LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

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不動産投資ローンと住宅ローンの違いは? 融資を受けるならどちらが先?

不動産投資ローンと住宅ローン、どちらも不動産を購入する場合に使用するローンですが、それぞれ仕組みや内容に違いがあることをご存知でしょうか?

2019年8月、住宅ローンである「フラット35」で、105件の融資が投資用物件向けに不正利用されていたという調査結果が発表されました。つまり原則として、住宅ローンを不動産投資に利用することは認められていません。
このように、ローンの仕組み・ルールを理解せずに不動産投資を始めることは、不正行為を犯す可能性もあり、非常に危険です。

そこでこの記事では、知っておかなければいけない不動産投資ローンの仕組みや住宅ローンとの違いについて解説します。
両方の融資を受ける予定がある場合、どちらを先に受けるとよいかについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

不動産投資ローンと住宅ローンの違い

住宅ローンは、本人またはその親族が住む建物や土地を購入するためにお金を借りるローンのことを指します。
一方不動産投資ローンは、第三者に貸し出すことで収益を得る投資用物件を購入するために組む事業用ローンのことです。

それぞれ具体的にどのような違いがあるのか、見ていきましょう。

金利

不動産投資ローンと住宅ローンの大きな違いは「金利」です。

自宅購入のための資金補助として機能する住宅ローンは、その性質上、金利面で金融機関からかなりの優遇を受けています。なぜかというと、住宅は生活に欠かせないものだからです。
資産が少ない人、給与が高くない人でもローンを組んで住宅が買えるよう、その他のローンよりも低い金利が設定されているのです。
住宅ローン控除など、税制面で優遇されているのも、融資対象が「住宅」であるからに他なりません。

一方、不動産投資ローンは事業用ローンです。金融機関は、その事業がうまくいかないケースや、破綻によって返済不能となるリスクを懸念し、金利を高く設定する必要があります。
このように、リスクに対して上乗せされる金利を「リスクプレミアム」といいます。

返済原資

不動産投資ローンと住宅ローンの違いとしては、先ほど挙げた物件の購入目的以外にも、返済をしていくための原資が違うという点が挙げられます。

住宅ローンの場合、ローン返済の原資は、サラリーマンであれば毎月の給料やボーナスが当てられます。つまり、個人の収入が返済原資となるわけです。
一方不動産投資ローンでは、主に購入した投資物件から得られる家賃収入が、ローン返済の原資となります。

金融機関は、個人の給与に比べて、賃貸経営による家賃収入は安定性に欠けると判断する傾向にあります。空室や家賃下落によって、収益が減少する可能性があるからです。
住宅ローンよりも不動産投資ローンの方が高い金利が設定される理由には、この返済原資の違いも関わっているといえるでしょう。

融資審査の基準

前述した返済原資の違いは、ローンの融資審査の条件や基準にも大きく影響します。

住宅ローンの審査では、勤務先・勤続年数・年収・家族構成・今までの債務の履歴や返済情報・自己資金など、融資申込者の「属性」と呼ばれるものが融資審査の項目になります。また、連帯保証人がいる場合には、その人も審査の対象です。

一方不動産投資ローンでは、上記で挙げた個人の属性に加え、すでに持っている投資物件、もしくは融資を受けてこれから購入する予定である物件の収益性も重視されます。先述の通り、不動産投資ローンの返済原資が、投資物件から得られる家賃収入だからです。

家賃収入は、空室や物件の改修費用、予期せぬトラブルなどによりなかなか収益が安定しないと判断されます。そのため不動産投資ローンは住宅ローンに比べて、金利の高さだけでなく、融資を受けられるかどうかの審査基準もより厳しくなるのです。

ただし、融資審査の条件や基準は、金融機関によって異なります。購入したい物件が決まったら、メガバンク・地方銀行・信用金庫と、複数の金融機関に足を運ぶとよいでしょう。

契約者の年齢制限

住宅ローンの場合、ローン契約者には年齢制限が設けられていることが多いです。
フラット35では70歳未満、みずほ銀行では満71歳未満など、多くの金融機関において70歳程度で申し込み年齢の上限が設定されています。これはローンの返済原資が、給与など個人の収入であるため、退職の年齢を考慮して定められていると考えられます。
また、80歳前後で完済することを条件として、融資期間を設定する金融機関が多いです。

一方不動産投資ローンの場合、多くの金融機関で申込時の年齢に上限を設けていません。一部、完済時の年齢を80歳程度に設定している金融機関もあります。しかし、これまでの不動産経営の実績や物件の担保評価など、条件によっては70歳を超えていてもローンを組むことが可能というわけです。
ローンの返済原資が、投資物件から得られる家賃収入であるからこその特徴といえるでしょう。

不動産投資に住宅ローンは組める?

結論から言うと、原則として投資用物件に住宅ローンを組むことはできません。

誰でも、なるべく低い金利で融資を受け、不動産投資を安全に運用していきたいものです。当然、住宅ローンの低金利は魅力的でしょう。
しかし住宅ローンは、本人もしくは親族が住む家を購入するために用意された、金融機関が優遇している特別な融資システムです。不動産投資のように、事業として融資を受ける場合は、利用することができないルールになっています。

冒頭でご紹介した「フラット35」の不正利用がその例です。投資用物件であることを隠して住宅ローンを申し込むのは、虚偽申告にあたります。

なぜ不動産投資に住宅ローンは組めないのか?

先述の通り、不動産投資ローンは住宅ローンよりも高い金利が設定されています。それは、事業のための融資という性質上、金融機関としてはリスクを加味する必要があるからです。
金利が低いからといって不動産投資に住宅ローンを不正利用してしまうと、金融機関はいざという時のリスクに対応することができません。
そのため、不動産投資に住宅ローンを利用してはいけないのです。

不動産投資に住宅ローンを不正利用したらどうなる……?

もし投資用物件を住宅ローンで購入し、後からその事実が発覚した場合、金融機関からは有無を言わさず融資の一括返済を求められてしまいます。虚偽申告となるため、融資契約は無効となるからです。

多額の残債をすぐに全額揃えて返済しなくてはならないため、持ち家や投資用物件を売却する必要が出てくるかもしれません。それでも残債がある場合、手持ち資金を切り崩したり、親兄弟、親戚、友達にまで借金のお願いをしたりするなど、なんとか資金をかき集める必要があります。最悪の場合、自己破産という可能性もあるでしょう。

また、住宅ローンが適用されないと知っていて融資を受けた場合、悪質だと判断され、詐欺罪として刑事告訴されるケースもあります。
不動産投資で住宅ローンを利用するのは、絶対NGと覚えておきましょう。

住宅ローンで収益物件を購入する方法

「原則として投資用物件に住宅ローンを利用することはできない」とご説明してきましたが、実は収益物件の購入に住宅ローンの利用が認められているケースがあります。

それは、建物の中に本人が住むスペースと、賃貸用のスペースが共存している賃貸併用住宅を購入する場合です。ただし、本人居住用の床面積が全体の50%以上を占めている建物にのみ、住宅ローンが適用されます。

収益を上げるためのスペースが限られてしまうため、不動産投資でしっかり儲けたいと考えている人には向いていない方法かもしれません。

しかし「金利の低い住宅ローンを利用し、少しでも収益を得てローンの足しにできれば」と考えている人には、うってつけのプランでしょう。

住宅ローンと不動産投資ローン、融資を受けるならどちらが先?

もし将来的に、不動産投資用物件と自宅の両方を購入する予定がある場合、住宅ローンと不動産投資ローン、どちらから先に融資を受けた方がいいのでしょうか。
どちらも融資額が大きくなるので、順番はとても大事です。

基本的には、不動産投資ローン→住宅ローンの順番がお勧めです。なぜ不動産投資が先なのか、その理由を解説しましょう。

住宅ローンより先に不動産投資ローンを受けた方がいい理由

先述の通り、住宅ローンよりも不動産投資ローンの方が融資審査のハードルが高い傾向にあります。住宅ローンの残債が残っていると、その分不動産投資ローンの融資額が減ったり、融資審査にマイナスになったりする可能性が考えられます。

金融機関から大きい借り入れをしていないのであれば、まずは不動産投資ローンを組み、物件購入、不動産運用をした方がよいでしょう。賃貸経営によって得られた収益は、給与などの収入と合算して考慮してもらえるケースが多く、住宅ローンの融資限度額や融資審査に有利に働く可能性があります。

これらの理由から、両方のローンを利用する予定がある場合、住宅ローンより不動産投資ローンを先に組んだ方が、メリットが多いといえるでしょう。

住宅ローンより先に不動産投資ローンを受ける時の注意点

基本的には、住宅ローンを組む前に不動産投資ローンを組んで投資物件を購入する方が、多くのメリットがあります。しかし、気をつけなければいけない点もあります。
それは、購入した投資物件がうまく収益を上げられず、苦戦してしまっている場合です。不動産投資物件が、自宅購入の足かせになってしまう可能性があります。

例えば年収800万円のサラリーマンの場合、不動産経営が年間100万円の赤字だとすると、その人の年間収入は700万円と判断される可能性があるでしょう。
本来の年収で組めるはずだった住宅ローンより、融資額が下がってしまうリスクが考えられます。

将来的に住宅ローンを組む可能性がある場合、不動産経営でプラスの収益を上げられるのか、しっかり見極めることが重要になるでしょう。

まとめ

原則として、投資用物件に住宅ローンの使用は認められていません。
床面積の2分の1以上を自己の居住用とする場合や、転勤などやむを得ない理由により自宅を賃貸として貸し出す場合など、一部住宅ローンの利用が許可されているケースもあります。
しかし、いずれのケースにおいても自己判断は危険です。「大丈夫だろう」という勝手な判断が、後に不正利用と見なされてしまうこともあり得ます。
必ず事前に金融機関に確認し、許可を得るようにしましょう。

金融知識以外でも、リスクを軽減するために重要なのは、正しい知識があるかどうかです。基礎知識や先人の手法、最新の情報など、しっかりと知識を深めるために下記も合わせてご活用ください。

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【このコラムの著者】

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