を素早く減らすことのできる、不動産投資において有効な施策の1つといえるでしょう。

繰り上げ返済は以下の2つのタイプに分けられます。
・返済期間短縮型
・返済額軽減型
返済期間短縮型を選ぶと、月々の返済額は変わらない代わりに、ローンの返済期間を短縮して素早くローンの返済期間を終えることができます。
一方返済額軽減型を選んだ場合、繰り上げ返済後の月々のローン返済額を少なくできるので、毎月の支出を抑えることにつながるのです。

繰り上げ返済を有効に使えば、さまざまな不動産投資のメリットを享受することができます。タイミングやどちらのタイプを適用するかを見計らいつつ、適切に繰り上げ返済を行っていきましょう。

不動産投資で繰り上げ返済を行う5つのメリット

ここからはより細かく繰り上げ返済のメリットを見ていきましょう。
繰り上げ返済を行うことで得られるメリットには、以下のようなものがあります。

・最終的に支払う利息額を減らすことができる
・返済期間を早められる
・毎月のローン返済額を減額できる
・金利変動リスクを低減できる
・資産拡大のスピードを早められる

それぞれ詳しくみていきましょう。

最終的に支払う利息額を減らすことができる

繰り上げ返済をすることでローンの元本部分が小さくなります。金利は元金にかけることで算出されるため、元金が減れば最終的に支払う利息分の金額は減るというわけです。
どのくらいの繰り上げ返済をするのかによっても異なりますが、数十万円~数百万円といった単位で総返済額が変動するケースも珍しくありません。

返済期間を早められる

先ほど紹介した「返済期間短縮型」を選んだ場合、月々の返済額は変わりませんが、ローンのトータル返済期間を短くすることができます。
返済期間が短くなるということは、ローンを完済して不動産を自分の資産にするまでの期間を短縮できるということです。

ローンを完済して自分の資産にしておくと、新たな物件購入のために融資を受ける際、金融機関でその所有物件を担保として利用することができます。
担保として不動産を組み込むことで、これまでよりもさらに高額の融資を受けられる可能性が高まり、高額物件を所有しやすくなるのです。

ただし、「返済期間短縮型」は月々の返済額が減るわけではありません。自己資金に余裕がある場合や、今後も問題なく家賃収入が得られる見通しが立っている場合に、「返済期間短縮型」を選ぶようにしましょう。
返済期間短縮型を選んだにも関わらず空室が続いてしまうと、毎月のローン返済額が自己資金に重くのしかかってくるので注意が必要です。

毎月のローン返済額を減額できる

繰り上げ返済を行い「返済額軽減型」を選んだ場合、月々のローンの返済額を減額することができます。
ローンの返済額が減少すれば、毎月のキャッシュフローに余裕が生まれ、利回りが高くなることが期待できます。ローンの返済は、不動産投資で生じた家賃収入から支払うことが一般的です。つまり、ローン返済額が減少することで支出を減らし、手元に収益を残すことができるというわけです。
残った収益を修繕積立費に回す、家賃の下落リスクに備えて貯めておく、などのリスク対策に活用できるでしょう。

金利変動リスクを低減できる

近年は超低金利時代が続いているため、ローンを組むことが一般的な不動産投資に取り組むには最適な状況といえます。
しかし、金利は景気の影響を強く受けるものです。経済状況の変化によっては、今後金利が上昇していくこともじゅうぶんに考えられます。

変動金利型でローンを組んだ場合、金利が上昇したらその分月々のローン返済額は増大します。収益を圧迫することになり、場合によっては赤字となるケースもあるでしょう。

しかし繰り上げ返済によって、低金利のうちに元金を減らすことができれば、今後金利が上昇したとしてもその影響をできるだけ小さくとどめることができます。
元金が1,000万円残っている場合の金利上昇と、500万残っている場合の金利上昇は、合計返済額への影響が違いますね。

このように金利変動リスクを抑えられる点も、繰り上げ返済を行うメリットといえるでしょう。

資産拡大のスピードを早められる

不動産投資は、1件目の物件を担保に2件目、3件目と次々所有物件を増やし、雪だるま式に資産を拡大していくことのできる投資方法です。複数物件を所有することで、よりリスクを分散し、安定した収益が得られるともいわれています。
つまり所有物件のローンをできるだけ早く完済し、次の物件につなげることが、不動産投資の鍵ともいえるわけです。

入居者が多く集まり、想定よりも高い利回りが得られている場合は、繰り上げ返済に踏み切る適切なタイミングといえるでしょう。
想定以上の利益が上がった場合、プールできる金額が増えます。その分を借入金の返済に回すことで、自己資金を圧迫することなく借入金を減少させられるのです。

これを繰り返していくことで、当初の想定よりも早くローンを完済することが可能になります。そして、ローンを完済した1件目の物件から得られる収益を2件目の物件の繰り上げ返済に充てれば、さらに資産拡大のスピードが上がるでしょう。

不動産投資で繰り上げ返済を行う3つのデメリット

繰り上げ返済にはさまざまなメリットがある反面、デメリットも存在します。
安心して繰り上げ返済に取り組むためには、どのようなデメリットが生じるのか理解しておきましょう。

手数料がかかる

ローン期間中の繰り上げ返済には手数料がかかる場合があります。
一回の繰り上げ返済につき数千円~数万円の手数料を設定している金融機関もあれば、残っている元金に対して数%という設定の仕方をしている金融機関もあります。
都度手数料がかかることを考えると、ある程度の資金が貯まってからまとめて繰り上げ返済した方がよいでしょう。

不測の事態への対応ができなくなる

不動産には経年劣化や天災リスクなど、避けようのないリスクがたくさん存在します。
繰り上げ返済にばかり気を取られて自己資金を減らしすぎてしまうと、突発的な修繕や補修などの不測の事態に対応できなくなるケースがあるため、注意が必要です。

地震や大雨、火災などに対しては、保険に入ったり地盤が安定している物件を選んだりすることで、ある程度のリスクコントロールが可能です。しかし、それでも損失を補填しきれな いケースもあるでしょう。
その際に手元に資金がないと、修繕に回す費用が捻出できなくなってしまいます。
その他にも、突然の設備故障や補修工事など、不動産投資にはさまざまな事態が想定されます。

万が一の事態が起こったときにも対応できるよう、自己資金を圧迫しない程度の金額で繰り上げ返済を行うようにしましょう。

新たな不動産投資に着手するための自己資金がなくなる

先ほど説明した通り、不動産投資は次々所有物件を増やし、雪だるま式に資産を拡大することのできる投資手法です。
もし繰上返済に自己資金を回しすぎた場合、新たな物件を購入するための頭金や初期費用に充てる手持ち資金がなくなってしまうケースが考えられます。
融資を受けるにしても、まだ1軒目の残債が残っている状態では充分な金額の融資は受けられない可能性が高いです。将来的に並行していくつかの物件を保有したいと考えている場合、自己資金に余裕を持たせておかなければなりません。

自己資金と繰り上げ返済のバランスに、じゅうぶん気を付けましょう。

不動産投資で繰り上げ返済を行う場合の注意点

繰り上げ返済のデメリットをうまく緩和するには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。詳しくみていきましょう。

修繕費はあらかじめ積み立てておく

不測の事態に備えて自己資金に余裕を持たせておくことも重要ですが、修繕費をあらかじめ計算して積み立てておくことも大切です。

いざというときに修繕費が足りなくなってしまうと、自己資金を投入しなければなりません。繰り上げ返済を行う余裕もなくなってしまうでしょう。
こうした事態を防ぐためには、物件購入時に修繕費を正しく見積もっておき、毎月の家賃収入から修繕費を積み立てておくのが有効です。

利回りの低い物件には繰り上げ返済しない

利回りが低い物件のローンを繰り上げ返済すると、結果的に自己資本比率が高くなってしまい、せっかくのレバレッジ効果が薄くなってしまいます。

レバレッジ効果とは、「少ない資金で大きな収益を得る」ことです。不動産投資においては、ローンと自己資金を組み合わせることで、実際に用意できる自己資金より高額な物件を購入し、大きな収益を獲得することを意味します。

つまり、利回りの高い物件を少ない自己資金で購入したとき、最もレバレッジ効果は高まるというわけです。
そのため、利回りの低い物件に自己資金を投入するよりも、より利回りの高い物件を次に購入するための頭金として自己資金を投入する方がお勧めでしょう。

繰り上げ返済のキャッシュフローシミュレーション

実際に繰り上げ返済を行ったとき、毎月の返済額やトータルの返済額にどのような効果が生まれるのか見ていきましょう。
以下のような条件を想定して、シミュレーションを進めてみます。

借入金 5,000万円
金利(変動なし) 2%
返済期間 35年
※元利均等返済の場合(元金・利息を含めた月々の支払額が一定になる返済方法)

この条件でシミュレートすると、以下のような結果になりました。

総返済額 6,956万4,969円
支払利息 1,956万4,969円
毎月返済額 16万5,631円

借入額に対し、 2千万円近くの支払利息が発生していることが分かります。

では、もし繰り上げ返済を行った場合、どのような結果になるのでしょうか。
以下に記載したのが、返済から3年が経過した時点で250万円の自己資金を投入して繰り上げ返済を行った場合のシミュレーション結果です。

総返済額 6,867万8,230円
支払利息 1,867万8,230円
毎月返済額 繰り上げ返済前:16万5,631円
繰り上げ返済後:15万6,811円
繰り上げ返済しなかった場合との総返済額の差額 88万6,739円
※返済額軽減型の場合

繰り上げ返済を行う前と後では支払利息の金額が異なるため、繰り上げ返済後は毎月の返済額が減少します。
今回の条件では、繰り上げ返済によって88万6,739円の利息を減少させることができました。

金利変動のタイミングによっても効果は異なりますので、じゅうぶんに検討しながら、慎重に繰り上げ返済のタイミングを見計らいましょう。

繰り上げ返済時の確定申告にも注意しよう

不動産投資の繰り上げ返済について、もう1つ忘れてはならないのが「確定申告」です。
不動産投資によって生まれた利益は「不動産所得」に分類され、所得税の課税対象となります。
会社から支払われる給与は、すでに源泉徴収されているため細かな手続きは不要ですが、不動産所得については自分で税額を計算して支払わなければなりません。

繰り上げ返済をするにあたっては、この確定申告にも注意が必要です。
繰り上げ返済を行った年からは、ローン返済額に含まれる利息額が減少します。ローン返済額のうち、利息部分は経費計上することが可能です。つまり繰り上げ返済することで、経費計上できる額が減ることになります。
よって月々の所得金額が増えることになり、所得税額や住民税額が増える可能性があります。

繰り上げ返済する場合には、この点についても注意しましょう。

確定申告については、ぜひこちらの記事を参考にしてください。

不動産投資の初心者向けに、確定申告の方法が詳しく紹介されています。

繰り上げ返済は、手持ち資金とのバランスが重要

不動産投資における繰り上げ返済について、メリットやデメリット、注意点をご紹介しました。
繰り上げ返済はさまざまなメリットがある反面、そればかりに気を取られていると、デメリットやリスクも生じうる施策です。
常にどれくらいの手持ち資金があればじゅうぶんなのかを検討し、余裕を持った不動産経営を行うようにしましょう。大切なのは、自己資金と繰り上げ返済のバランスです。

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
不動産投資にまつわる新鮮な情報、トレンドを発信。
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