LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

アパート経営と年齢~アパートローンは何歳まで組めるのか?

老後の資金対策としても注目されている不動産投資。定年後に年金プラスアルファのゆとりを得るために、アパート経営を始める方も少なくありません。しかし、50代や60代で新たにアパートローンを組んで賃貸経営を始めることは可能なのか、気になっている方も多いでしょう。

そこでこの記事では、アパートローンと年齢の関係について解説していきます。アパートローンに年齢制限はあるのか、定年後にアパート経営を始める場合どのようなポイントに注意すべきなのか、見ていきましょう。

アパート経営に年齢制限はあるのか?

アパート経営自体には、一般の会社員のような定年はありません。むしろ定年後を見据え、老後の資金対策を目的としてアパート経営を始める方も多いといえるでしょう。

公益財団法人 生命保険文化センターが2019年9月に公表した「令和元年度 生活保障に関する調査」によると「老後の生活資金をまかなう手段」として「不動産による収入」をあげている人は、2019年時点で5.8%でした。2010年の4.0%から、連続して増加していることが見て取れます。

老後の年金対策として有効なアパート経営

先述した「生命保険文化センター」の「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、ゆとりある老後に必要な生活費の平均値は、夫婦で月額36.1万円ほどと考えられています。
一方、総務省が公表した「家計調査報告」(2020年)によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における社会保障給付額は、月額平均で約22万円。
公的年金にだけ頼っていては、ゆとりある老後生活を送ることは難しいことが分かります。

公的年金にプラスして家賃収入があれば、預貯金を大きく切り崩さなくてもゆとりある生活が実現できるとして、老後を見据えたアパート経営を始める人が増えているのでしょう。

不労所得ともいわれるアパート経営

アパート経営には、建物や入居者の管理といった日々の業務が発生します。しかしそれらの大部分は、管理会社に委託することが可能です。自分が手間をかけずに収入を得られることから、不動産投資はよく「不労所得」だといわれます。

もちろん、収益物件の選定や売買契約、ローン契約など、オーナー自身が行わなければならない部分もあります。しかしそれらの多くは物件を取得する段階でのみ発生するものです。

運用開始後は、日々の業務においてオーナーに大きな手間がかからないため、定年後はもちろん、老後働くことが難しくなってもアパート経営を続けることができます。
こうした面からも、定年退職後のアパート経営は、私的年金を得る手段として注目されているのです。

アパートローンに年齢制限はあるのか?

アパート経営には年齢制限がなく、むしろ老後でも取り組みやすい投資手法であることが分かりました。では、アパート経営のための物件取得の際に利用するアパートローンには年齢制限があるのでしょうか?

アパートローンには年齢制限がないのが一般的

自己居住を目的とした住宅ローンの場合、申込時の年齢に加え、完済時の年齢上限が定められているのが一般的です。金融機関によって異なりますが、申込時の年齢は20歳~70歳前後、完済時の年齢は80歳前後という条件が設定されています。

一方、アパート経営を目的としたアパートローンでは、満20歳以上という下限の条件はあるものの、上限は定められていないことが多いです。なぜ年齢上限が設けられていないのでしょうか。

アパートローンに年齢上限がない理由

アパートローンに年齢の上限が設定されていない理由として、主に以下の2つが挙げられます。

アパートローンで重視されるのは個人よりも物件の資産価値

住宅ローンの場合、返済原資は給与など個人の収入です。そのため、定年退職する65歳や、平均寿命である80歳前後を考慮し、生きている間に返せることを前提として年齢制限が設けられています。

一方アパートローンの返済原資は、アパート経営による家賃収入です。
実際の融資判断においては、経営が上手くいかなかった場合の返済を担保するため、年齢や個人収入などの属性も影響します。しかし、重要視するのはあくまで物件の資産価値であるため、住宅ローンのように年齢制限を定める必要がないのです。

団信への加入が必須ではない

団信(団体信用生命保険)とは、ローン契約者に万が一のことがあった場合、保険金で残債が弁済される制度のことです。団信への加入には年齢制限があります。

住宅ローンを組む際には、団信(団体信用生命保険)への加入が求められることが一般的ですが、アパートローンでは団信加入を要件としない金融機関が多いです。
なぜなら、ローン契約者に万が一のことがあっても家賃収入が途切れることはないからです。物件が相続されれば、引き続きローンを返済してもらえるため、金融機関としては団信への加入を必須とする必要性がありません。

年齢制限のある団信への加入が必須ではないことも、アパートローンに年齢制限がない理由の一つです。

アパートローンと住宅ローンの違いを知ると、それぞれの年齢設定についても理解が深まります。ぜひ、以下の記事も併せて読んでみましょう。
不動産投資ローンと住宅ローンの違いは? 融資を受けるならどちらが先?
不動産投資ローンと住宅ローンの違いと5つの金融機関の特徴

アパートローンに年齢が影響するケース

年齢の上限が定められていないことが多いアパートローンですが、金融機関によって、また融資条件によっては年齢が影響するケースもあります。

改正民法による連帯保証人不要化の影響

2020年4月に、全面改正された民法が施行されました。これにより、事業に関わらない個人を融資の連帯保証人にするためには「保障意思確認」という、非常に煩雑な手続きを要することになったわけです。
そのため現在では、多くの金融機関でアパートローンに連帯保証人を不要とする流れが主流となっています。

連帯保証人を立てないということは、金融機関にとっては貸し付けのリスクが高まることになります。担保価値の低い物件や、死亡リスクの高い高齢者への融資を控えるなど、融資審査が厳しくなる可能性が考えられるでしょう。

借り入れ条件自体に年齢の上限はないものの、審査時の個人属性として年齢が影響するケースが増える可能性があります。

改正民法が不動産投資に与える影響については、以下の記事を参考にしっかりとポイントを押さえておきましょう。
アパート融資にも影響!不動産投資家が押さえるべき改正民法の要点

団信つきの商品は年齢上限あり

先述の通り、アパートローンは団信を付与しないことが多いです。
しかし近年、不動産投資に取り組む方が増え、万が一に備えるために団信加入を希望する声が高まったことから、団信付加が選べるアパートローンが増えてきました。
また先述の通り、民法改正によってアパートローンに連帯保証人が不要となったことから、金融機関によっては団信への加入を必須とする金融機関も出てきています。

アパートローンに団信を付加する場合は、団信の加入条件に合わせて年齢制限が設定されますので、注意しましょう。

各金融機関のアパートローン一覧-年齢制限と団信の有無-

アパートローン商品における団信の有無と年齢制限を金融機関ごとにまとめてみましょう。

ローン商品団信年齢制限保険料負担
みずほ銀行
「みずほアパートローン(一般融資口)」
任意満20歳以上
※団信を付加する場合は融資時年齢 71 歳未満・最終返済時年齢 81歳未満
金利に年率0.3%上乗せ
三井住友銀行
「直担アパートローン」
任意満20歳以上
※団信を付加する場合は融資時年齢満70歳の誕生日まで・最終返済時年齢満80歳の誕生日まで
金利に年率0.3%上乗せ
千葉銀行
「ちばぎん金利選択型アパートローン」
任意満20歳以上
※団信を付加する場合は融資時年齢満70歳未満・最終返済時年齢満75歳未満
なし
スルガ銀行
「投資用不動産ローン」
必要借入時年齢20歳以上65歳未満・最終返済時年齢82歳未満なし
オリックス銀行
「不動産投資ローン」
必要借入時年齢満20歳以上60歳未満・最終返済時年齢80歳未満なし

(※融資申込時に団信を希望していない場合でも、審査の結果団信加入が求められる場合もあります。また、加入できる団信によって別途金利が上乗せされることもあります。)

このように、借入先によって団信の必要性や年齢制限が異なります。総返済額や返済計画にも影響しますので、ローン商品の比較検討時には、団信加入の有無をよく確認するようにしましょう。
なお、団信付きのアパートローンを検討する場合、年齢だけでなく本人の健康状態によって加入できない可能性がある点、団信加入金額には上限が設けられている点にも注意が必要です。

60代からローンを組んでアパート経営を始める際の3つのポイント

アパート経営は家賃収入が得られるだけでなく、相続税対策としても有効なため、定年を見据えた60代からアパート経営を始めようと考える方も多いでしょう。
ここまで述べてきた通り、60代であってもアパートローンを組んでアパート経営を始めることはじゅうぶん可能です。ただし、気を付けなければならないポイントがあります。

60代で始めるアパート経営を失敗させないために、注意したい3つのポイントをご紹介しましょう。

じゅうぶんな自己資金を確保しておく

一般的に、アパート経営には物件取得価格に対して2~3割程度の自己資金が必要と言われています。しかし60代からアパート経営を始める場合には、さらに余裕を持った自己資金を確保しておくとよいでしょう。

60代からアパートローンを組む場合、完済時年齢を考えると長期の借り入れが難しくなります。返済期間が短くなると、月々の返済負担額が増大するため、キャッシュフローを確保することが難しくなるでしょう。
修繕費など、突発的な出費にも対応できるよう、余裕を持った自己資金の確保が重要です。退職金を活用するのも一つの方法でしょう。

自己資金の割合を高めておくことは、安定した経営に役立つのみならず、ローン審査を有利に進める点でも有効です。

年金生活でもローン返済ができる見通しがあるか確認しておく

アパート経営は、得られた家賃収入でローンを返済していく投資手法です。しかし、退去や空室の発生により、想定した家賃収入が得られなくなる可能性があります。また先述のように、突発的な修繕費が発生し、自己資金からの持ち出しが発生することもあるでしょう。

このような想定外のケースが起きた場合でも、安定してローンの返済が行えるか、生活を大きく圧迫することがないか、老後のマネープランをよく確認しておきましょう。

出口戦略を考えておく

60代からアパート経営を始める場合には、先々そのアパートをどうするか出口戦略を考えておきましょう。

相続税対策であれば取得した物件は持ち続けることが前提となりますが、そうでない場合には、融資期間や売却を想定した上での物件選択が必要です。

また相続を前提としている場合、団信付きのアパートローンを選択するとローン残債が団信で相殺されてしまい、節税効果が薄れてしまいますので注意しましょう。

まとめ

アパート経営を行うこと自体には年齢制限がありませんが、ローンを借り入れる際には年齢による制約が出てしまうケースがあります。アパートローンについては金融機関により取扱いが異なる部分も多いため、専門家に相談しながら、よりよい選択を行いましょう。

アパートローンについては、以下の記事にも詳しく掲載されています。ぜひ参考にしてください。
アパートローンとは?不動産投資を成功に導く融資の選び方
コロナ禍でアパートローンの融資状況はどう変わったのか?
【2020年最新】不動産融資に積極的な銀行はどこ?最新の不動産投資動向
投資用不動産ローンのメリットは?~住宅ローンとの違いや金利の目安~

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

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