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サブリース解約はできないのか?契約解除の方法・注意点

サブリース会社が物件を一括借り上げし、入居者に転貸するサブリース契約。空室が発生しても家賃が保証される一方、年数経過とともに設定家賃が減額されるケースが多く「解約したい……」と考えるオーナーもいるでしょう。これから導入を検討する方も、解約の可否が気になるのではないでしょうか。

サブリース契約は借地借家法の規制を受けるため、オーナー側からの解約は難しいものの、絶対に解約できないというわけではありません。解約の正当事由が生じた場合やサブリース会社との合意が得られた場合には、解約できるものです。

そこで今回は、サブリースの解約方法と、解約に伴う注意点について解説します。

サブリース契約そのものについての基礎知識を知りたい方は、以下の記事をぜひ参考にしてください。
サブリース契約のその前に!トラブルに遭わないための5つのチェックポイント
サブリースは本当に悪者か? ~賃貸住宅管理適正化法と知られていないサブリースの効用~

サブリース解約で得られるメリット

まずは、サブリース契約を解約してオーナー自身が入居者に物件を貸し出す一般の管理形態へ変更した場合、どのようなメリットが得られるのかを見ていきましょう。

収益を伸ばせる可能性がある

サブリース契約の場合、サブリース会社の借り上げ率は80~90%程度が一般的です。これを一般的な委託管理に変更した場合、管理会社への委託手数料は平均5%前後に抑えることができます。

また、サブリース契約ではオーナーが家賃決定を行うことはできませんが、一般管理では自由に決めることが可能です。サブリース会社が得ていた礼金・更新料もオーナーに入るようになります。

運営方法によっては、サブリースを利用していたときよりも、収益を伸ばせる可能性があるでしょう。

売却がしやすくなる

サブリース契約には、賃料引き下げによる家賃収入減少のリスクがあります。また、物件の運営についてはオーナーの権限が及びません。先述の通り、収益は通常の家賃設定の80~90%程度であるため、収益性から算出される売買価格も低くなりがちです。

このような要因から、サブリース付きの物件は投資家から敬遠される傾向にあります。売却の際には、サブリース契約を解除した方が、サブリース付きでの売却よりも高く売れる可能性があるでしょう。

ただし、サブリースを解約しても入居者はそのまま引き継ぐため、オーナーチェンジ物件としての売却になります。現入居者の退去を希望する場合には、別途交渉や立退料が必要でしょう。

サブリースの解約が難しい理由とは

サブリース契約は、サブリース会社を借主とする賃貸借契約のため、借地借家法により借主側が大きく保護されます。原則オーナー都合での解約はできず、解約を相当とするための正当事由が必要です。

サブリース契約では、契約書に解約条項が設けられていることもあります。その場合、所定の手順に沿ってスムーズに解約できることもあるでしょう。
しかしサブリース会社によっては、借地借家法を根拠に契約解除を拒否し、トラブルとなるケースも見られます。契約上解約条項が定められていても、解約には正当事由を必要とする借地借家法が優先されるからです。

サブリースは、ただサブリース会社へ「解約したい」と申し入れるだけでは、解約が困難なケースが多いことを覚えておきましょう。一方、借主であるサブリース会社側には途中解約の権利が法的に認められており、一方的に解約することができます。

サブリース解約に必要な正当事由

サブリース解約の要件として認められる正当事由には、以下のようなものがあります。

・自身の居住など、オーナーが建物を使用する必要が生じた場合
・建物の老朽化により建て替えの必要性が生じている場合
・ローン返済が困難で、生計維持のために売却が必要な場合

ただし、正当事由の内容について法律上明確に定められているわけではありません。仮に裁判に持ち込んだ場合、借主と貸主の状況などを踏まえ、個々の事案ごとに判断されます。つまり上記のような正当事由であっても、正当事由が肯定される事案と、否定される事案があるのです。

サブリース解約にてこずっているケースでは、弁護士や事情に詳しい不動産会社など、専門家のサポートが必要になるでしょう。

一方、サブリース会社の家賃不払いが続く場合などは、債務不履行・契約違反としてオーナーからの一方的な通知で契約解除することが原則可能です。

サブリース解約に伴うリスク・注意点

サブリースの解約はメリットばかりではありません。解約に伴うコスト面のリスクが生じる可能性もあります。解約前に正しく把握しておきましょう。

違約金・立退料の発生

サブリース契約の解約条項には、違約金が設定されることがあります。違約金は賃料の数ヶ月分とされ、サブリース会社によってさまざまです。

さらに、正当事由が認められない場合やサブリース会社が応じない場合、立退料を上乗せして支払い、サブリース会社との賃貸借契約を解消するケースもあります。もしくは、正当事由として認められるものの、立退料で補完しなければならないことも。

過去の裁判の判例において、正当事由の否定・肯定、立退料の有無は、個々の事案によって異なりますが、いずれにしても大きな費用がかかる可能性があるでしょう。

なお、サブリース契約は1つではない例もあります。例えば、サブリースと賃貸管理を別々に契約しているケースや、サブリース会社が別のサブリース会社に二重に転貸しているケースです。このような場合、それぞれの契約を解約し、それぞれに違約金を支払わなければならない可能性があるでしょう。

なお、2020年12月よりサブリース新法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)が施行され、契約時の重要事項説明が義務化されました。メリットのみを強調し、家賃下落リスクやサブリース会社側からの途中解約の可能性があることなどを適切に説明しないことを禁止する法律です。
契約時にサブリース会社がこうした説明義務を怠ったり、異なる説明を行ったりしたことを理由に解約を求める場合には、立退料の算定においてオーナーに有利となる可能性があります。

新たな修繕コストの発生

サブリース中は、サブリース会社が建物のメンテナンスを行うのが一般的です。適切な管理が行われていた場合は問題ありませんが、管理を怠っていた場合は、不具合が放置されている可能性もあります。
その場合、オーナー自身で必要な修繕を行わなければなりません。修繕費や清掃費など、新たなコストがかかる可能性があるでしょう。

家賃収入が低下するケースも

サブリース契約では、入居状況にかかわらず、一定の家賃収入が得られます。そのため、実際の入居率が低い場合には、解約後の家賃収入がサブリース賃料を下回る可能性があります。
新たな入居者を募集するにも、家賃を値下げしなければならないかもしれません。

サブリース解約で収益改善につながるケースと、そうでないケースがあることを知っておきましょう。

サブリース解約手続きの手順・流れ

サブリース契約を解約するには、所定の流れで行う必要があります。解約の手順を確認しておきましょう。

なお、解約手続きに関するやり取りは、後から事実確認が行えるよう、口頭ではなく書面やメールを用いて行います。

(1)契約書の解約条項を確認する

まず、サブリース契約書の解約条項を確認しましょう。
解約条項が定められている場合、解約申し出の期限や解約に伴う違約金などが記載されていることが一般的です。特に、解約予告期限は解約日の設定に関わりますので注意しましょう。

(2)解約をサブリース会社に通知する

サブリース会社に、解約の通知を行います。必ず書面で解約通知書を作成しましょう。解約通知書に規定のフォーマットはありませんが、以下の内容の記載が必要です。

・相手のサブリース会社の名称
・契約書第〇条に基づく解約通知であること
・対象となる物件
・契約期間・契約終了予定日
・賃貸人の住所・氏名・捺印
・解約通知日 

なお、解約通知書は不着などのトラブルを避けるため、内容証明郵便での送付がお勧めです。

公益社団法人 全日本不動産協会が「貸室賃貸借契約(サブリース)終了についての通知」の雛型を載せています。ぜひ参考にしてください。

(3)解約同意が得られれば解約

サブリース会社に解約通知書の到着を確認し、解約同意が得られれば契約終了期日をもってサブリース契約は終了となります。
違約金があれば、支払い方法などを打ち合わせ、期日までに支払いましょう。

(4)解約拒否の場合は立ち退き交渉を行う

サブリースの契約書に解約条項がない場合や、サブリース会社が契約解除に応じない場合には、立ち退き交渉を行って契約解除を目指します。
この場合、専門的な知識が必要になることが多いため、弁護士や不動産に詳しい専門家などのサポートが必要となるでしょう。早めに相談を行うことをお勧めします。

サブリース解約後に必要な手続き

サブリース解約後は、オーナーが建物や入居者の管理を行う必要があります。解約に伴い必要になる手続きについても理解しておきましょう。

管理会社との契約

サブリースを解約した後、物件をどう管理するかを決めておく必要があります。
自主管理を行う予定であれば、そのまま管理業務を引き継げば問題ありません。管理を委託する場合には、新たに管理会社と契約を結ぶ必要があります。管理会社の選定・契約を行いましょう。

入居者との賃貸借契約の締結

サブリース契約では、オーナーはサブリース会社と賃貸借契約を結んでおり、入居者はサブリース会社と賃貸借契約を結んでいる形になります。つまり、オーナーは入居者に関与していないわけです。
そのため、サブリース解約後はオーナーと入居者で賃貸借契約を結び直すことが必要になります。

同時に、入居者の属性、連帯保証人、家賃滞納の有無など、入居者についてしっかり把握しておきましょう。

建物の状況を把握する

先述の通り、サブリース会社によっては適切な管理がなされていない場合があります。破損している設備がないか、清掃が行き届いているかなどをよく確認し、必要に応じて修繕・クリーニングを実施しましょう。

まとめ

サブリースの解約には、借地借家法に基づき原則としてオーナー側に正当事由が求められます。法的に解約通知期限も定められているため、即座に解約できるわけではありません。違約金などの費用がかかるケースも多いです。
サブリースの解約は計画的に進めていく必要があるでしょう。

サブリース会社によっては、解約拒否などに遭い、解約に手間取るケースも見られます。
スムーズに解約できない場合には、サブリースに詳しい専門家のサポートを受けながら進める必要があるでしょう。

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
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