LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

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退職金なしの会社は違法? 退職金なしだったら老後はどうする?

少子高齢化が進み、老後の年金不安を持つ方が多い日本。企業に勤める正社員の方にとっては、老後資金として退職金をあてにしている方も多いのではないでしょうか?
しかし中には退職金制度を設けていない会社もあります。ご自身の勤務先の就業規則を確認したことはありますか?
退職金なしの会社はどのくらいあるのか、退職金がない場合老後の生活はどうなるのかなど、行政のデータから退職金の実情を見てみましょう。退職金なしの企業にお勤めの正社員の方におすすめの資産運用についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

退職金なしの会社は違法ではない

実は会社に退職金制度が導入されていない場合でも、それは違法ではありません。
健康保険・厚生年金のような、会社が従業員に必ず提供しなければならないと法律で定められているものを「法定福利厚生」といいます。
一方、退職金制度は「法定外福利厚生」です。会社が独自で定めるものであり、なくても違法ではありません。

退職金制度、退職金の相場・平均値については以下の記事を参考にしてください。
退職金の相場・平均額はいくら? 学歴・退職理由・勤続年数・企業規模別に解説
退職金制度とは? 退職金の種類・相場・税金・運用のポイント

退職金なしの会社はどのくらいあるのか?

では、退職金制度が設けられていない会社はどのくらいあるのか、行政が公表するデータを見ていきましょう。

【企業規模別】退職金制度導入率

まずは従業員数別に退職金制度を設けている会社の割合を見ていきましょう。

企業規模(従業員数)退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合
平成30年調査対象企業合計80.5%
1,000人以上92.3%
300~999人91.8%
100~299人84.9%
30~99人77.6%

参考元:厚生労働省 平成30年就労条件総合調査「退職給付(一時金・年金)の支給実態」

全体としてみると、20%弱の会社において退職金制度がないという結果でした。また企業規模が小さくなるほど退職金制度を設けていない企業の割合が増える傾向にあります。
このデータには30人より少ない企業のデータが反映されていません。そのため、より小規模な会社を含めると退職金制度のない企業割合はさらに増えるのではないでしょうか。

【業種別】退職金制度導入率

次に、業種別に退職金制度を導入している会社の割合を見ていきます。

業種退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合
鉱業・採石業・砂利採取業92.3%
建設業87.5%
製造業88.4%
電気・ガス・熱供給・水道業92.2%
情報通信業86.1%
運輸業・郵便業71.3%
卸売業・小売業78.1%
金融業・保険業88.6%
不動産業・物品賃貸業81.5%
学術研究、専門・技術サービス業86.8%
宿泊業・飲食サービス業59.7%
生活関連サービス業・娯楽業65.3%
教育・学習支援業86.5%
医療・福祉87.3%
複合サービス事業96.1%
サービス業(他に分類されないもの)68.6%

参考元:厚生労働省 平成30年就労条件総合調査「退職給付(一時金・年金)の支給実態」

宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業において、退職金制度の導入率が比較的低い結果が出ています。業種によっても退職金制度の有無は左右されるようです。

IT企業やベンチャー企業は退職金なしが多い傾向

企業規模や業種による違いのほか、IT企業やベンチャー企業で退職金制度のない会社が多い傾向があります。その理由を解説しましょう。

【理由①】
人材の流動性が高い(短期で転職する人が多い)ため、長期勤続を促す目的を持つ退職金制度の必要性がない
→退職金制度が必ずしも社員にとって魅力とはならず、人材確保の効果が薄い
【理由②】
退職金がない分、毎月の給与を多めに設定することで社員に還元している
→退職金制度を設けるより求職者・社員にとって魅力であり、人材確保につながる
【理由③】
退職金制度でなくストックオプション制度を導入している
→ストックオプションとは、従業員が定められた期間に定められた価格で自社株を買うことができる権利のこと。株価が上昇した際にその権利を行使することで、定められた価格と株価上昇分の差額を利益として受け取ることが可能。今後の株価急上昇が見込めるIT系ベンチャー企業などに多い。
【理由④】
創業間もないベンチャー企業の場合、体制が整っていない
【理由⑤】
企業の資金が足りず、退職金制度を導入できない

勤務先や転職先がIT企業・ベンチャー企業の場合は、就業規則をよく確認しておくとよいでしょう。

勤続年数によって退職金が出ないケースも

退職金の支給に必要な最低勤続年数を設定している企業が多いです。退職金制度のある会社であっても、勤続年数が短い場合退職金が支給されないことがあります。
以下の厚生労働省のデータを見ると、1年以上もしくは3年以上の勤続年数を必要とする企業が多いようです。こちらも就業規則をよく確認しておきましょう。

参考:厚生労働省「退職手当の需給に必要な所要年数」

退職金なしの場合、老後はどうなる?

勤め先が退職金なしだった場合、老後はどうなるのでしょうか? 想定される老後の収入・支出と、必要資金を見ていきましょう。

老後の収入・支出の目安

夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみ無職世帯における収支の平均的なケースを見てみましょう。

参考:総務省「家計調査報告 家計収支編」(2019年)

老後の実収入が消費支出をカバーしきれていないことが分かります。不足額は月33,269円。年金などの社会保障給付だけでは、安心して老後の生活を送れないということです。

退職金なしの場合、老後に必要な資金は2,000万円

上記の図のとおり、老後は毎月33,269円分の不足が生じるというデータが出ています。
60歳で年金受給を開始し、以降30年間生きると仮定すると、
33,269円×12ヶ月×30年間=約1,198万円
おおよそ1,200万円分の資産が必要です。
さらにゆとりある老後を送るために生活費を上乗せしようとすると、2,000万円程度の資金があるとなお安心といえるでしょう。

個人的に老後のための資産を準備することが必要

老後資金の不足分2,000万円は、退職金で補うことを想定している人が多いと思います。しかし退職金が出ない会社に勤めている場合、自分でこの資金を準備しなければなりません。
毎月の給与所得が高いのであれば、そこから計画的に貯蓄する、個人的に資産を運用して老後の収入を確保するなどの準備が必要です。

退職金がない会社にお勤めの方におすすめしたい資産運用

退職金なしの会社にお勤めの方は、老後資金の調達方法を検討し、計画的に資産を準備することが必要です。
計画的に預貯金を増やすという方法もありますが、金利の低い銀行口座へ資金を眠らせておくよりも効果的に資産を増やす方法があります。いくつかご紹介しましょう。

貯蓄型保険

毎月の保険料が積み立てられていく貯蓄型の保険のことを「貯蓄型保険」といいます。掛け捨てとは違って解約返戻金・満期保険金が戻ってくるのが特徴で、万が一の際の補償+貯蓄が可能な金融商品です。
老後に備えるものとしては、貯蓄型終身保険(死亡保険)や介護保険、養老保険などがあります。

掛け捨てより保険料が高くなるデメリットがありますが、払込期間を過ぎても解約せずに継続することで解約返戻率が100%を超え、支払った保険料を上回るのが一般的です。

個人年金保険

個人年金保険は貯蓄型保険の一部で、老後の年金を自分で準備する私的年金の1つです。
毎月保険料を積み立てていき、一定の年齢になったら年金形式(分割)で保険金が受け取れる仕組みになっています。
一定の年齢に達する前に亡くなった場合は、支払った保険料相当の死亡給付金を受け取ることが可能です。

iDeCo

iDeCoは国が主導する個人型確定拠出年金のことです。自分で設定した掛け金で自分が選んだ金融商品を運用し、その掛け金+運用益を老後に年金形式で受け取ることができます。
掛け金の全額所得税控除、運用益の非課税など、税制優遇があることが大きなメリットでしょう。ただし、60歳まで原則引き出しできないことや、会社員の場合勤め先で加入している企業型年金によって掛け金の上限額が変わることに注意してください。

iDeCoについて詳しくは以下の記事を参考にしてください。
iDeCo(イデコ)とは?メリット・デメリットやおすすめの運用方法
iDeCo(イデコ)の基礎知識。何がメリット?誰にメリット?iDeCo(個人型確定拠出年金) Vol.1
個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)の手数料等と運用開始までのステップ iDeCoVol.2

つみたてNISA

つみたてNISAの正式名称は「少額投資非課税制度」。一定の投資枠に対する運用益が非課税となる、国が主導する税制優遇措置です。iDeCoと違う点として、いつでも引き出しが可能なこと、掛け金に所得税控除が適用できないことなどが挙げられます。
つみたてNISAの場合、金融庁が定めた条件をクリアした比較的ローリスクな商品を運用できるため、投資初心者におすすめです。

NISAについて詳しくは以下の記事を参考にしてください。
NISA(ニーサ)とつみたてNISA(ニーサ)の違いを分かりやすく解説

株式投資信託・株式ETF

株式投資と聞くと、リスクが高く怖いと思う方が多いかもしれません。しかし株式投資信託や株式ETF(上場投資信託)の運用であれば、複数の株式を組み合わせているため分散投資ができ、比較的リスクを抑えることができます。
さらに積み立て式の投資信託や定期買い付けのETFであれば購入時期の分散もでき、さらにリスクを抑えた投資が可能です。
あくまで老後資金のための長期投資として取組めば、できるだけリスクを押さえつつ資産運用ができるでしょう。

株式投資について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
~不動産投資と株式投資の違いを徹底比較!利回り・リスク・流動性など
高配当が魅力の米国株~メリット・買い方・投資におすすめの人とは~

不動産投資

不動産投資は、現物の不動産を購入してオーナーとなり、入居者に賃貸することで家賃収入を得る投資手法です。
さまざまな投資手法の中でも、ローンを利用できることが不動産投資の大きな特徴であり、少ない自己資金でも始めることができます。また、不動産投資は会社員や公務員の副業として認められるケースが多く、管理を委託すれば経営の手間もかからないため、副業として向いています。経済変動やインフレの影響を受けにくい現物資産であることも魅力でしょう。

不動産投資について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
不動産投資入門者のための基礎知識~5つのリスクと初心者お勧め物件~
会社員の副業は不動産投資で決まり!?副業で取り組むメリット4つとは?

まとめ

一つの会社に定年まで長く勤める以前のスタイルは、近年少しずつ変化しています。退職金にこだわらず、自身のキャリアや給与で勤務先を選ぶ人も多いでしょう。
退職金がない会社だからといって、必ずしも従業員に不利になるとは限りません。その分、ほかの福利厚生が充実していたり給与が高く設定されていたりする場合もあります。退職金の有無だけでなく、さまざまな面から多角的に判断するとよいでしょう。
なおかつ長期目線での資産運用をしながら、豊かな老後生活を見据えて準備しておくのがおすすめです。

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
不動産投資にまつわる新鮮な情報、トレンドを発信。
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