LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

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銀行融資でチェックされる「積算価格」とは?計算方法と収益価格との違い

購入しようとする物件価格が適正なのかどうか……気になりますよね。物件の価格を客観的に見る指標の一つに「積算価格」があります。金融機関から融資を受けるとき、積算価格を重視する金融機関も多いため、不動産投資をするにあたって積算価格を知っておくことは重要です。

そこでこの記事では、積算価格の概要と計算方法について解説します。
さらに、物件評価に使われるもう一つの指標「収益価格」についても見ていきましょう。両者の違いと計算方法を理解し、物件選びに役立ててください。

積算価格とは

積算価格とは、土地・建物それぞれの現在の価格を計算し、その2つを合計した評価額のことです。
物件そのものの状態から計算された物件価値を表したものなので、購入しようとする物件の売買価格と比較することで、その価格が適正かどうか判断する材料になります。

積算価格の計算方法

積算価格は、以下のような計算式で計算します。

積算価格=土地の価格+建物の価格

まずは土地・建物それぞれの価格を算出する必要がありますので、一つずつ見ていきましょう。

例として以下のような物件の購入を検討していると想定し、算出していきます。

築年数8年
構造木造物件
延べ床面積120m2
土地面積130m2
路線価22万円/m2
月間想定家賃収入(満室時)25万円
想定還元利回り5.5%
年間経費60万円
実際の売買価格4,480万円

建物の積算価格の計算方法

建物の積算価格は次のように計算します。

建物の積算価格=再調達価格×延べ床面積×残耐用年数÷法定耐用年数

再調達価格とは?

再調達価格とは、同等の建物を新しく建てた場合にかかる価格のことです。この金額は、国税庁「建物の標準的な建築価額表」を参考にすることができます。

<再調達価格(建築価額)の目安(国税庁2018年のデータ)>

鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)約30.4万円/m2
鉄筋コンクリート(RC造)約26.3万円/m2
鉄骨(S造)約21.4万円/m2
軽量鉄骨約16.8万円/m2
木造約16.8万円/m2

法定耐用年数とは?

建物の使用可能期間のことで、建物の構造によって法的に決まっています。

鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)47年
鉄筋コンクリート(RC造)47年
鉄骨(S造)34年
軽量鉄骨厚さ3mm超4mm未満27年
軽量鉄骨厚さ3mm以下19年
木造22年

残耐用年数とは?

法定耐用年数から築年数を引いたものが残耐用年数です。
築15年のSRC造であれば、残耐用年数は47-15=32年となります。

建物の積算価格計算シミュレーション

では先ほど例にあげた物件をもとに、建物の積算価格をシミュレーションしてみましょう。

【例:築年数8年、延べ床面積120m2の木造物件】

① 再調達価格
木造の再調達価格の目安は約16.8万円/m2
② 残耐用年数
木造の法定耐用年数は22年なので、
22年-8年=14年
③ ①、②をもとに積算価格を計算
積算価格=再調達価格16.8万円/m2×延べ床面積120m2×残耐用年数14年÷木造の法定耐用年数22年=約1,280万円

仮に築年数2年の、計算例より新しい物件の場合だと、
16.8万円/m2×延べ床面積120m2×残耐用年数20年÷木造の耐用年数22年=積算価格約1,830万円となります。
築年数が新しければ積算価格は上がる、つまり物件価値が高いと評価される仕組みです。

土地の積算価格の計算方法

土地価格を計算するには、以下のいずれかの価格を使用します。
・公示価格
・相続税路線価
・固定資産税評価額
・基準地価

それぞれの価格の意味や路線価の見方、計算方法などについて、詳しくは固定資産税路線価・相続税路線価とは?|路線価の見方・計算方法の記事へ。

シミュレーション上の土地は、面積130m2、路線価22万円/m2なので、

土地の積算価格=面積130m2×路線価22万円/m2=2,860万円

です。

つまり例にあげた物件の積算価格は、

物件の積算価格=建物の積算価格1,280万円+土地の積算価格2,860万円=4,140万円

となります。

なお土地の形状によって、算出した積算価格に修正額を加えるケースもあります。角地などの場合は増額、公道に接する部分が少ない旗竿地などは減額などの補正が加わります。

収益価格とは

積算価格の他に、物件の適正価格を判断するもう一つの指標が「収益価格」です。
収益価格とは、購入した不動産が将来生み出すと考えられる1年間の純利益から不動産の価値を算出する方法です。その不動産の年間利益をふまえて、購入する物件の価格が妥当かどうかを判断する材料となります。

収益価格の計算方法

収益価格の計算には「直接還元法」と「DCF法」がありますが、この記事ではより簡易的に計算できる直接還元法についてご説明します。
直接還元法による収益価格の計算式は以下の通りです。

収益価格=1年間の純利益÷還元利回り

収益が高ければ収益価格は上昇する仕組みになっており、物件の価値も高いと判断できます。

1年間の純利益の求め方

1年間の純利益を求める計算式は、以下の通りです。

1年間の純利益=家賃などの年間総収入-年間経費

年間の家賃収入から、管理費や固定資産税、保険料、修繕費などの経費を差し引いた金額を表しています。

還元利回りの求め方

還元利回りとは、その物件の将来の収益性を表した年間の利益率のことです。購入しようとする不動産と条件が類似している物件の情報を集め、以下の計算式に当てはめて算出します。

還元利回り(%)=(1年間の想定家賃収入-想定年間経費)÷不動産価格×100

【還元利回りの計算例】
想定家賃収入25万円/月、想定年間諸経費60万円、不動産価格4,480万円の場合

還元利回り=(25万円×12ヶ月-60万円)÷4,480万円×100=約5.4%

このように経費を差し引いて算出される還元利回りは、実質利回りと計算方法がほぼ同じになります。ただし還元利回りの場合、周辺物件や類似物件などを参考にした想定値であるため、100%正確な割合を出すことは難しいでしょう。

収益価格の計算シミュレーション

これらをふまえて収益価格を計算してみましょう。

【収益価格の計算例】
先ほど積算価格をシミュレーションした物件と同じ物件を想定し、計算してみましょう。想定家賃収入25万円/月、想定年間経費60万円、想定還元利回り5.5%なので、

収益価格=(25万円×12ヶ月-60万円)÷5.5%=約4,360万円

となります。

今回のシミュレーションでは、例にあげた不動産の実際の売買価格4,480万円に対し、積算価格は4,140万円、収益価格は4,360万円となりました。

積算価格と収益価格の違い

先述の通り、積算価格は物件そのものの価値を表したものであるため、金融機関が融資審査をする際、物件の担保価値を評価するために使用するケースが多いです。また積算価格は公示地価や路線価をもとに計算されるため、同じ物件の積算価格が急激に上下することは考えにくいでしょう。

一方収益価格は、対象物件から得られる収益に着目して算出した評価額です。不動産投資をするにあたり、収益性から見てその物件価格が妥当かどうかを判断するために使われます。
物件の収益性は運用によって変わるため、積算価格よりも収益価格の方が変動の可能性が高いです。

どちらも物件価格の適正具合を判断するための価格ですが、使用目的が違うといえるでしょう。
ただし物件購入においては、融資を受けることが一般的です。つまり不動産投資をするにあたっては、両方の価格を知っておくことが大切だといえます。

融資では積算価格と収益価格どちらが使われる?

融資審査をする際、積算価格と収益価格のどちらを使用するかは、金融機関によってさまざまです。積算価格と収益価格両方で評価をする金融機関もあります。

しかし収益価格は運用によって上下するものなので、依然として積算価格を重視する金融機関が多いようです。融資審査を有利に進めるという点では、やはり積算価格が出る物件かどうかという視点が大事になるでしょう。

融資上限額の目安

融資上限額を物件評価額の何%と設定しているかは、金融機関によって、また契約者の属性や賃貸経営の実績によっても異なります。
ただし近年の傾向としてフルローンで融資を受けることは難しく、一部の金融機関は「融資額の上限は担保評価額の70~80%」と明言しています。つまり融資上限額は、積算価格の7~8割程度が目安ということです。

仮に1億円の物件で限りなく1億円に近い積算価格であれば、7,000~8,000万円の融資を受けられることになります。しかし物件価格が1億円であっても、積算価格が8,000万円であれば6,000万円前後しか融資を受けることができません。

想定よりも融資額が下りなかった……という事態にならないよう、事前にしっかり積算価格を見積もっておくことが重要です。

積算価格が高い=いい物件?

気を付けなければならないのは「積算価格が高い物件=いい物件」ではないケースがあることです。

例えば高額な建築費用がかかっているものの、商業施設から遠く離れていたり、公共交通機関の利便性が悪かったりするなど、立地としては賃貸需要が低い物件の場合です。
SRC造など高額な建築費用がかかっている物件では、積算価格が高くなりがちです。にもかかわらず賃貸需要が低いような物件の場合、実際の物件価格を積算価格が上回ることがあります。
積算価格が高ければ、もしかしたらフルローンに近い形で融資が下りる可能性もあるでしょう。

しかし賃貸需要が低ければ、どんなに立派な建物でも収益が見込めません。フルローンに近い大きな融資額でローンを組んだものの、思うように収益が上がらず赤字経営……というリスクが高まるでしょう。

先ほど、融資を有利に進めるためには積算価格が重要とご説明しました。しかし不動産投資で大切なのは、やはりその物件がどれだけ利益を上げてくれるかという点です。積算価格が高いから、銀行の評価が高いからいい物件とは限りません。積算価格だけでなく、自身で物件の収益性を見極める必要があるでしょう。

まとめ

同じ一つの不動産であっても、その価値・価格を示す方法はたくさんあります。物件を選ぶ際にはさまざまな角度から物件価値を調査し、検討しなければなりません。もしその価格に差がある場合は、その理由をきちんと把握しておくことも重要です。

積算価格を重視している金融機関は多いですが、融資を多く受けられるからという基準で積算価格ばかりを重視するのはお勧めできません。物件の収益性を測る収益価格や、実際に物件価格に反映されているさまざまな事情などを考えた物件選びを心がけましょう。

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
不動産投資にまつわる新鮮な情報、トレンドを発信。
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