LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

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アフターコロナに不動産投資ローン金利上昇の可能性!?|投資家が備えておきたいこと

新型コロナウィルスの収束が意識され、アメリカでは急激に景気が回復。長期金利の上昇が頻繁に取り上げられるようになりました。こうしたアメリカの動向は、長年続いてきた日本の低金利にもいよいよ影響を与えるのではないかといわれています。
日本でも金利上昇の動向がみられるようになれば、当然不動産投資ローンの金利上昇にもつながるでしょう。

そこでこの記事では、金利を取り巻く現在の経済情勢、そして金利上昇が不動産投資に与える影響とその対策について解説します。

金利を取り巻く世界の経済情勢

まずは、世界的な金利の動向を見ていきましょう。

長期金利の上昇傾向がみられるアメリカ

一足早くワクチン接種が進み、すでにアフターコロナの景気回復の期待感が高まっているアメリカ。
長期金利の指標となる10年物米国債利回りの推移を見てみましょう。

三井住友銀行マーケット情報チャート「米国債10年利回り」のデータによると、コロナ渦には一時0.5%台にまで落ち込んだ利回りは、2020年末から上昇傾向へ。2021年3月には1.7%を超えるなど、その上昇傾向が顕著に表れています。
これに連動し、アメリカでは住宅ローンの金利も上昇傾向にあるようです。

一般的に、景気が回復するにつれ設備投資への資金需要が高まるため、金利は上昇する傾向があります。アフターコロナを見据えた景気回復の兆し、期待感が実際の金利上昇に表れているといえるでしょう。

日本への金利上昇の影響は?

アメリカの影響を受け、各国追随して長期金利は上昇傾向にあります。日本も例外ではありません。

三井住友銀行マーケット情報チャート「日本国債10年利回り」のデータによると、コロナ禍の2020年3月には-0.16%にまで落ち込んだ利回りは、2021年2月には0.16%まで一時上昇しています。
こうした状況を受け、大手銀行では住宅ローンの10年間固定金利を2021年3月から0.05%引き上げることを発表しました。

しかし一方で、2021年4月に開かれた金融政策決定会合において、日銀は大規模な金融緩和策を維持することを決定しました。2021年4月、東京・大阪などの4都府県に緊急事態宣言が出されたことに伴い、必要があればちゅうちょなく追加の金融緩和を行うと宣言しています。
日本国内の新型コロナ感染者数の減少やワクチン接種が見込めない限り、急激な金利上昇の可能性は低いといえるかもしれません。

確実にアメリカの影響を受けつつも、各国の中央銀行もいまだ緩和姿勢を崩していないのが現状です。しかし、コロナ収束後の景気回復ペース次第では、各国の中央銀行の対応も変わってくるかもしれません。

世界的な長期金利上昇機運は明らかに高まっており、日本も対岸の火事ではないという点には注意が必要です。

長期金利の上昇が不動産投資ローンに与える影響

不動産投資は、物件購入に多くの初期費用がかかるため、多くの投資家は不動産投資ローン(アパートローン)を利用しています。不動産投資ローンの利用には金利がかかるため、当然金利が上昇するとローン返済額が増大し、キャッシュフローを悪化させることがあるでしょう。
このように、金利変動に伴って不動産投資のキャッシュフローが悪化するリスクを「金利変動リスク」といいます。

不動産投資ローン金利の仕組み

ローン金利は、以下のような仕組みで構成されています。

種類種類金利の基準金利が連動しているもの
変動金利銀行の基準金利に合わせて金利が上下する短期プライムレート
(プライムレートのうち、1年以内の短期の貸し出しを行う際の指標となる金利)
市中金利
(金融機関同士がお金を貸し借りする時に利用される金利)
固定金利固定期間中は金利が一定長期プライムレート
(プライムレートのうち、1年を超える期間の貸し出しを行う際の指標となる金利)
長期金利

プライムレートとは、金融機関が大手優良企業に融資をする時の最優遇貸出金利のことです。実際に適用される金利は、これらの短期・長期プライムレートに、金融機関の利益・想定されるリスクを上乗せして決定されます。

短期プライムレートが連動している市中金利は、景気や物価の動向によって日銀が設定する「政策金利」の影響を受けるものです。つまり変動金利は、日銀の政策金利によって上下する可能性があるということになります。

一方長期プライムレートが連動するのは長期金利。つまり先述の通り、10年物国債利回りの影響を受けるわけです。

今後のアパートローンの金利動向を知るためには、日銀の動向や10年物国債の利回りの動向を参考にするとよいでしょう。

変動金利上昇時のシミュレーション

仮に変動金利が上昇した場合のキャッシュフローの変化をシミュレーションしてみましょう。

【前提条件】
・物件価格(借入額)2,000万円
・年間家賃収入150万円(月12万5,000円)
・諸費用年間30万円
・借入期間30年
・金利2.5% 

この場合の年間ローン返済額は約95万円。

家賃収入150万円-諸費用30万円-ローン返済95万円=税引き前キャッシュフロー25万

となります。

その後、融資開始5年目で金利が3.5%に上昇した場合、年間ローン返済額は約106万円になります。

家賃収入150万円-諸費用30万円-ローン返済106万円=税引き前キャッシュフロー14万円

今回のケースの場合、金利が1%上昇するだけで、年間のキャッシュフローが25万円から14万円に低下してしまいました。
銀行からの融資額や金利によっても異なりますが、金利上昇はキャッシュフローを悪化させる要因になります。採算ギリギリの賃貸経営を行っている場合、金利上昇リスクに対応できない可能性があるため、何らかの対策が必要になるでしょう。

不動産投資ローンの金利上昇局面に対応する3つの方法

不動産投資ローンの金利上昇が予想される場合、どのような対策が考えられるでしょうか?ここでは基本的な方法を3つご紹介します。

物件を売却する

該当する物件を売却して、その売却益で不動産投資ローンを完済してしまうという、最もシンプルな方法です。買い手がつく物件であることと、残債よりも高値で売却できることが重要です。

固定金利へ借り換える

固定金利は、返済期間中の金利が変わらないという特徴があります。そのため、金利が上昇する懸念がある場合は、固定金利に借り換えるのも一つの方法です。

ただし変動金利よりも固定金利の方が、金利が高い傾向にあります。また、変動金利上昇の傾向が見られる頃には、長期金利に連動する固定金利の方が先に上昇している可能性が高いでしょう。借り換えのタイミングを逃すと、むしろ返済額が増えるなど、逆効果になってしまうことがあります。

残債やローンの残り期間を含めてじゅうぶんにシミュレーションを行い、借り換えは慎重に検討する必要があります。

繰り上げ返済する

まとまった資金を投じて、残債を繰り上げ返済してしまう方法です。自己資金に余裕あることが前提になりますが、金利変動リスクを避ける方法としては有効な手段といえるでしょう。
期間を短縮する方法、毎月の支払い額を減額する方法の2通りの方法がありますが、毎月のキャッシュフローの確保という意味では、後者が有効です。

繰り上げ返済には手数料がかかるケースがあること、手持ち資金がなくなると突発的な支出に対応できなくなることに注意しましょう。

まとめ

世界的に金利上昇の傾向はみられるものの、いまだ各国の中央銀行は金融緩和姿勢を保っている状態です。

しかし、コロナウィルス収束の日はいつかやってきます。アメリカにおいて、一部専門家は今後テーパリング(中央銀行が金融緩和から抜け出す出口戦略)が行なわれるという予測をしています。さらに日本も、実は日本株ETF(上場投資信託)の買い入れ額を減らし、公には緩和といいながら秘密裏にテーパリングをしているともいわれているのです。
カナダにおいては、すでに2021年4月、テーパリングを行うことが公表されました。
テーパリングによって金融緩和を正常化すれば、その後金利上昇が続く可能性があります。

不動産投資ローンの金利情報を早めにキャッチするためにも、世界経済の動向にアンテナを立てておきましょう。

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
不動産投資にまつわる新鮮な情報、トレンドを発信。
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