貯金の大切さをわかっていても、長くコツコツ続けることは簡単ではありません。貯金に対するモチベーションが上がらない人は、まずは明確な目的と目標貯金額を定めましょう。
人生には、結婚、マイホーム購入、老後など大きな資金が必要になるタイミングがあります。目的や目標貯金額を明確にしておくと、モチベーションが上がり、楽しみながら貯金できるでしょう。
今回は、人生の大きなイベント別に必要な貯金額の平均と、効率よくお金を増やせるお勧めの貯金の仕方を解説します。
人生のイベント別に必要な平均貯金額
子育てやマイホーム購入など、人生の大イベントのための資金は、長期間かけて少しずつ準備することが大切です。
結婚、教育費、マイホーム購入、老後といった人生のイベント別にいくらの貯金額が必要になるか、その平均額について解説しましょう。
結婚に必要な平均貯金額
結婚情報誌で人気の「ゼクシィ」が2020年10月に公表した「結婚トレンド調査2020 」によると、結婚費用のために貯金をしていた夫婦の割合は86.7%、結婚のための貯金総額は全国平均311.8万円でした。
また、婚約から新婚旅行までにかかった費用の総額は、全国平均約469.2万円となっており、約80%の夫婦は親・親族からの援助を受けたと回答しています。
(参考:株式会社リクルートマーケティングパートナーズ ゼクシィ首都圏「ゼクシィ結婚トレンド調査2020」(2020年10月))
結婚は夫婦二人だけのイベントではなく、それぞれの親族との顔合わせ、友人・知人を招いた結婚披露宴など、大きな資金が必要です。
親からの援助や挙式・披露宴の招待客からのご祝儀によって負担を軽減できる可能性はありますが、夫婦の将来のために貯金しておくことに越したことはないでしょう。
教育に必要な平均貯金額
教育費は各家庭の教育方針によって大きく異なります。文部科学省「我が国の教育水準と教育費」(2009年)によると、平均的な教育費は、幼稚園から大学卒業まですべて国公立の場合で約1,000万円、すべて私立の場合で約2,300万円です。
これらの金額は一度に必要な訳ではありませんが、高校や大学など入学のタイミングではまとまった資金が必要になります。
また、子供の成長とともに教育や子育てにかかる費用が増え、貯金をする余裕がなくなる家庭も少なくありません。子供が小さいうちから計画的に資金を準備することが大切です。
マイホーム購入のために必要な平均貯金額
以下の表は、マイホーム購入のための平均所要資金を建物の種類別にまとめたものです。
【マイホーム購入の所要資金(2020年度全国平均)】
新築マンション | 4,545万円 |
土地付き注文住宅 | 4,397万円 |
建売住宅 | 3,495万円 |
中古マンション | 2,971万円 |
中古戸建 | 2,480万円 |
参考:独立行政法人 住宅金融支援機構「2020年度フラット35利用者調査(2021年8月)」
マイホームは住宅ローンを借り入れて購入する人が多いため、購入時に必要な自己資金はマイホームの本体価格に充当する頭金と購入にかかる諸費用です。
必要な頭金は購入する住宅の種類や契約者の年収などによって異なりますが、目安としては物件価格の10~20%。諸費用の目安は物件価格の6~10%です。
例えば3,000万円のマイホームを購入する場合、頭金は300万円~600万円、諸費用は180万円~300万円が必要な自己資金の目安となります。
ただし、頭金を多く用意して住宅ローンの借入額を少なくした方が、支払う利息の負担を抑えられます。また、マイホームは購入後も固定資産税や修繕費などの維持費が必要です。
マイホームの購入を検討している人は、計画的に資金準備をしておきましょう。
以下の記事では、マイホーム購入に必要な資金の考え方について詳しく解説しています。マイホーム購入を検討している人は、こちらの記事もご覧ください。
家の購入に貯金はいくら必要? 購入後に残しておくべき貯金額も解説
老後に必要な平均貯金額
金融庁は、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみ無職の世帯が、以降20~30年生きる場合、公的年金以外に1,300万円~2,000万円程度の資金が必要だと公表しています。
(参考:金融庁「高齢社会における資産形成・管理」(2019年6月))
2,000万円を貯金するためには、毎月5万円貯金した場合、34年間かかります。
老後に豊かな生活を送るためには、できるだけ若いうちから貯金を始めることが大切です。
効率よくお金を増やせる貯金の仕方おすすめ3選
前章で解説したような数百万円~数千万円の貯金は「長期」「積み立て」「分散投資」の3つのポイントで、無理のない金額から効率よく貯めていく方法がおすすめです。
効率よくお金を増やせるお勧めの貯金の仕方を3つ紹介します。
財形貯蓄制度・積立定期預金
財形貯蓄制度や積立定期預金は、毎月自動的に一定額を積み立てる貯蓄制度です。自分で決めた積立金額が毎月引き落とされ、残高に応じて利息分がつきます。
会社の給料日に合わせて自動的・強制的に預金に回るため、確実に貯金できる点がメリットです。
自動的に引き落とされるため、貯金しているという意識がなく、気がついたら目標金額が貯まっているケースもあるでしょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)は、公的年金以外の老後資金を準備するための私的年金制度です。基本的に20歳から60歳までの人なら、誰でも加入できます。
自分で掛け金額を設定し、投資信託や定期預金など運用方法を決め、積み立てた金額と運用で得た利益を60歳以降に受け取れる仕組みです。
iDeCoは掛け金や運用益に対して税制が優遇されているため、節税効果にもつながります。さらに受給時にも、一定額までの受給額を非課税とする税制優遇を適用することが可能です。
iDeCoについては、以下の記事で詳しく解説しているので、興味がある人はこちらの記事をご確認ください。
iDeCo(イデコ)とは?メリット・デメリットやおすすめの運用方法
つみたてNISA
つみたてNISA(ニーサ)は、少額からの長期的な資産運用を支援するための非課税制度です。年間投資枠40万円までであれば、投資信託で得た運用益や譲渡益が非課税になります。
つみたてNISAは長期・積み立て・分散投資に適した金融商品が対象となるので、短期間で大きく利益を得るのではなく、長期的に利益を増やしたい人におすすめです。
またiDeCoは老後の資金準備のための制度なので、60歳まで引き出しできませんが、つみたてNISAはいつでも引き出しすることができます。
マイホームや結婚資金など、老後資金以外の目的にも利用できるでしょう。
投資初心者にお勧めの投資手法や、初心者が意識すべき投資のポイントなどについて、以下の記事で詳しく解説されています。ぜひ併せて読んでみましょう。
先行きの不安解消には投資がおすすめ! 初心者にもできる投資手法
まとめ
貯金をする際は、目的と目標金額を明確にしておくことが大切です。あなたが貯金したいと考えているのは何のためか、具体的にいくら必要なのか一度考えてみてくださいね。
また、低金利が続いている現代では、銀行口座に預けているだけでは利息がほとんどつきません。今回紹介したような、お金を増やしながら貯金できるおすすめの方法を選択肢の一つとして検討してみましょう。
以下の記事では、一人暮らし世帯の平均貯金額を年代別に解説しています。一人暮らし世帯の貯金事情について興味がある人は、ぜひこちらもご覧ください。
一人暮らしでも貯金はできる!賢い貯金のポイントを紹介