LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

不動産投資への銀行融資が厳しい今、フルローンは可能なのか?

頭金を入れずに物件取得費用全額の銀行融資を受けられるフルローン。自己資金が少ない場合や、手元に資金を残しておきたい場合に有効な資金計画の一つで、フルローンで不動産投資を始めたいと思う人も多いのではないでしょうか。

しかし2018年頃から、銀行の不動産投資への融資審査が厳しくなったといわれています。ましてフルローンで銀行融資を受けることは、非常にハードルが高いと感じている投資家も多いでしょう。

果たして、現状不動産投資に対して銀行がフルローンで融資してくれる可能性はあるのでしょうか?また、フルローンを組める可能性の高い不動産投資とは、どのようなケースなのでしょうか?
フルローンを受けるために行っておきたい準備や、仮に銀行からフルローン融資が受けられた場合の注意点についても解説していきましょう。

銀行からフルローンで不動産融資を受けられる可能性はあるのか?

自己資金なしで不動産投資の物件を購入することができるフルローン。特に今後も不動産投資を拡大していきたいと考えている人にとっては、手元に現金を残すことができる魅力的な資金計画でしょう。

しかし、現状銀行がフルローンで不動産融資を実行してくれる可能性はあるのでしょうか?
まずは、金融機関の不動産融資に対する姿勢が厳しくなった理由を見ていきましょう。さらに、銀行がどのような融資条件を提示しているのか、具体的に解説します。

金融庁の引き締め強化

銀行などの金融機関が、不動産融資に対して厳格化する姿勢を見せ始めたのには、金融庁からの引き締め強化という背景があります。

2015年に起きた相続税の税制改正による不動産投資への過熱、そして2018年以降相次いだ不動産投資に対する不正融資がその原因です。
これらの状況を危惧した金融庁は、各金融機関への監視の目を強化し、銀行は金融庁の指導に乗っ取った厳しい融資審査を実行するようになりました。

従来よりも物件評価や事業計画の審査、求める自己資金額などが厳格化され、それに伴ってフルローンで融資を組むことができるケースが減少したと見られています。

近年の不動産投資に対する銀行の融資姿勢については、こちらの記事に詳しく解説されています。ぜひ、併せて読んでみましょう。
融資が厳しい不動産投資に今から参入するべきか?金融機関と上手に付き合う7つのポイント

銀行の不動産融資上限額

実際に銀行が提供するアパートローンの条件として「融資上限額は物件価格の70~90%以内」とされているものも少なくありません。こうした銀行においては、自己資金の投入がなければローンを組むことは難しいでしょう。
「共同担保があればフルローンの対応が可能なケースもある」と明記している金融機関もあります。融資を受けたいと考えている金融機関の条件を事前によく確認しておきましょう。

銀行が不動産投資家に求める自己資金

2019年3月に金融庁が公表した「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果」の中から「物件の購入金額の一部を顧客の自己資金で賄わせているかどうかの分布」を見てみましょう。

出典:金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果」(2019年3月)

概ね3分の1以上の案件で行っていると回答した銀行はトータルで88%、信金・信組で67%でした。つまり、大半の案件において自己資金が求められていることが分かります。

一方で、少数ながら「自己資金の要求を一切行っていない」という銀行や信金・信組も存在しています。各金融機関の不動産投資への融資スタンスが厳しくなった今でも、フルローンでの不動産融資を行っている金融機関は存在するということです。

銀行の融資姿勢には少しずつ緩和の傾向も

金融庁の引き締め強化に加え、2020年3月頃からは新型コロナウィルスによる影響も見られ始めました。
感染拡大防止のために銀行が一時的に営業活動を自粛したり、事業が立ち行かなくなった企業への融資支援を最優先とすることで不動産融資に手が回らなくなったりするなど、全体的に銀行の不動産融資に対する自粛ムードがあったわけです。

しかし現在は、こうした融資姿勢も徐々に緩和されつつあるようです。
不動産融資は、銀行にとっても利益を生み出す大切な商品です。やむくもに融資を引き締めているわけではなく、適切な事業、適切なタイミングであれば、融資を引き出すことは不可能ではありません。
どうしてもフルローンで融資を組みたい場合、粘り強く複数の金融機関に相談してみるとよいでしょう。

コロナウィルスが不動産投資に与える影響については、
コロナ禍でアパートローンの融資状況はどう変わったのか?
コロナが与える不動産投資への影響~オンライン化の流れと補助金制度~
こちらの記事に詳しく解説されています。ぜひ参考にしてください。

不動産投資においてフルローンで銀行融資を受けることが可能なケース

金融庁の引き締めが続く中、銀行へのアンケート調査結果を見ても分かる通り、フルローンで不動産融資を受けることは決して簡単ではありません。
しかし、少しでもフルローンを組んで不動産投資を始められる可能性を高めるために、心がけておきたいポイントがあります。ぜひ押さえておきましょう。

既存の借り入れ金額が少ない

すでに利用している不動産投資の残債額が大きいと、よりフルローンを組むことは難しくなります。フルローンを希望するのであれば、既存の借り入れは極力少ないか、できればゼロにしておくとよいでしょう。

不動産投資以外のカードローンやキャッシングなどの借り入れも、融資審査にはマイナスに作用します。こうした借り入れ額はできるだけゼロにしておきましょう。利用限度額を下げる、必要のないクレジットカードは解約するなどの対策をしておくと、より銀行からの印象がよくなることが期待できます。

新築物件やワンルームマンションを対象とする

投資用物件の中でも、新築物件やワンルームマンションの方が、融資審査が下りやすい傾向にあります。
マンションはRCやSRC構造なので、法定耐用年数が47年と長めに設定されています。耐久性が高い、設備が充実しているところが多いため入居者が集まりやすいなどの理由から、銀行からの物件評価が高くなりやすいでしょう。
新築物件も同様に、残存耐用年数が長く、人気が高いため空室リスクが低いことから、賃貸経営の安定性が高く評価されます。

一方、木造アパートや一棟投資の場合、比較的融資審査は厳しくなる傾向が強いです。
アパートの法定耐用年数は22年。融資期間が短くなるため、マンションに比べるとフルローンを受けられる可能性は低くなるでしょう。
また一棟投資は融資額が高額になるケースが多く、こちらもフルローンで銀行融資を受けるにはハードルが高いといえます。

属性が高い

年収が高い、公務員や上場企業など倒産リスクの少ない会社で勤務している、勤続年数が長いなど、融資を受ける人の属性が高いと判断された場合、フルローンを受けられる可能性が高まります。

返済原資が豊富にある

毎月の安定した給料の他に、すでに不動産投資で得ている家賃収入、加入している資産性のある保険、株式、預貯金、将来入る見込みの退職金、企業年金なども返済原資として評価してもらえる可能性があります。

また、融資を受けたい銀行の定期預金口座にある程度のお金を預けておくと、銀行に対して預貯金があることを証明することになります。審査が終わったらすぐに引き上げることは考えにくい「定期預金」を利用することで、見せ金ではないとアピールすることがポイントです。

不動産投資の実績がある

既存の借り入れがない方がフルローン融資を引きやすいと先述しましたが、すでに複数の物件で賃貸経営に成功しているような場合、その実績が融資審査にプラスに働くケースもあります。
例えば、既存のローンを組んでいる銀行担当者との信頼関係が出来上がっていて、なおかつこれまでその担当者を通じて受けた融資のいくつかは返済が終わっているような場合、新たな融資でフルローンを検討してもらえる可能性もあるでしょう。

不動産会社に紹介してもらう

銀行と提携している不動産会社を利用するのも一つの方法です。すでに銀行と不動産会社の間には過去の実績があるため、信頼関係が出来上がっています。全く見ず知らずの個人が直接銀行担当者にフルローンをお願いするよりも、銀行と提携している不動産会社が仲介してくれた方が交渉はスムーズにいくかもしれません。

物件の収益性が高い

すでに収益を出している実績のある物件や、立地や築年数、融資期間などで収益性が見込める場合、フルローンでの融資を受けられる可能性が高まるでしょう。
ただしフルローンは、銀行にとってはリスクの高い貸し付けです。そのリスクを取ってでも収益性が期待できる物件であると評価される必要があります。

フルローン融資で不動産投資を失敗させないための3つのポイント

フルローンで行う不動産投資には、自己資金を手元に残すことができるなどのメリットがある反面、気を付けなければならない注意点もあります。
フルローンを組んだことで不動産投資を失敗に終わらせないために、押さえておきたいポイントを3つご紹介しましょう。

デッドクロスに注意する

デッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却費を上回る状態のことをいいます。
ローンの元金部分は、実際の現金支出であるにもかかわらず経費計上できません。一方、減価償却費は実際の現金支出ではないにもかかわらず、経費計上することが可能です。
この2つの金額が逆転することで、帳簿上の黒字に対して税額が増大し支出が増え、実際の不動産所得が減少してしまう現象をデッドクロスといいます。

借り入れ額が大きくなりがちなフルローンは、当然デッドクロスを引き起こしやすくなります。
自己資金不足を理由にフルローンを希望する場合は、デッドクロスのリスクを吸収しきれない可能性が高いでしょう。

フルローンを利用する場合に限ったことではありませんが、不動産投資の収支シミュレーションは綿密に行うことが大切です。デッドクロスのリスクを事前に理解し、税額アップに対応するための資金を用意しておくなどの対策が必要でしょう。

デッドクロスについては、以下の記事にも解説されています。ぜひ参考にしてください。
不動産投資は税金対策として有効!経費の仕組みと節税シミュレーション

返済比率に気を付ける

返済比率とは、家賃収入に対してローン返済額が占める割合のことです。

返済比率(%)=(毎月のローン返済額÷満室時の月間家賃収入)×100

で計算されます。

月々のローン返済額50万円、月々の満室時家賃収入が100万円の場合、

(50万円÷100万円)×100=50

で、返済比率は50%という計算になります。

計算比率の理想は40%~50%といわれています。50%を超えると、空室リスクや修繕、税金などの経費、管理費などによってキャッシュフローに支障をきたす可能性が高くなるからです。
フルローンの場合、ローン返済額が高額になりやすいため、返済比率が上がる傾向にあります。返済比率を下げるためには、収益性の高い物件を選ぶこと、長く融資期間をとること、金利の低いローンを選ぶことがポイントです。

不動産投資において、返済比率を理解することはとても大切です。ぜひ、以下の記事も参考にしてください。
不動産投資における返済比率の目安は?_理想の返済比率計算シミュレーション

なおLIFULL HOME’Sでは、ローンシミュレーターのサービスを用意しています。個々の状況に合わせて毎月の返済額を計算することができますので、ぜひ活用してください。

フルローンOK=物件へのお墨付きではないことを理解する

よくある例として、銀行がフルローンを了承したからといって、その物件・事業計画にお墨付きをもらったと誤解してしまうケースがあります。
確かに、現状銀行がフルローンでの融資にGOサインを出すことは非常にハードルが高く、簡単ではありません。しかし、物件の収益性に100%の評価が出ていなかったとしても、個人の属性が極めて高い場合や、多くの資産を保有している人の場合、融資審査に通ってしまうケースもあり得ます。

フルローンの銀行融資を受けられたからといって、銀行がその物件なら確実に不動産投資で成功するとお墨付きを与えているわけではないことをよく理解しておきましょう。最終的な判断をする前に、今一度自分なりに綿密な収支シミュレーションを行い、事業計画に問題はないか、その物件にじゅうぶんな収益性があるか最終確認することが重要です。

不動産投資において、銀行でオーバーローンを組むことは可能か?

物件購入価格を全て融資で賄うことをフルローンといいますが、物件購入価格に加え、さらに契約時にかかる諸費用も全てローンに組み込む融資のことを「オーバーローン」といいます。
かつてはオーバーローンを組むことも可能でしたが、融資環境が厳しくなっている昨今では、オーバーローンができる可能性は限りなく低いと考えておいた方がよいでしょう。

まとめ

不動産投資向けの融資は、不動産融資の過熱、不正融資、新型コロナなどさまざまな影響を受け、審査が以前より厳格化されている傾向にあります。それに伴って、フルローンで銀行融資を受けることも非常に難しくなってしまいました。
しかし、融資を受ける人自身の借り入れ額や、属性、購入する物件によっては、一部金融機関において現在でもフルローンで融資を受けられる可能性はゼロではありません。

また、借入額が大きくなりやすいフルローンにはリスクもあります。フルローンを必要以上に恐れる必要はありませんが、利用前に繰り返しその不動産投資のキャッシュフローシミュレーションを行い、リスク対策を立てた上で利用するようにしましょう。

不動産投資におけるフルローンでの銀行融資については、ぜひ以下の記事も併せて読んでみてください。
【不動産投資】フルローンは危険?リスク・メリット・デメリットを理解しよう

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
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