LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

【不動産投資】頭金の目安は?頭金を入れるメリット・デメリット

不動産投資は大きな金額を扱う投資手法なので、金融機関から融資を受けることが一般的です。そこで多くの方が疑問に思うのが「頭金」の問題ではないでしょうか。
「ローンを組むのに頭金は絶対必要なのか?」「頭金の目安はどれくらいなのか?」という疑問に対して、さまざまな意見が飛び交っています。何が本当なのか分からないという方も多いでしょう。
そこでこの記事では、不動産投資における頭金の必要性や、理想的な頭金の目安を紹介します。頭金を投入するメリット・デメリットについても見ていきましょう。

不動産投資において頭金は必要?不要?

2019年3月に、金融庁は「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果」を公表しました。この中に115の銀行、305の信用金庫・信用組合を集計対象とする「物件の購入金額の一部を顧客の自己資金で賄わせているかどうか」というアンケート調査の結果が載っています。
結果は以下の通りでした。

概ね1/3以上の顧客に頭金を求めていると回答したのは、信用金庫・信用組合では67%、銀行においては88%でした。ローンを組むにあたって、これだけ多くの金融機関が頭金を求めていることが分かります。

もちろん、頭金の有無や融資審査の可否については、その人の属性や物件に対する評価によって大きく左右されます。そのため、頭金ゼロで融資を受ける「フルローン」という方法もあり、それでもじゅうぶんな額の融資を受けられるケースもあります。

実際頭金を求めている金融機関は多いため、融資の下りやすさという観点では、頭金は必要といえるでしょう。ただし金融機関の審査基準はさまざまですので、個人の属性・物件の評価次第では、頭金が不要な場合もあると覚えておきましょう。

頭金が必要なケース

では、ローンを組むにあたって頭金が必要となるケースにはどのようなものがあるのでしょうか?

希望の融資金額に届かない場合

購入したい物件が決まったら、金融機関に融資審査を申し込みます。
この時金融機関は、立地・築年数・賃料相場などから物件を評価し、さらに申込者の属性から融資が可能かどうか、さらに融資限度額はいくらかを決定します。

物件もしくは属性の評価が低かった場合、必要とする融資額に満たないケースもあるでしょう。その場合は、足りない金額を頭金として自己資金で賄う必要があります。それが難しい場合は、限度額内で購入できる物件を検討し直さなければなりません。

融資引き締めの時期

金融機関は、その時の市況や政策によって融資を緩和したり引き締めたりすることがあります。
過去、地方銀行の不正融資問題が発覚した後、各金融機関が一斉に投資用不動産への融資を引き締めたことがありました。不動産が供給過多になったり、投資が過熱して不動産価格が高騰したりした場合も、金融機関の判断によって融資が絞られることもあります。
このようなタイミングで物件購入を考える場合、融資を引き出すことは非常に難しくなるでしょう。多くの自己資金を用意し、金融機関からの信頼を高める必要が出てきます。

理想的な頭金の割合は?

では、どのくらいの頭金を用意するのが理想的なのでしょうか?

頭金の目安を画一的に考えるのは難しい

2割程度の頭金を求める金融機関が多いという話もありますが、実際には、具体的に必要な頭金の目安や割合を一概に表すことはできません。なぜなら、先述の通りその時の経済状況や金利、購入したい物件、個人の属性により、融資額や必要な頭金の額は大きく異なるからです。

購入価格に融資額が満たない場合など、どうしても頭金が必要になる場合もあるでしょうし、手持ち資金を残すためにあえて頭金ゼロにするケースもあるでしょう。月々の返済額を減らすために、セオリー通りの頭金を投入したいと思う方もいると思います。
どの方法を取るにしても、それぞれのメリットやデメリットを見ながら、自分に合った方法を取ることがお勧めです。

豊富な自己資金を持っていても、希望の融資額が下り、運用後じゅうぶんな収益が得られるのであれば、頭金はゼロでもいいと考える人もいます。

「頭金の目安は〇割!」と画一的に考えるのではなく、自身の状況や投資スタンスを考慮しながら、柔軟に対応することが大切です。

もし頭金を投入する場合は、まず想定される家賃収入とローン返済額、その他必要経費のシミュレーションを行ってみましょう。もし数ヶ月の空室が発生したとしても、ローン返済を賄える自己資金を手元に残し、残った自己資金を頭金として投入するという考え方もお勧めです。

頭金を投入するメリット

頭金を投入するかどうか、投入するとすればどのくらいの割合で用意するべきなのかを判断するために重要な、頭金投入のメリットを見ていきましょう。

ローン返済額・利息額が減る

頭金を投入すれば、その分融資額を抑えることができます。元金に係る利息額も減少するため、月々のローン返済額が減るのが、頭金を入れる最大のメリットでしょう。
ローン返済額や修繕費・税金などの費用を家賃収入が上回れば、手元に収益が残ることになります。それらを修繕積立費に回したり、繰り上げ返済をしたりすることもできるでしょう。

金利変動リスク対策になる

前述した通り、頭金を投入して融資額が下がれば、それだけ元金が少なくなるということです。金利は元金に対してかけられるため、元金が少なければ少ないほど、今後金利が上昇した場合の影響をより少なくすることができます。

今の日本は超低金利時代といわれ、不動産購入のためのローンを組むのに非常に有利な状況です。しかし、今後の政策の変化や経済動向によって、金利が上昇する可能性はじゅうぶんにあり得ます。融資額を抑えておくことは、不動産投資の重要なリスク対策の1つです。

ローン審査に通りやすくなる

先述の通り、金融機関の多くは顧客に頭金の用意を求めています。頭金を必須とする金融機関が15~17%あるというのも事実です。
頭金があれば、これだけの自己資金があるという証明にもなり、金融機関からの信用が上がるといえるでしょう。

ただし、これはどの投資家にも一律で言えることではありません。住宅ローンと違い、審査には個人の属性に加え、物件に対する評価も含まれます。融資審査にはさまざまな要素が複合的に絡んでくるため、頭金を入れたから必ずしも希望の融資額が下りるわけではないことを覚えておきましょう。

頭金を投入するデメリット

一方、頭金を投入することによって生じるデメリットもあります。
頭金を投入しても、これらのデメリットを解消する対応策が取れているかどうか、デメリット以上のメリットがあるか、しっかり判断しましょう。

多くの自己資金を用意しなければならない

仮に物件価格の2割の頭金を用意しようとすると、3000万円の物件であれば600万円必要となります。
目標とする頭金の金額になるまで、こつこつとお金を貯め続けなければなりません。

不動産投資の開始時期が遅れる

不動産投資は、1つ目の物件を担保に2件目、3件目と次々事業を拡大していくことで、雪だるま式に資産を拡大することのできる投資方法です。複数物件を所有することでリスク分散になり、収益の安定性が上がります。

こうした特性から、不動産投資を始めるのは早ければ早いほどいいと言われています。長期ローンを組むにあたっても、年金代わりとして老後までにローンを完済するという意味でも、できるだけ早く取り組んだ方が有利だといえるでしょう。
しかし、自己資金が貯まるまで待っていた場合、不動産投資に着手するタイミングはどんどん遅くなってしまいます。

頭金を投入するメリットと、頭金が少額もしくはゼロの状態でもとにかく素早く不動産投資に取り掛かるメリットと、どちらが効果的かを判断することが必要です。

他のリスクに対応する資金的余裕がなくなる

頭金を投入すると、一時的にでも自己資金が減少します。頭金を入れてもじゅうぶんな自己資金が手元にある場合はいいですが、そうでない場合は注意が必要です。

不動産は現物資産であるため、災害による損失や突発的な補修・修繕など、何が起こるか分かりません。その他、想定外に空室が続くことで、収益が減るリスクも考えられます。
常にそれらのリスクに対応できるだけの資金的余裕を持っておくことは、不動産投資の肝といってもよいでしょう。

自己資金のほとんどを頭金につぎ込んでしまい、いざという時に対応できなくなることがないよう、じゅうぶん気を付けなければなりません。

レバレッジ効果が弱まる

レバレッジ効果とは、少ない資金で大きな収益を得ることをいいます。不動産投資においては、自己資金と融資金を組み合わせることで、本来持っている自己資金のみで物件を購入したときよりも大きな収益を得ることを指します。
つまり自己資金額の割合が多ければ多いほど、このレバレッジ効果が弱まってしまうわけです。
また頭金の額が大きければ大きいほど、自己資金の回収スピードも下がってしまいます。自己資金の回収率については、次の見出しで詳しくご説明しましょう。

頭金ありとフルローンの違いをシミュレーションしてみよう

頭金を用意して不動産を購入した場合と、借入のみで不動産を購入した場合では、利益率に違いが生まれます。全て自己資金というケースを含め、実際に以下の条件を例にシミュレーションしてみましょう。

【物件価格】1,000万円
【年間の賃料収入】100万円
【ローン金利】5%
※便宜上、利息額のみ費用として計算

物件価格全てを自己資本で賄った場合、自己資金に対する利回りは10%になります。つまり、10年で自己資金を回収するという計算です。

次に、物件価格の2割(200万円)を頭金として投入し、残りの800万円を借入れた場合を見てみましょう。全て自己資本の場合に比べて物件に対する利回りは落ちますが、自己資本に対する利回りは30%に上昇しています。
これは、3年強で自己資金を回収できるということを意味します。毎月支払うローンの金利を差し引いても、自己資金の回収速度に差があることは一目瞭然です。

また頭金なしの場合、シミュレーションした3つのケースの中で最も物件に対する利回りは低くなりますが、その分自己資本を回収する必要がありません。

このことから、素早く不動産投資の規模を拡大していきたい方は、物件を購入する際に自己資金の比率を低くし、借入金を増やす投資手法がよいでしょう。
頭金を増やして自己資金の回収を待つよりは、手元に資金を残しておき、次の物件購入時の費用に充てる方が効果的だからです。

ただし頭金の金額が少なければ少ないほど、物件に対する利回りの低下やローン返済額の増大、金利上昇のリスクなどが生じることも忘れてはいけません。
リスクとリターンのバランスを考えながら、頭金の金額を見積もるようにしましょう。

不動産の取得には頭金以外にも初期費用が必要

ここまで不動産投資における頭金についてご説明してきましたが、物件購入時に必要な自己資金は頭金だけではありません。
不動産会社への仲介手数料や、不動産取得税などの税金、司法書士への手数料などさまざまな初期費用がかかります。
まずは手持ちの資金からこれらの初期費用に必要な額を確保し、残りの自己資金をどう頭金に回すのか、検討しなければなりません。

頭金以外の自己資金投入方法

不動産投資では、頭金以外にも自己資金を投資できるタイミングがあります。
ここからは、運用途中から自己資本を投入する方法や適切なタイミングについて紹介します。

繰り上げ返済

頭金は不動産の購入時に自己資金を投入する方法ですが、運用途中に自己資金を投入する方法として主流なのは、繰り上げ返済です。

繰り上げ返済とは、契約者の希望するタイミングで、毎月の決まったローン返済額に上乗せして、借入金を前倒しで返済することをいいます。素早く元金を減らすことで、今後の金利変動リスクに備えたり、毎月の返済額を減少させたりするメリットがあります。

月々の返済額はそのままで、返済期間を減少させる方法を選ぶこともできます。この方法を取れば、ローンを完済し次の物件取得までの期間を短縮させることで、資産拡大を早めることが可能です。

自己資金投入のタイミングを見極める

自己資金を投入する場合は「いつ投入するのか」というタイミングが重要になります。

例えば所有する物件の利回りが低い場合、そのタイミングで自己資金を投入することはあまりお勧めできません。なぜなら、もともと利回りが低い物件に自己資本を投入してしまうと、自己資金回収に余計に時間がかかってしまうからです。さらなる資産拡大を狙っている場合、次の物件への着手に時間がかかってしまうでしょう。

このように、自己資金の投入タイミングを見極めるには、保有している物件の利回りや次の借り入れまで見越して計画を立てることが重要です。
家賃収入の安定性が見込めて、収益率もよく、突発的な修繕や空室への対応がじゅうぶんにできるだけの資金的余裕があるときが、繰り上げ返済として自己資金を投入する適切なタイミングといえるでしょう。

綿密な返済シミュレーションが不動産投資を成功させるコツ

不動産投資はさまざまな要素が絡み合って、成功や失敗の原因になります。そのうちの1つが、物件の購入時に用意する頭金の金額です。
頭金は、運用中の利回りやローンの返済額にも大きな影響を与えます。一般的に言われる「物件価格の〇〇%」といったような画一的な基準で判断するのは、お勧めではありません。想定家賃や空室リスク、金利上昇リスクなどあらゆる要素を含めた綿密なシミュレーションを行い、頭金の金額を見積もるようにしましょう。

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
不動産投資にまつわる新鮮な情報、トレンドを発信。
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