LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

不動産投資はなぜ相続税対策になるのか?仕組みと制度を解説【後半】

不動産は、相続税対策として有効であるといわれています。相続税対策を目的に、不動産投資を検討している方も多いでしょう。
なぜ、不動産投資は相続税対策になるのでしょうか?

【前半】の記事では、相続税そのものの仕組み・計算方法についてご説明しました。
不動産投資はなぜ相続税対策になるのか?仕組みと制度を解説【前半】
【後半】では、不動産が相続税対策になる理由や利用できる制度について具体的に解説していきます。

不動産投資が相続税対策に有効な理由

なぜ不動産を活用すると相続税対策になるのか、その理由をみていきましょう。

不動産の相続税評価額が時価より低い

土地の相続税を計算する際に使用される課税対象額は、実際の売買金額(時価)や公示地価ではなく、相続税評価額です。
相続税評価額とは、相続税や贈与税の計算の基となる不動産価格のことで、毎年国税庁が調査・決定しています。

この相続税評価額は、一般的な不動産取引の指標となる公示価格のおよそ80%を目安に設定されています。
つまり、公示価格が5,000万円の土地を相続する場合、課税対象額の目安は、

5,000万円×80%=4,000万円

となるわけです。

建物の場合は、相続税評価額は基本的に固定資産税評価額と同じ金額が使われます。固定資産税評価額は、公示価格の70%を目安に設定されるのが一般的です。

相続税は課税対象となる遺産総額を下げることができれば、相続税額を減らすことができます。

ここで、5,000万円の現金を相続する場合と、公示価格3,000万円の土地+2,000万円の建物を相続する場合で、相続税額の違いを比べてみましょう。
(相続人は1人とし、基礎控除以外の軽減・控除などは加味しない)

【現金5,000万円の相続の場合】
(5,000万円-基礎控除3,600万円)×相続税率15%-50万円=相続税額160万円

【3,000万円の土地+2,000万円の建物の相続の場合】
相続税評価額の目安=(3,000万円×80%)+(2,000万円×70%)=3,800万円
(3,800万円-基礎控除3,600万円)×10%=相続税額20万円

このように、時価がそのまま相続税の課税対象額となる現金と比べて、同じ金額でも不動産として相続することで相続税を下げる効果があります。

相続税評価額について、詳しくは固定資産税路線価・相続税路線価とは?|路線価の見方・計算方法のコラム記事を参考にしてください。

賃貸物件用の土地(貸家建付地)に対する評価減制度がある

不動産として相続した場合、現金での相続よりも相続税対策として有効であることをご説明しました。さらにこの不動産が賃貸物件であれば、より相続税評価額を下げることができます。

相続税評価額5,000万円の土地があった場合、自身の居住用としてこの土地を活用している場合、相続税評価額は5,000万円のままです。

一方、この土地に賃貸用物件を建てて人に貸している場合、その土地の相続税評価額には以下のような計算式が適用されます。

自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

借地権割合とは、土地全体の権利に対して、家を建てるためにその土地を借りる権利「借地権」の割合が何%あるかを示すものです。また借家権割合とは、建物全体の権利に対しその建物を借りる権利の割合のことで、全国一律30%と定められています。
さらに賃貸割合とは、実際に入居者がいる住戸の割合のことです。満室経営の場合は100%となります。

実際にそれぞれの相続税額をシミュレーションしてみましょう。
(相続人は1人とし、基礎控除以外の軽減・控除などは加味しない)

【相続税評価額5,000万円の自用地の場合】
(5,000万円-基礎控除3,600万円)×相続税率15%-50万円=相続税額160万円

【自用地評価額5,000万円の貸家建付地の場合】
(借地権70%、借家権30%、賃貸割合100%とする)
5,000万×(1-70%×30%×100%)=相続税評価額3,950万円
(3,950万円-基礎控除3,600万円)×相続税率10%=相続税額35万円

自分が住んでいる場合と賃貸物件用に土地を活用する場合とで、相続税に大きな差が出ることが分かります。

貸家に対する評価減制度がある

土地と同様、賃貸用の建物に関しても相続税評価額を減少させる制度があります。

仮に固定資産税評価額5,000万円の建物があった場合、自身の居住用として活用した場合の相続税評価額は5,000万円のままです。
一方、この建物を賃貸物件用として活用していた場合、以下のような計算式が適用されます。

固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

それぞれの相続税額をシミュレーションしてみましょう。
(相続人は1人とし、基礎控除以外の軽減・控除などは加味しない)

【固定資産税評価額5,000万円の自宅の場合】
(5,000万円-基礎控除3,600万円)×相続税率15%-50万円=相続税額160万円

【固定資産税評価額5,000万円の貸家の場合】
(借家権割合は全国一律30%、賃貸割合100%とする)
相続税評価額=5,000万円×(1-30%×100%)=3,500万円
3,500万円-基礎控除3,600万円=相続税額0円

このように建物に関しても、自分が住んでいる場合よりも貸家として活用していた場合の方が、相続税額を減少させることができます。

不動産に関連するその他の相続税対策

その他、不動産に関連する相続対策をご紹介します。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子・孫への生前贈与について、特別控除額2,500万円までは贈与税がかからない制度のことです。2,500万円を超えた分には一律20%の贈与税が課税されます。
その後贈与者が亡くなった際、遺産の合計額に当時の贈与財産の価格を合計し、相続税額を計算しますが、支払った贈与税はこの相続税額から差し引かれます。

生前贈与することで、それ以降の賃料収入は贈与した子・孫に入ることになり、祖父母や父母の財産が蓄積し、相続財産が増加することを防ぐことが可能です。

贈与税には、年間110万円の基礎控除があるので、これを超えるだけの賃料収入があり、子や孫へ贈与したい場合に利用するとよいでしょう。
相続時精算課税制度と贈与税の基礎控除110万円は併用できません。

住宅取得等資金の贈与税非課税制度

住宅を購入する際、両親や祖父母といった直系尊属から住宅の新築・取得・増改築などの費用として贈与を受けた場合は、贈与税が一定額まで非課税になるという制度です。

非課税限度額は、契約日や住宅性能によって異なります。例えば、2020年4月1日~2021年12月31日までに契約を結んだ消費税10%の省エネ等住宅であれば、贈与税の基礎控除110万円と合わせて1,610万円まで贈与税が非課税となります。

贈与税の配偶者控除制度

配偶者に対して、居住用不動産の贈与または居住用不動産取得のための費用を贈与する場合、2,000万円まで贈与税が非課税となります。こちらも、贈与税基礎控除110万円と併用が可能。ただし、婚姻期間が20年以上必要など、一定の要件があります。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、自宅用、事業用、賃貸物件用など、適用要件を満たす宅地を相続する場合、一定の面積まで相続税評価額を減額する特例のことです。
宅地の利用区分によって、限度面積と減額割合は異なります。
例えば、被相続人の居住用宅地であれば、330m2までの土地の評価額が80%に減額されます。不動産賃貸業として使用されている土地であれば、200m2を限度に50%の評価額減額が可能です。

まとめ

相続対策として不動産を活用する方法は、非常に有効であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。まずはどのような制度があるのかをしっかりと把握し、漏れなく利用できるようにしておきましょう。
どの制度も必ず細かい要件が定められているため、利用する場合はじゅうぶん内容を確認した上で活用するようにしてください。

LIFULL HOME’Sでは、相続対策に役立てていただける各種セミナーを掲載しています。相続税対策として不動産の活用を検討されている方は、ぜひご利用ください。

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
不動産投資にまつわる新鮮な情報、トレンドを発信。
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