LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

不動産投資は税金対策として有効!経費の仕組みと節税シミュレーション

税金対策として人気の高い不動産投資ですが、なぜ節税効果が高いのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、これから不動産投資に取り組む方に知っておいていただきたい「経費」の種類や節税効果の仕組みについて解説します。実際にどれだけの税金対策が行えるのか、具体的な金額を使ったシミュレーションも行ってみましょう。

なぜ不動産投資は税金対策として有効なのか

「不動産投資は税金対策になる」といわれますが、その理由は「経費」にあります。
そもそも経費とは、「売上を作るためにかかった費用」のことを指した言葉です。個人事業主や法人の設立に携わった方には、なじみがあるのではないでしょうか。

簡単な式で表すと、

売上-費用=利益
利益×税率=支払税額

となります。この費用の中に経費が存在する、というイメージです。
算入できる経費が多ければ多いほど利益が目減りするため、住民税や所得税が安くなります。

不動産投資は、この「経費」に算入できる費用の種類が多いのが特徴です。
他の投資方法に比べて経費の額が大きくなるため、不動産投資は節税効果が高いといわれています。

税金対策となる経費の仕組み

経費をしっかりと理解し、上手く利用することができれば、税金を安く抑えられます。
不動産投資において経費に算入される代表的な項目は、以下の通りです。

・租税公課
・損害保険料
・減価償却費
・修繕費
・借入金利息
・管理費
・広告宣伝費
・交通費
・通信費
・新聞図書費
・接待交際費
・消耗品費
・税理士費用
・管理会社への委託手数料

これらの中でも比較的節税効果の高いものを4つピックアップして紹介します。

租税公課

不動産投資にはさまざまな税金がかかります。租税公課として経費に組み込める代表的なものは以下の4つです。

・土地・建物に対する固定資産税や都市計画税
・物件を取得した際の登録免許税や不動産取得税
・賃貸の収益に課される事業税(事業的規模の場合)
・印紙税

これらの税金が発生したタイミングで経費に計上し、確定申告することで経費として収益から差し引くことができます。

減価償却費

不動産には「減価償却」という仕組みが存在します。
実際に支払った費用でなくとも経費として算入できるもので、不動産投資が税金対策になる大きな理由の1つです。

「減価償却」とは、使うほどに摩耗し価値がすり減っていく建物や車両などの固定資産に適用される勘定科目です。これらの購入費用は、購入した年に一括で経費計上するのではなく、耐用期間にわたって分割して経費にするべきだと考えられています。
しかし、いくら価値が減少したのかを明確に査定することは困難なので、毎年一定の価値を差し引くことで目に見えない減耗度合いを測っているのです。
このような考え方から算出されるのが「減価償却費」です。

減価償却費の計算法は「定額法」と「定率法」の2種類ですが、2007年4月1日以降に取得した建物には「定額法」のみが適用されます。
定額法で減価償却費を算出するには、以下の公式を用います。

毎期の減価償却費=取得価額×定額法の償却率

償却率とは、建物の耐用年数に応じてあらかじめ定められているもので、下記にて確認することができます。
国税庁:個人の減価償却制度の改正について

建物の取得価格5,000万円、耐用年数10年の建物の場合、
減価償却費=5,000万円×0.100=500万円

となり、耐用年数が終了するまで毎年500万円を経費として計上することができることになります。

減価償却について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。
【不動産投資】知らなきゃ損!減価償却の仕組みや計算法を紹介します

借入金利息

投資用物件を購入する際、金融機関から融資を受けた場合は毎月ローンを返済しなければなりません。ローンの返済額には金利分を上乗せして支払う必要がありますが、この利息分を経費に算入することができます。

注意しなければならないのは、ローンの返済額が全て経費に入るわけではない、ということです。借入金の元金や、賃貸業務開始前の利息については経費に算入できませんので注意しましょう。

修繕費

所有する不動産の修繕費用は、経費に算入することができます。
経費に算入できる条件としては、

・維持管理にかかる費用
・原状回復費用(修理のための費用)

などが挙げられます。

設備の拡充や、使用可能期間を延長させるための修繕費は経費に算入できないので注意しましょう。これらの費用は一括で経費計上するのではなく、減価償却により各年で費用に算入します。

不動産投資を税金対策として活用するメリット

不動産投資には節税効果が得られるさまざまな経費があるということが分かりました。
次に、節税効果を狙うメリットについて見ていきましょう。

不動産投資で節税に取り組むと、以下のメリットが得られます。

・税金が安くなり、手取りの収益が増える
・実際に支払っていない費用も経費として計上できる
「損益通算」を利用できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

税金が安くなり、手取りの収益が増える

不動産投資において多くの経費を計上すると、課税所得金額が減少して支払う税金が安くなります。利益を目減りさせることで、手元に残る収益が多くなるのが大きなメリットといえるでしょう。

先程も紹介したように、不動産投資ではさまざまな費用を経費として扱えるのが特徴です。これは不動産所得に設けられている「経費」の科目が多いことに由来します。

株式やFXなどその他の投資手法においては、経費として計上できるものはあまりなく、金額としてもさほど大きくならないケースが多いです。
一方不動産投資には認められる経費が多く、また金額も大きくなりやすいため、課税所得額が減少します。その減少した所得額に対して税率がかけられるため、所得税や住民税を抑えることができるという仕組みです。

不動産投資は、数ある投資の中でも、節税効果が高い投資手法といえるでしょう。

実際に支払っていない費用も経費として計上できる

不動産投資で計上できる経費の中でも特に特徴的なのが「減価償却費」です。
通常、経費とは「利益を生み出すためにかかった費用」を指し、「支出」していることが前提になります。
しかし先程も紹介した通り、減価償却は「目に見えない建物の減耗」を帳簿上で管理するための勘定科目なので、実際に支出していないながらも経費として扱えるのです。
しかも減価償却費は経費の中でも大きな割合を占めます。
実際に支出していなくとも経費として扱える金額が大きいというのは、不動産投資で節税に取り組む際の大きなメリットといえるでしょう。

「損益通算」を利用できる

不動産投資では「損益通算」と呼ばれる仕組みが利用できます。
「損益通算」とは、不動産所得と給与所得を合算することをいいます。つまり不動産経営によって赤字の決算が出た場合、生じた損失分を給与所得から差し引くことができるのです。課税所得額を抑えることで税額が減り、節税効果を高められるというわけです。

これは副業として不動産投資に取り組む場合に活用できるもので、サラリーマン大家さんの方に有効といえるでしょう。

不動産投資を税金対策として活用するデメリット

ここまで、不動産投資には大きな節税効果があることを説明してきました。
しかし、税金対策として不動産投資を行う場合には、デメリットが生じるケースもあります。どのようなデメリットがあるのか把握し、対策を講じることが重要です。

デッドクロス

不動産投資で節税を意識しすぎると、「デッドクロス」というデメリットが生じます。

デッドクロスとは、
・減価償却費-現金支出の無い帳簿上の経費
・ローンの元本-実際の現金支出であるにも関わらず経費計上ができない費用
これら2つの金額が逆転し、帳簿上は利益が出ているにもかかわらず、現実の不動産所得が減少してしまうことを指した言葉です。

減価償却費は、耐用年数を過ぎればいずれなくなってしまうものです。また経費に算入できるローン金利は、元金が減れば徐々に減少していきます。
このように経費計上できる金額が減ってしまうことで、帳簿上の利益額は上昇します。帳簿上利益が出ていれば、その金額に対して所得税や住民税が課税されるため、支出が増大し収益を圧迫する可能性が出てきます。
ローンの元金部分は現金支出であっても経費計上できないため、帳簿上黒字であるのに、手持ち資金からの出費ばかりが増え、最悪黒字倒産というケースも考えられるのです。

デッドクロスを防ぐためには、以下のような方法があります。

・物件を購入する際に自己資金を用意してローンの返済額を減らす
・繰り上げ返済を通してローンの返済額や返済期間を減らす
・減価償却費を増やすために新たな物件を購入する

物件を購入する前から、上記のような対策を含めた綿密な返済シミュレーションを立て、デッドクロスを防ぐ意識を持つようにしましょう。

節税にばかり気を取られて本来の目的から外れてしまう

節税効果ばかりを追求して不動産投資を始める方もいらっしゃいますが、それは非常に危険です。
もちろんたくさんの費用を使い込んで経費計上すれば、不動産所得が赤字となり、給与所得で支払った分の税金が還付されるなど税金対策になるかもしれません。しかし一時的に手元に資金が戻ってくる計算になったとしても、デッドクロスのようなデメリットもあり、節税効果は長くは続きません。

不動産投資の本来の目的は、長期的・安定的に家賃収入を得て「収益を上げること」です。収益を上げるという本来の目的を追求した上で、税金対策はあくまで不動産投資の副産物のようなものと捉える意識が必要でしょう。

不動産投資の節税効果をシミュレーションしてみる

実際に投資用マンションをフルローンで購入・運用した場合のシミュレーションをしてみましょう。
※シミュレーションを分かりやすくするため、便宜的に経費は減価償却費とローン金利のみで計算しています。

【条件】
物件価格:5,000万円(土地:3,000万円、建物:2,000万円)
利回り:5%
年間想定家賃収入:250万円(物件価格5,000万円×利回り5%)
耐用年数:10年
ローン金利:2%

【経費】
減価償却費:200万円(建物価格2,000万円×耐用年数10年の償却率0.100)
年間利息額:100万円(物件価格5,000万円×金利2%)

【所得額】
不動産年間所得:-50万円
(想定家賃収入250万円-減価償却費200万円-利息額100万円)
給与所得:700万円と仮定

不動産所得のみの場合

不動産投資による収益のみだった場合、年間所得額は-50万円ということになります。所得額がマイナスですので、所得税や住民税は課税されません。
帳簿上はこのように50万円分の損失が生じていますが、実際に50万円の赤字が出たわけではありません。
減価償却費は実際に支払った支出ではないにもかかわらず、経費として大きな金額となるため、高い節税効果を発揮しているのが理解できるのではないでしょうか。

こうした仕組みが「不動産投資は節税効果が高い」といわれる理由でしょう。

給与所得のみの場合

給与所得のみだった場合の所得税額を計算してみましょう。
所得税は、所得金額によって以下の通り税率が定められています。

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%9万7,500円
330万円を超え 695万円以下20%42万7,500円
695万円超え 900万円以下23%63万6,000円
900万円超え 1,800万円以下33%153万6,000円
1,800万円超え 4,000万円以下40%279万6,000円
4,000万円超45%479万6,000円

給与所得700万円の場合、税率は23%ですので、

所得税=700万円×23%-63万6,000円(控除額)=97万4,000円

という計算になります。

給与所得+不動産所得の場合

先述の通り、不動産所得の他に本業の給与所得がある場合は、両方の所得や損失を合算する「損益通算」という仕組みを利用することができます。

合計所得額=給与所得700万円-不動産所得の損失50万円=650万円

このように、給与所得から不動産投資で出た赤字50万円の損失を差し引くことが可能です。所得税は、所得額が減ったため、税率が20%に下がりました。

所得税=650万円×20%-42万7,500円=87万2,500円

先ほどシミュレーションした通り、不動産投資を行っていない場合の所得税は97万4,000円でした。
つまり、不動産投資に取り組むことで10万1,500円の節税効果を生みだしたということになります。

実際の経費には、減価償却費・利息額の他に、固定資産税や都市計画税、修繕費や管理費なども算入できるため、さらに赤字額は大きくなるでしょう。
赤字部分が大きくなりさらに課税所得額が減れば、より節税効果が高まる可能性があります。

副業として不動産投資をすれば税金対策になる不動産投資がの手法として人気が高い理由には節税効果のさが節税のポイントとなる経費を理解し、漏れなく申告することでただし、税金対策にばかり意識を向けているとデメリットが生じるケースもあります。リスク対策も忘れずに、ぜひ不動産投資への第一歩を踏み出してみてください。

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
不動産投資にまつわる新鮮な情報、トレンドを発信。
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