LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

入居者が夜逃げした物件でオーナーがとるべき行動は?

賃貸経営をしていく中で、思いもよらないトラブルに巻き込まれることもあるでしょう。入居者の夜逃げも、賃貸経営者を悩ませるトラブルの一つです。

賃貸経営者が抱えたことがある悩みで最も多いのは、「入居者の家賃滞納」というデータがあります。
(参考元:【HOME’S リサーチ】 「賃貸物件オーナーの経営実態調査」

「夜逃げなんて滅多にないのでは?」と思われがちですが、長期的な家賃滞納は夜逃げの前兆となるケースもあります。賃貸経営者として決して他人ごとではありません。

実際に夜逃げ被害にあった時に慌てないためにも、賃貸経営者としてとるべき行動や注意点を事前に確認しておきましょう。

入居者が夜逃げした際に発生する問題

入居者が夜逃げした際、どのような点が問題となるのでしょうか。具体的に解説していきます。

経済的な損失

入居者が夜逃げした場合、さまざまな経済的損失が発生するでしょう。

例えば、物件がゴミ屋敷と化していたり、部屋の中が荒れていたりする場合があります。通常の退去よりも、修繕費やハウスクリーニング費用の負担が大きくなる可能性があるでしょう。

また夜逃げ前から家賃の滞納があった場合、滞納された家賃を回収できるかどうか分かりません。保証人に請求できれば回収できますが、保証人が協力的でない場合もあります。

さらに、すぐに新規入居者を募集できない可能性もあるため、空室期間中家賃収入が途絶えてしまうことになるでしょう。

精神的な負担

入居者の夜逃げから室内の確認までに時間が経っている場合、放置された食材や生ごみなどが腐敗して悪臭を放つケースがあります。自主管理の場合、オーナー自らが片付けなければならないケースもあるでしょう。
またこのような物件の状況によっては、周辺住民からクレームが来てしまう恐れもあり、オーナーに精神的な負担がかかる可能性があります。

残された家財の処分

夜逃げの特徴として、生活に必要な最低限の荷物のみを持っていくことが挙げられます。残された家財がある場合、すぐに処分したいところですが、残置物はあくまで賃借人の所有物です。オーナーが勝手に処分してはいけません。

入居者本人と連絡が取れない場合や、その家族、連帯保証人が協力的でない場合、残留物の処理には法的な手続きが必要です。
手続きには時間がかかりますし、訴訟費用もかかります。弁護士などに手続きを依頼すれば、弁護士への報酬も発生するでしょう。
オーナーには、時間、手間、費用と、さまざまな負担がかかることが想定されます。

残された家財などの処分に関する手続きについては、後ほど説明します。

入居者が夜逃げした際の注意点

入居者が夜逃げした際、オーナーがもっとも注意しなければならない点は、勝手に部屋の中に入ったり、残された家財を処分したりしてはいけないことです。
しかるべき手続きをとる前に部屋の中に入ったり、家財を処分したりすると、自力救済禁止の原則違反や住居侵入罪となる可能性があります。

夜逃げした入居者と連絡が取れない場合は、法的な措置を取り、強制的な賃貸借契約の解除をする必要があります。
さらに、賃貸経営者が残された家財を処分するためには、明渡しの強制執行という法的な手続きが必要です。

保証人が協力的な場合でも、保証人には賃貸借契約解除の権利がないため、代理での契約解除はできません。また、残された家財の所有権は夜逃げした入居者にあります。たとえ保証人であっても本人の意思なしで処分することはできません。

夜逃げが発覚した際、慌てて室内に侵入したりしてしまうことのないよう、これらをよく理解しておきましょう。

入居者の夜逃げが発覚した際にまず行うこと

では、実際に入居者の夜逃げが発覚した場合、オーナーとして最初に行うことは何でしょうか。

速やかに本人に連絡

入居者の夜逃げが発覚した際は、できるだけ早く本人と連絡を取ることが大切です。
時間が経つほど連絡が取りにくくなり、滞納された家賃を回収できなくなる可能性が高くなります。

本人と連絡が取れない時は、保証人・緊急連絡先へ連絡

夜逃げした入居者と連絡が取れない時は、保証人や緊急連絡先へ連絡しましょう。

保証人や緊急連絡先へ連絡する際の注意点は、あくまでも「安否確認である」と伝えることです。「夜逃げした」という伝え方をしてしまうと、相手の警戒心を高める可能性があり、協力してもらえなくなってしまうかもしれません。

保証人が協力的であれば、夜逃げした入居者に連絡を取り次いでもらえる可能性があります。本人との合意による賃貸借契約の解除や明渡しができれば、早期解決につながるでしょう。
さらに滞納されている家賃を保証人が代理で支払ってくれれば、入居者の夜逃げに対する解決策としては最善の方法といえます。

賃貸借契約の強制解除と、残留物処分の正しい手続き

先述の通り、夜逃げした入居者本人と連絡が取れれば、合意の上で賃貸借契約を解除し、物件を明け渡してもらうことが可能です。費用はかかりますが、オーナーとしては素早く次の入居者獲得へ向けて行動を起こすことができるでしょう。

しかし入居者本人と全く連絡が取れない場合は、以下のような法的手続きをとらなければなりません。

強制的に物件の賃貸借契約を解除する「公示送達」

賃貸借契約を強制的に解除するには、入居者に意思表示をする必要があります。しかし相手がどこにいるか分からない場合、相手に意思表示できません。
そこで「公示送達」という方法で相手に意思表示をします。

「公示送達」とは、裁判所の掲示場に書面を掲示することで、相手に書類を送ったことと同等の効果を持たせる方法です。

公示送達するには、まず夜逃げした入居者が本当に行方不明なのかを証明する必要書類を提出し、簡易裁判所に申し立てを行います。
審査の結果、入居者の所在が不明と認められれば、契約解除の通知書が裁判所の掲示場に掲示されます。賃貸借契約解除の通知が相手に到達したとみなされるのは、掲示から約1~2週間後です。

これにより、賃貸経営者が単独で賃貸借契約を解除することが可能になります。

物件明渡しの強制執行手続き

次に必要なのは、残留物処分のための明渡しの強制執行手続きです。

公示送達で賃貸借契約が解除された後、入居者に対して建物明渡し請求訴訟を提起します。判決が下り、強制執行手続きが認められて初めて、物件オーナーは残留物の処分を行うことができるようになります。

入居者の夜逃げ対策としてできること

最後に、入居者の夜逃げを防ぐにはどのような対策を取っておけばよいのか、見ていきましょう。

入居者とコミュニケーションを取る

普段から入居者とコミュニケーションを取っていると、ちょっとした変化を察知することができます。電気・ガスメーターが止まっていないか、家賃の支払いが遅れていないかなどのポイントに注意して見ておきましょう。

入居者が家賃を滞納し始めた場合、何らかの原因で生活が困窮している可能性があります。国や自治体による生活支援制度の案内をしてみるのも、有効な方法といえるでしょう。

例えば、新型コロナウイルスで困窮している人への国の対策の一つに「住居確保給付金」があります。最長9ヶ月の家賃支援が受けられますので、こういった制度を紹介してあげると家賃滞納を防ぐ効果があるかもしれません。

住宅確保給付金やその他生活支援制度については、こちらの記事をご覧ください。
家賃が払えない? 不安に思ったら住居確保給付金を思い出して
【2021年5月最新】不動産投資に関わるコロナ関連給付金・支援策まとめ

家賃保証会社を利用する

入居者の夜逃げによる賃貸経営者の精神的負担や金銭的損失、手間などを軽減するには、家賃保証会社の利用が効果的でしょう。

家賃保証会社とは、入居者が家賃を滞納した場合、入居者に代わってオーナーに家賃を弁済してくれる保証会社のことです。家賃を滞納したり夜逃げしたりしてしまった入居者に対する訴訟などの法的措置も、保証会社が行ってくれます。

保証料は入居者負担ですが、保証会社を付けることで連帯保証人が不要になるため、入居者側にもメリットがあります。
また、入居申込者に対して家賃保証会社が審査を行うため、よりリスクの低い入居者を厳選する効果も期待できるでしょう。

保証会社の家賃保証には、以下2つの方法があります。
・代位弁済型:集金は賃貸経営者が行い、滞納時に保証会社に報告することで立て替えてもらえる
・集金代行型:家賃の集金から保証会社が代行し、毎月賃貸経営者へ自動入金される

代位弁済型の場合、集金の管理は賃貸経営者が行うため、毎月滞納者がいないかの確認が必要です。保証会社に依頼する際は、代位弁済型か集金代行型か確認しておきましょう。

その他、家賃保証会社との契約内容についてもよく確認しておくことが重要です。万が一裁判になった場合の訴訟費用や、残留物の処分費用、原状回復費用をどちらが負担する契約になっているのか、事前にチェックしておきましょう。

まとめ

入居者が夜逃げした際、勝手に部屋の中に入ったり、家財の処分をしたりすると法律違反となる可能性があります。夜逃げ被害にあった時に慌てないよう、とるべき行動や注意点をよく確認しておきましょう。

また入居者の夜逃げ対策として、普段から入居者とコミュニケーションを取る、保証会社を利用するなどの方法をとることをお勧めします。

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
不動産投資にまつわる新鮮な情報、トレンドを発信。
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