LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

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LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

年々利回りが上がる!? 軍用地投資入門~メリット・デメリット・始め方~

不動産投資の中でも手堅い手法とされ注目を集めているのが、米軍や自衛隊が使用する土地に投資する軍用地投資です。米軍基地の多い沖縄では一般的な不動産投資ですが、沖縄在住以外の方にはなじみのない手法かもしれません。

そこで今回は、軍用地投資の仕組みや利回り、メリット・デメリットについて解説します。併せて投資物件の購入方法・選び方についても紹介していますので、軍用地投資をお考えの方はぜひ参考にしてください。

軍用地投資とは

軍用地投資とは、米軍や自衛隊の基地が使用している土地(軍用地)を購入し、借地料(軍用地料)や売却益を得る投資手法です。軍用地の多い沖縄では、ごく一般的な不動産投資手法といえます。「基地の土地が買えるの……?」と疑問に思う方へ、まず軍用地投資の仕組みについて簡単に説明しましょう。

軍用地投資の仕組み

軍用地には、元々日本軍が使用していた国有地のほか、国が土地の所有者から強制的に借り上げて借地料を払って使用している私有地があります。

沖縄では、第二次世界大戦後に米軍が強制的に土地を接収して基地を建設したため、本土に比べて軍用地における私有地の割合が高いことが特徴です。

沖縄返還にあたりそれらの土地も返還されることになりましたが、軍用地については国が借り上げて所有者に地代を支払い、米軍へ提供あるいは自衛隊が使用することになりました。

とりわけ都市圏である本島中南部では、当該市町村面積の2割以上を米軍基地が占めており、そのうちの9割弱が民有地です。これらの民有地が、借地権のついた底地として取引されています。

軍用地の価格の決まり方

軍用地の販売価格は、一般の土地のように「坪単価×面積」ではなく、

年間借地料(土地面積×借地料単価)×倍率

で決まります。例えば、1m2あたり年間借地料単価が1,500円の軍用地200m2の倍率が30倍である場合、その軍用地の販売価格は

1,500円/m2×200m2×30=900万円

です。

軍用地の倍率は、施設や立地、需要に応じて変動します。一般的に、土地が返還される可能性が低い=長期に渡り借地料を得られる土地は人気が高く、倍率が高くなる仕組みです。
しかし、返還予定地でも跡地利用が計画され地価の上昇が期待できる土地は、倍率が高くなる傾向が見られます。

なお、軍用地投資が注目されるに従って倍率は全体的に上昇しており、返還リスクの低い軍用地の倍率は60倍を超えることも珍しくありません。

年々上がり続ける軍用地投資の利回り

借地料の根拠となる借地単価は、毎年国と沖縄県軍用地等地主会連合会(土地連)との交渉で決まります。
実はこの借地料、総額の推移を見ると過去30年以上一度も値下がりしていません。むしろ、過去30年以上にわたって値上がりし続けています。近年の年間借地料上昇率は1%程度です。

これは、沖縄県内各地の地価上昇に比べて軍用地の借地料が低すぎることや、米軍関連の事故などを根拠に、土地連が国に対し借地料の見直し交渉を行っていることによるものです。
年数経過とともに自動的に収益が増え利回りが上昇することは、一般の賃貸経営にはない特徴といえるでしょう。

なお、2032年には国と軍用地所有者の賃貸借契約が更新時期を迎えるため、さらに借地料が上がる可能性も期待されています。

軍用地投資のメリット

軍用地投資は、一般に言われる不動産投資のリスク要素が少ないことが特徴です。軍用地ならではのメリットについて詳しく見ていきましょう。

安定した賃料が得られる

軍用地投資には、賃貸経営のリスクとして挙げられる空室リスクや家賃低下リスクがありません。

軍用地は、返還対象とならない限り借地料を得続けることができます。貸出先が国ですので、賃料の滞納や未払いのリスクも考えにくいでしょう。
また、賃貸経営では建物の老朽化によって家賃を下げざるを得ないケースが多いですが、軍用地投資は地代収入ですので老朽化とは無縁です。

ローンが組みやすい

先述の通り、軍用地投資には安定的かつ確実な借地料収入が見込まれることから、金融機関からの担保評価が高い傾向にあります。沖縄県内の銀行には「軍用地ローン」といった商品もあり、比較的ローンが組みやすいといえるでしょう。
ただし、県外在住の投資家に対しても融資してくれる金融機関は限られますので、事前に確認する必要があります。

失敗を招く外的リスク要因が少ない

不動産投資で無視できない自然災害リスクも、軍用地では考える必要がありません。災害が起こったとしても、基地内は米軍や自衛隊が管理しているため、自身で対処するからです。
また、返還されない限り賃貸借契約は続くため、災害の影響で土地運用が難しくなることもありません。

経済変動リスクについても、軍用地投資はほとんど影響を受けないと考えられています。なぜなら、不景気による退去は起こりえないからです。考えられる影響としては、売却時に若干の倍率低下の可能性があることでしょう。

手間がかからない

軍用地は、賃貸経営で通常必要になる物件管理は一切不要です。
物件購入時も現地を内覧できるわけではないため、登記簿謄本や公図、航空写真などの資料を基に検討することが一般的で、投資にほとんど手間がかかりません。
毎年の固定資産税や、軍用地主会に加入した場合の会費を支払う程度でしょう。

固定資産税・相続税を節税できる

軍用地は通常の事業用地よりも固定資産税評価額が低くなるため、固定資産税を低く抑えることができます。さらに、借地権が付いているため相続税評価額は40%減となり、相続税を大きく圧縮することが可能です。

比較的換金性が高い

不動産投資は、不動産の需要によって物件の売却・換金に時間を要することがあります。
しかし、軍用地は安定した収益が得られることから、高い需要が見られます。必要に応じて分筆も可能ですので、一般の収益物件と比較すると換金性は有利といえるでしょう。

軍用地投資のデメリット・リスク

軍用地投資は、不動産投資の中でもリスクが少ない投資であることを見てきました。しかし、軍用地特有の注意したいリスクもありますので理解しておきましょう。

返還リスクがある

軍用地は日本が米軍に貸しているものが中心であるため、米軍基地が縮小や撤退となれば土地は返還されます。借地料の保証として給付金が支給されるのは、返還後3年間までです。それ以降は借地料を得ることはできません。

返還後の軍用地は、用地種別や環境によってその価値は大きく変わります。
返還後は跡地利用計画に基づいて区画整理が行われるのが一般的です。中には開発事業により土地の価値が上昇し、購入時よりも高い価格が付く土地もあります。
一方、傾斜地など利用が困難な土地の場合は、返還されても跡地利用や売却が難しいケースもあるでしょう。

利回り自体は賃貸経営より低い

施設や場所によりますが、軍用地投資の利回りは2~3%前後であることが多いです。東京都および主な政令指定都市の一棟賃貸住宅の期待利回りが5%前後(※)である賃貸経営と比べると、短期的には大きな収益を見込めません。

さらに、先述の通り沖縄県外在住者はローンの利用も限られるため、現金購入しなければならないケースもあるでしょう。

(※一般財団法人 日本不動産研究所 「第44回 不動産投資家調査」(2021年4月現在)参照)

軍用地投資の始め方

では、軍用地投資はどのように始めたらよいのでしょうか。物件の購入方法や物件の選び方について見ていきましょう。

軍用地の購入方法

軍用地は一般の不動産同様、誰でも購入可能です。一般の不動産会社はもちろん、軍用地を専門に扱う不動産会社で取引されています。

購入手続きも、一般的な土地購入の流れと変わりません。ただし、基本的に現地確認を行うことができないため、地図や物件概要・登記簿などを確認した上で購入することになります。

軍用地物件の選び方

軍用地を選ぶときには、まず投資の期間や目的をある程度定めておきましょう。

資産として長期的に運用するなら、返還の可能性が低い施設がお勧めです。返還されない限り、借地料を受け取り続けることができます。
一方、一定期間運用後に売却を考えるのであれば、人気の高い施設など倍率の上昇が見込まれる土地を選ぶとよいでしょう。返還後の開発予定がすでに決まっているなど、条件のよい返還予定地を選ぶことも一つの方法です。

販売物件を選ぶ際には、土地の種別も確認しておきましょう。借地料が高いのは宅地ですが、宅地見込地の方が借地料の上昇率が高くなっています。購入時点での借地料は安くても、上昇率が高い物件を購入した方が、将来的に得られる借地料収入が大きくなるケースもあるかもしれません。
土地の種別だけにとらわれず、過去の借地料上昇率を参考に将来の収益をシミュレーションしながら、よりよい選択をしましょう。

なお、軍用地の中には施設のフェンス外で実際には軍が使用しておらず、地主が畑などに使用している土地(黙認耕作地)があります。これらは施設使用されている土地に比べて、返還リスクが高くなることを覚えておきましょう。

まとめ

軍用地投資は、一般の賃貸経営より利回りは低くなりますが、返還されない限り安定的に借地料が得られます。不動産投資のリスク要因が少なく、借地料が継続的に上昇しているなど、手堅い運用が可能でしょう。

沖縄県の物件には、軍用地のような個性的な投資物件が掲載されている場合もあります。収益物件を探す際には、ぜひ参考にしてください。
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【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
不動産投資にまつわる新鮮な情報、トレンドを発信。
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