LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

ソーラーパネル投資をするなら知っておきたい!FIT制度とFIP制度の違いとは?

安定した収益が魅力のソーラーパネル投資。国が電気の買い取り価格を保証してくれるFIT制度があり、ソーラーパネル投資に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
しかしこのFIT制度に加え、2022年から新たにFIP制度が設立されるなど、ソーラーパネル投資には大きな変化が見られています。
今後のソーラーパネル投資を見通すにあたって、必ず知っておきたいFIT制度とFIP制度について詳しく見ていきましょう。

ソーラーパネル投資とは?

ソーラーパネル投資は、太陽光発電設備を所有し、そこで発電した電力を電力会社に売電することで収益を得る投資手法です。太陽光発電投資ともいわれます。

住宅用と産業用の違い

太陽光発電設備のうち、システム容量10kW未満のものは「住宅用太陽光発電」、10kW以上のものは「産業用太陽光発電」と区別されます。

収益を上げることを目的としたソーラーパネル投資をする場合、規模が大きく、発電した電力全てを買い取ってもらう「全量売電」が可能な「産業用太陽光発電」を選ぶ人が多いでしょう。

ソーラーパネル投資の基本について詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。
【2020年】今さら聞けない!太陽光発電投資は儲かるのか?
【売電価格40円物件も!?】注目の「土地付き太陽光発電」を掘り下げ!

FIT制度(固定価格買取制度)とは?

2009年から、太陽光や風力といった自然界に常に存在する枯渇しないエネルギー、いわゆる再生可能エネルギーの「固定価格買取制度(FIT制度)」がスタートしました。

FIT制度とは、一定期間、定められた金額で電力会社に売電ができることを国が保証する制度です。
FIT制度の開始に伴い、ソーラーパネル投資は徐々に拡大していきました。

FIT制度を利用したソーラーパネル投資とは?

FIT制度により、発電した電気は住宅用太陽光発電で10年間、産業用太陽光発電で20年間、電力会社に固定価格で買い取ってもらうことが可能です。
電力買い取り価格は毎年見直されており、そのソーラーパネル設備が事業計画認定を受けた年の売電価格が20年間適用されます。

買取価格の下落傾向

実は、住宅用太陽光発電、産業用太陽光発電ともに売電価格は年々値下がり傾向にあります。産業用太陽光発電のFIT制度が始まった2012年の産業用売電価格40円に対し、2020年の50kW未満の産業用売電価格は13円でした。

こうした売電価格の推移だけを見ると、ソーラーパネル投資は徐々に薄利になり魅力が低下していると感じている投資家も多いでしょう。
しかし売電価格の下落に比例し、設備投資に係る費用も並行して下落傾向にあります。ソーラーパネルの大量生産が可能になったことや、海外メーカーの参入などがその原因として挙げられています。

売電価格は、経済産業省調達価格等算定委員会により、常に同程度の期間で設備導入費用を回収できるような価格に設定されています。実際、買取価格が下落していても、ソーラーパネル投資の利回りはおおむね10%を維持し続けている状況です。

ソーラーパネル投資の利回りについては、太陽光発電投資の利回りの推移は?利回りを上げる注目のセカンダリー市場に詳しく解説されています。ぜひ併せて読んでみましょう。

2019年から現れた卒FIT

2009年からスタートした住宅用太陽光発電のFIT制度。固定買い取り期間10年の住宅用太陽光発電においては、2019年でFIT期間が終了した、いわゆる「卒FIT」となる投資家が現れました。

経済産業省 資源エネルギー庁「住宅用太陽光発電設備の FIT買取期間終了に向けた対応」(2018年9月)の資料によると、卒FITとなる住宅用太陽光発電は、2021年に推定27万件、2022年に推定34万件、2023年に推定31万件。2023年までの累計では、165万件に達する見込みです。

FIT卒業後は、余剰電力を売電できる事業者と自由契約をしたり、自家消費したりする方法があります。すでに電力の買い取りを公表している事業者も多く、FITを卒業しても引き続き売電を継続している人が多いです。

ただし産業用太陽光発電においては、初めての卒FITが現れるのは2032年。住宅用太陽光発電と同様に売電継続が可能なシステムができるのかどうかは、状況を見ていく必要があるでしょう。

FIT制度に変わるFIP制度とは?

これまで再生可能エネルギーの導入を促進するために大きな貢献をしてきたFIT制度。2022年以降、このFIT制度に加え、FIP制度が導入されることが決まりました。

FIPとは「Feed in Premium」を略したもの。太陽光発電などの再生可能エネルギー発電事業者が市場価格で電気を販売した際、その市場価格と基準価格(FIP価格)の差額をプレミアムとして交付するという制度です。
補助金のような形で、取引価格にプレミアム価格を上乗せすることで売電価格を高くし、再生可能エネルギー事業の普及をさらに進めるという目的があります。

また、FIT制度では免除されていた市場取引が、FIP制度では必須となります。これにより電力の自由競争を促すというのも、FIP制度の大きな目的の一つです。

ソーラーパネル投資におけるFIP制度とは?

ソーラーパネル投資においては、全ての出力がFIPに移行するわけではありません。以下の表のように、1,000kW以上はFIPに移行、50kW以上~1,000kW 未満はFITかFIPの選択、50kW未満はFIT制度の継続となる予定です。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「太陽光発電について」(2020年11月)

ただしFIP制度については、FIP価格の設定方法など、定期的に経済産業省にて議論が続いています。今後新たな変更点が出てくる可能性もあるため、注視していく必要があるでしょう。

FIP制度の3つのプレミアム案

FIP制度における売電価格は「電力卸売価格(市場価格)+特別割増(プレミアム)」で計算されます。このFIPプレミアムをどのように加算するかについては、2021年2月時点で、いまだ議論が続いているのが現状です。
2019年9月に資源エネルギー庁が公表した「電源の特性に応じた制度構築」では、以下の3つの案が検討されていました。
1. 完全変動型プレミアムFIP
2. 全期間固定型プレミアムFIP
3. 固定プレミアム型と変動プレミアム型を組み合わせた中間の制度

2021年1月時点、資源エネルギー庁は3つ目の案を基に詳細設計を議論しており、完全変動型と全期間固定型を組み合わせた案が最有力候補となっています。

候補に挙がっている3つの案を詳しく見てみましょう。

完全変動型プレミアムFIP

市場価格の変動に合わせてプレミアム価格も変動する方式。市場価格の変動をプレミアムで穴埋めすることで売電価格は一定に保たれます。
売電価格が一定なので、投資家にとっては収益が予測しやすいというメリットがあるでしょう。しかし、このプレミアム費用のお金の出所は、国民の電気料金に上乗せされる「再エネ賦課金」です。市場価格の下落が続くと、売買価格の穴埋めのために、国民の負担が増える可能性があります。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「電源の特性に応じた制度構築」(2019年9月)

全期間固定型プレミアムFIP

プレミアム価格が固定される方式。上乗せされるプレミアム価格が一定なので、市場価格の上下に合わせて売電価格が変動します。
この方法であれば国民の電気料金負担は一定となりますが、価格変動が大きいため、投資家にとっては収益予測が難しくなるでしょう。リスクの高い投資となる可能性があります。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「電源の特性に応じた制度構築」(2019年9月)

固定プレミアム型と変動プレミアム型を組み合わせた中間の制度

完全変動型と全期間固定型を組み合わせた中間の制度案です。
あらかじめ売電による収入水準を表す「基準価格(FIP価格)」を決定し、別途一定期間ごとに市場価格に連動した「市場参照価格」を設定。FIP価格から参照価格を引いたものを「プレミアム」として、一定期間固定するという仕組みです。

FIP価格がある程度一定に保たれるため、投資家にとって収益の見通しが立てやすいというメリットがあります。

しかしこの仕組みでは、電力需要の少ない時期にプレミアムを増加させることになり、合理的ではないという議論もあるようです。今後どのような仕組みに落ち着くのか、注意して見ておくとよいでしょう。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「FIP制度の詳細設計とアグリゲーションビジネスの更なる活性化④」(2021年1月)

FIP制度とFIT制度の違い

FIP制度とFIT制度の主な違いについて以下の表にまとめてみました。

FIPFIT
制度の目的・特徴再生可能エネルギーの自立を促し、完全自由化させること
発電事業者は自由競争にさらされる
固定価格で買い取ることで、再生可能エネルギーの普及を促すこと
買取価格が保証されており、売電事業者は比較的保護されている
売電価格市場価格を基本とし、プレミアム分を上乗せ固定価格で買い取り
メリット発電事業者が、電力の受給に応じて市場価格が高い時だけ売電することができ、大きな収益を得られる可能性がある固定価格での買取のため、安定した収益が得られる
デメリット価格変動が激しい場合、収益の予測が難しい、収益の予測が難しいFITの買取期間は10年、20年と決まっているため、「卒FIT」時の対応を検討しておく必要がある

FIT制度の今後

新たにFIP制度が始まることにより、FIT制度には今後どのような変化が見られるのでしょうか?

固定買い取り価格の下落

前述の通り、FITによる固定買取価格は下がり続けており、今後も下落傾向は続くのではないかと予想されています。しかしこの価格下落には、設備導入費用の下落が大きく関わっていることを前述しました。
今後ソーラーパネル投資への参入を検討している場合、価格下落ばかりに注目せず、導入費用などを含めた収支計画、利回り計算を入念に行い、検討するとよいでしょう。

新たな「地域活用要件」の増設

2020年度のFIT認定には、新たに「地域活用要件」が設定されました。10kW以上50kW未満の低圧太陽光発電に適用されるもので、FIT認定を受けるためには
・30%以上の自家消費率
・災害時の自立運転機能の設置
が条件とされています。
つまり、2020年4月以降新たにFIT認定を受ける10kW以上50kW未満の小規模なソーラーパネル投資においては、全量売電ができなくなったということです。

全量売電するためには、2019年以前にFIT認定を受けた中古の投資用太陽光発電設備を購入しなければなりません。
今後新たに太陽光発電設備を設置し、ソーラーパネル投資を始める場合は、自家消費計画の提出や、運転開始後も自家消費率30%以上をキープすることが求められますので、注意しましょう。

卒FIT後の見通し

FIT制度の最も大きな懸念事項は、卒FIT後が不明瞭なことです。
産業用太陽光発電においても、住宅用と同様、自身で買い取り事業者を見つけて引き続き売電を継続していく形が取られるのでは……と予想されていますが、定かではありません。
すでに卒FITが表れている住宅用太陽光発電の事例などを引き続きチェックしておきましょう。

卒FIT後は、売電を継続する以外に自家発電として利用する方法もあります。
卒FIT後の大手電力会社の買取価格はおおよそ8~11円/kWh。一方、電力会社から購入する電力の平均価格は、以下の通りおおよそ1kWhあたり20円~25円前後で推移しています。

参考:経済産業省 資源エネルギー庁HP「エネルギーの今を知る10の質問」

つまり、売電価格が通常の電気料金を下回っているわけです。売電するよりも自家消費する方にメリットがあるため、電力を貯めることができる蓄電池を利用し、自家発電として使用するニーズも増えています。

FIP制度の将来性

FIP制度の詳細はいまだ議論が続いており、完全変動型と全期間固定型の組み合わせが有力としながらも、正式に決まっているわけではありません。

完全変動型と全期間固定型を組み合わせるFIPプレミアム算出方法においては、市場参照価格やFIP価格をどのように設定するのか、市場参照期間をどの程度にするのかが非常に重要です。
2020年12月に行われた経済産業省の有識者会議では、月ごとに「プレミアム」を見直す案から、「プレミアム」を年間固定とし、毎月の微調整を行う新たな案に転換するなど、FIPはいまだ議論の渦中であることが見て取れます。

今後の経済産業省の動きや、公表される資料をよく確認することが重要でしょう。

今後のソーラーパネル投資の動向を注意深くチェックしよう

資源エネルギー庁は、現在の原子力・火力発電を主体とした電源構成比率から、2030年までに再生可能エネルギー比率22%~24%を目指すという目標を掲げています。
その再生可能エネルギーの中で、大きな割合を占めるのがソーラーパネル発電。今後も、ソーラーパネル投資の重要性は増していくことが考えられるでしょう。

しかし近年、新たなFIT認定要件の増設やFIP制度の導入など、ソーラーパネル投資には大きな変化が見られています。今後はFIPによって自由な競争が促され、いずれFIT制度は廃止となるのでは……と予想する投資家も多いです。

投資手法の1つとしてソーラーパネル投資を検討されている方は、国の今後の方向性をじゅうぶん理解した上で判断することが重要といえるでしょう。

LIFULL HOME’Sでは、ソーラーパネル投資について以下のようなコラムも公開しています。ぜひ参考にしてください。
【太陽光発電投資】嘘の情報にだまされない!損しないためのポイントを押さえよう

【このコラムの著者】

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